関西ペイントの強みとは:日本・インド・欧州・アジア・アフリカで自動車・建築・工業用の塗料をつくる会社。売上の約73%が日本の外。2026年3月期は営業利益497億円(−4.5%)、配当は年110円に増配
関西ペイントを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日、東証の適時開示)で分析しました。売上高5,898億円(+0.2%)、営業利益497億円(−4.5%、固定費の増加)、経常利益547億円(+11.4%、為替差益・持分法投資利益)、親会社株主に帰属する当期純利益316億円(−17.4%、早期割増退職金などの特別損失)、ROE11.1%、自己資本比率37.4%。地域別のセグメント利益(持分法の損益を含む)は日本220億円(−8.2%)、インド136億円(−4.4%、建築の需要低迷と円高)、アジア91億円、アフリカ63億円(+45.7%)、欧州9億円。欧州では構造改革「True Color」を決め、2027年3月期に約70億円の特別損失を見込む。年110円の配当(前期50円、配当性向61.2%)、2027年3月期は営業利益530億円・年110円の予想。日本ペイントHDとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男関西ペイントって、関西の会社だから国内が中心?

メル美決算短信だと、売上の7割以上が日本の外なんだって。インド、欧州、アジア、アフリカで塗料をつくっているみたい
企業分析の連載、234社目は関西ペイントです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の日本ペイントホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、関西ペイント株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
自動車・建築・工業・防食・船舶などの塗料を、日本・インド・欧州・アジア・アフリカでつくって売る会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,898億円 | +0.2% |
| 営業利益 | 497億円 | −4.5% |
| 営業利益率 | 8.4% | 前期 8.8% |
| 経常利益 | 547億円 | +11.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 316億円 | −17.4% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 11.1% | 前期 13.2% |
| 自己資本比率 | 37.4% | 前期 35.9% |
| 配当 | 年110円(配当性向61.2%) | 前期 50円 |
- 営業利益は、販売価格の改善や原価低減を進めたものの、固定費の増加で減りました
- 経常利益は、為替差益や持分法による投資利益の増加で増えました
- 当期純利益は、前期の一過性の特別利益がなくなったことに加え、早期割増退職金や事業撤退損などの特別損失で減りました
2. 何で稼いでいるか
セグメント利益は、営業利益に持分法による投資損益を加えたものです。
| 地域 | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 自動車・工業は増収、建築・防食・船舶は減収 | 1,599億円(−2.4%) | 220億円(−8.2%) |
| インド | 建築は需要低迷と低価格品へのシフト、自動車は増収、円高の影響 | 1,384億円(−2.8%) | 136億円(−4.4%) |
| 欧州 | トルコの自動車向けが増収、M&Aの寄与 | 1,627億円(+4.0%) | 9億円 |
| アジア | 中国は増収、タイ・マレーシア・インドネシアは自動車生産の減少 | 681億円(−0.9%) | 91億円(−1.2%) |
| アフリカ | 南アフリカなどで建築の新規顧客、構造改革の進展 | 517億円(+9.1%) | 63億円(+45.7%) |
| その他(北米など) | 自動車生産の減少 | 90億円(−10.3%) | 20億円(−38.1%) |
- 外部顧客への売上高のうち、約73%が日本以外です(計算値)
- セグメント利益の合計539億円のうち、日本が約41%、インドが約25%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 新興国での事業
- インドとアフリカに大きな事業をもっています。会社は、インドでは内需主導の堅調な成長が続いたとしています
② 自動車・工業の塗料
- 日本では、自動車は販売価格の改善、工業は拡販で、売上高が前期を上回りました
③ 株主への還元の強化
- 配当は前期の年50円から年110円に増え、2027年3月期も年110円の予想です(→配当方針の読み方)
4. 弱み・リスク
① 欧州の収益性
- 欧州は売上高が1,627億円と大きいものの、セグメント利益は9億円です。会社は、欧州子会社で組織と事業運営が複雑になり収益性の低下が表に出ていたとして、構造改革「True Color」を決め、2027年3月期に約70億円の特別損失を見込んでいます
② 為替
- インドなど海外の売上が多いため、円高になると円に直した売上が減ります。2026年3月期のインドの減収には、円高の影響がありました
③ 自動車生産と建築の市況
- アジアや北米では自動車生産の減少、日本やインドでは建築の需要の弱さが影響しました
5. ライバルとの比較
塗料の日本ペイントホールディングスと並べます。会計基準(日本ペイントはIFRS)と決算期が違うので、おおまかな比較です。
| 関西ペイント(2026年3月期) | 日本ペイントHD(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 売上高(売上収益) | 5,898億円(+0.2%) | 1兆7,742億円(+8.3%) |
| 営業利益 | 497億円(−4.5%) | 2,571億円(+38.1%) |
| 営業利益率 | 8.4% | 14.5% |
| ROE | 11.1% | 10.6% |
| 自己資本(親会社所有者帰属持分)比率 | 37.4% | 44.9% |
- 日本ペイントHDはアジアの塗料が中心、関西ペイントはインド・欧州・アフリカの比重が大きい会社です(→日本ペイントホールディングスの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
関西ペイントの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| インドのセグメント利益 | 136億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 欧州のセグメント利益と構造改革 | 9億円、2027年3月期に約70億円の特別損失の見込み | 決算短信(セグメント情報、重要な後発事象) |
| 為替の影響 | インドは円高で減収 | 決算短信(各セグメントの状況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高6,100億円、営業利益530億円、当期純利益270億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年110円、2027年3月期予想110円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男インドやアフリカで稼いでいるんだね。欧州の立て直しがうまくいくかを見ておこう
まとめ
- 関西ペイントは、日本・インド・欧州・アジア・アフリカの塗料の会社
- 売上の約73%が日本以外
- 2026年3月期は営業利益497億円(−4.5%)、配当は年110円に増配
- 欧州は利益が小さく、構造改革で約70億円の特別損失を見込む
- 2027年3月期は営業利益530億円の予想
参考文献
- 関西ペイント. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www2.jpx.co.jp/disc/46130/140120260511521310.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日本ペイントホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/46120/140120260213560127.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。