日本ペイントホールディングスの強みとは:アジアの塗料(NIPSEA)が営業利益の半分超。豪州・欧州のDuluxGroup、米国のAOCを買収で加えた塗料の会社。2025年12月期は売上収益1兆7,742億円(+8.3%)・営業利益2,571億円(+38.1%)。中国の自動車用塗料とAOCの買収が寄与
日本ペイントホールディングスを、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益1兆7,742億円(+8.3%)、営業利益2,571億円(+38.1%、営業利益率14.5%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,798億円(+42.8%)、ROE10.6%、親会社所有者帰属持分比率44.9%。2025年3月に買収を完了したAOC(スペシャリティ・フォーミュレーター)の業績が寄与。セグメントの営業利益は、NIPSEA(アジア)1,440億円(+17.3%、中国の自動車用塗料と原材料費率の改善)、AOC486億円、DuluxGroup(豪州・欧州)349億円(−13.5%、Cromologyグループののれんの減損)、日本281億円(+44.6%、東京事業所の固定資産譲渡益)、米州64億円(−17.8%)。年16円の配当、2026年12月期は営業利益2,830億円・年17円の予想。信越化学工業との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男日本ペイントって、名前のとおり日本の塗料の会社だよね

メル美決算短信を見ると、利益の半分以上はアジアの「NIPSEA」なんだって。日本は1割くらいみたい
企業分析の連載、131社目は日本ペイントホールディングスです。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の信越化学工業の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本ペイントホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
日本・アジア(NIPSEA)・豪州と欧州(DuluxGroup)・米州・AOCの5つの地域・グループで、自動車用・工業用・汎用(建物用など)の塗料などを売る会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆7,742億円 | +8.3% |
| 営業利益 | 2,571億円 | +38.1% |
| 営業利益率 | 14.5% | 前期 11.4% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,798億円 | +42.8% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 10.6% | 前期 8.5% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 44.9% | 前期 51.8% |
| 配当 | 年16円(配当性向20.9%) | 前期 15円 |
- 増収は、2025年3月に買収を完了したAOC(スペシャリティ・フォーミュレーター)の業績の寄与などによるものです
- 営業利益は、Cromologyグループののれんの減損損失を計上した一方、増収効果、原材料費率・販管費率の低下、東京事業所の固定資産譲渡益で増えました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| NIPSEA(アジア) | 中国の自動車用塗料が好調、原材料費率の改善とコスト削減 | 8,875億円(−2.9%) | 1,440億円(+17.3%) |
| AOC(米国など) | 2025年3月から連結 | 1,573億円 | 486億円 |
| DuluxGroup(豪州・欧州) | Cromologyグループののれんの減損 | 4,052億円(+1.7%) | 349億円(−13.5%) |
| 日本 | 自動車用は増、汎用は改修工事の低調で減、固定資産譲渡益 | 2,054億円(+1.1%) | 281億円(+44.6%) |
| 米州 | 自動車生産・住宅市場の低迷 | 1,190億円(−3.1%) | 64億円(−17.8%) |
- 5つのセグメントの営業利益の合計2,620億円のうち、NIPSEAが約55%、日本は約11%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① アジアの塗料事業
- NIPSEAは、原材料費率の改善とコスト削減で営業利益+17.3%でした。中国では自動車生産台数が増え、現地メーカー向けの自動車用塗料が好調でした
② 買収による成長
- AOCの買収で、営業利益486億円の新しい柱が加わりました
③ 高い利益率
- 営業利益率は14.5%です
4. 弱み・リスク
① 買収にともなう借入とのれん
- AOCの買収などで総資産が大きく増え、親会社所有者帰属持分比率は51.8%→44.9%に下がりました。欧州のCromologyグループではのれんの減損を計上しました
② 地域ごとの市況
- アジアの一部の地域での消費者心理の低下、欧州の市況悪化、米国の住宅市場の低迷などが、汎用塗料の売上に影響しました
③ 一度きりの利益
- 日本の増益には、東京事業所の固定資産譲渡益が含まれます
5. ライバルとの比較
海外の比重が大きい化学の会社として、信越化学工業と並べます。決算期(信越化学は3月期)・会計基準(日本基準)・製品がまったく違うので、おおまかな比較です。
| 日本ペイントHD(2025年12月期) | 信越化学工業(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 売上 | 1兆7,742億円(+8.3%) | 2兆5,739億円(+0.5%) |
| 営業利益 | 2,571億円(+38.1%) | 6,352億円(−14.4%) |
| 営業利益率 | 14.5% | 24.7% |
| ROE | 10.6% | 10.4% |
- ROEはほぼ同じ水準です(→信越化学工業の強みとは)。素材の会社はAGCの強みとはも。海外で稼ぐ会社の為替の見方は外国株と為替も参考になります
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日本ペイントHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| NIPSEAの営業利益 | 1,440億円 | 決算短信(セグメントの状況) |
| AOCの営業利益 | 486億円 | 決算短信(セグメントの状況) |
| のれんの減損・一度きりの利益 | Cromologyの減損、東京事業所の譲渡益 | 決算短信(経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上収益1兆9,200億円、営業利益2,830億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年16円、2026年12月期予想17円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男日本の会社なのに、アジアの塗料が利益の半分以上なんだね。買収した会社がうまく稼げるかも見ておこう
インド・欧州・アフリカで塗料をつくる会社は関西ペイントの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 日本ペイントHDは、日本・アジア・豪州と欧州・米州・AOCで塗料などを売る会社
- 2025年12月期は営業利益2,571億円(+38.1%)
- 営業利益の半分超がNIPSEA(アジア)
- AOCの買収で新しい柱、欧州のCromologyではのれんの減損
- 2026年12月期は営業利益2,830億円の予想
参考文献
- 日本ペイントホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/46120/140120260213560127.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。