AGCの強みとは:建築ガラス・オートモーティブ(自動車向け)・ディスプレイ用ガラス基板などの電子部材・塩化ビニル樹脂やフッ素の化学品・医薬品の受託製造(CDMO)を持つ素材メーカー。2025年12月期は売上高2兆588億円・営業利益1,275億円、前期の赤字から黒字に。ライフサイエンスは223億円の赤字
AGCを、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月6日、東証の適時開示)で分析しました。売上高2兆588億円(−0.4%)、営業利益1,275億円(+1.3%、営業利益率6.2%)、親会社の所有者に帰属する当期純利益692億円(前期は940億円の損失。前期のロシア事業譲渡の売却損とバイオ医薬品CDMOの減損損失が剥落)、ROE4.7%、親会社所有者帰属持分比率50.3%。セグメントの営業利益は、化学品530億円(塩化ビニル樹脂の価格下落で−6.6%)、電子475億円(EUV露光用フォトマスクブランクスの出荷減、化学強化用特殊ガラス事業の撤退費用で−12.7%)、オートモーティブ293億円(品種構成改善と価格政策で+110.2%)、建築ガラス173億円、ライフサイエンス(医薬品・農薬のCDMO)−223億円。年210円の配当(配当性向64.4%)、2026年12月期は営業利益1,500億円(+17.7%)・年210円の予想。信越化学工業との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男AGCって、窓ガラスの会社?

メル美決算短信を見ると、いちばん売上が大きいのは化学品なんだって。医薬品の受託製造もあるよ
企業分析の連載、100社目はAGCです。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月6日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の信越化学工業の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、AGC株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
建物向けのガラス、自動車向けの製品、ディスプレイ用のガラス基板などの電子部材、塩化ビニル樹脂やフッ素製品などの化学品、医薬品・農薬の受託製造(CDMO)を手がける素材メーカー
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆588億円 | −0.4% |
| 営業利益 | 1,275億円 | +1.3% |
| 営業利益率 | 6.2% | 前期 6.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期純利益 | 692億円 | 前期は940億円の損失 |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期純利益率) | 4.7% | 前期 −6.5% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 50.3% | 前期 49.7% |
| 配当 | 年210円(配当性向64.4%) | 前期 210円 |
- 黒字に戻ったのは、前期にあったロシア事業の譲渡にともなう関係会社株式売却損と、ライフサイエンス(バイオ医薬品CDMO)の減損損失がなくなったためです
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 化学品 | エッセンシャルケミカルズ(塩化ビニル樹脂など)、パフォーマンスケミカルズ(フッ素関連製品など) | 5,842億円(−1.6%) | 530億円(−6.6%) |
| 電子 | ディスプレイ(液晶用ガラス基板)、電子部材(EUV露光用フォトマスクブランクスなど) | 3,551億円(−2.6%) | 475億円(−12.7%) |
| オートモーティブ | 自動車向けの製品 | 5,206億円(+4.4%) | 293億円(+110.2%) |
| 建築ガラス | 建物向けのガラス | 4,411億円(+0.7%) | 173億円(+5.5%) |
| ライフサイエンス | 合成医農薬CDMO、バイオ医薬品CDMO | 1,331億円(−5.8%) | −223億円 |
| セラミックス・その他 | 599億円 | 26億円 |
- 営業利益は、化学品と電子が大きな柱です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 分散した素材の事業
- ガラス・電子部材・化学品・医薬品の受託製造と、利益の源が分かれています
② オートモーティブの立て直し
- オートモーティブは、全地域での品種構成の改善や価格政策の効果、円安で、営業利益が2倍以上になりました
③ フッ素関連製品
- パフォーマンスケミカルズでは、エレクトロニクス・モビリティ向けなどのフッ素関連製品の出荷が増えました
4. 弱み・リスク
① ライフサイエンスの赤字
- バイオ医薬品CDMO事業は、前期の一時収入がなくなったことや米国コロラド拠点の閉鎖などで減収となり、ライフサイエンスは223億円の営業損失でした
② 化学品の市況
- 塩化ビニル樹脂の販売価格の下落で、エッセンシャルケミカルズが減収でした
③ 電子部材の端境期
- EUV露光用フォトマスクブランクスの出荷減、オプトエレクトロニクスの移行期、化学強化用特殊ガラス事業の撤退の費用で、電子は減益でした
5. ライバルとの比較
同じく化学品・電子材料を手がける信越化学工業と比べます。決算期(信越化学は3月期)・会計基準(日本基準)・事業の中身が違うので、おおまかな比較です。
| AGC(2025年12月期) | 信越化学工業(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆588億円(−0.4%) | 2兆5,739億円(+0.5%) |
| 営業利益 | 1,275億円(+1.3%) | 6,352億円(−14.4%) |
| 営業利益率 | 6.2% | 24.7% |
| ROE | 4.7% | 10.4% |
- 売上の規模は近いものの、利益率と資本効率は信越化学が大きく上回ります(→信越化学工業の強みとは)。素材メーカーは日東電工の強みとは、東レの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
AGCの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 化学品・電子の営業利益 | 530億円・475億円 | 決算短信(セグメント) |
| ライフサイエンスの営業損益 | −223億円 | 決算短信(セグメント) |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上高2兆2,000億円、営業利益1,500億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年210円、2026年12月期予想210円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美窓ガラスの会社だと思っていたけど、化学品や電子部材が大きな柱なのね。医薬品の受託製造の赤字がどう改善するかを見ておきたいな
アジアの塗料が柱の会社は日本ペイントホールディングスの強みとはも参考にしてください。
ガラスの専業メーカーは日本電気硝子の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- AGCは、ガラス・電子部材・化学品・医薬品の受託製造を手がける素材メーカー
- 2025年12月期は売上高2兆588億円、営業利益1,275億円、純利益は黒字に回復(692億円)
- 営業利益の柱は化学品(530億円)と電子(475億円)
- ライフサイエンスは223億円の赤字
- 2026年12月期は営業利益1,500億円(+17.7%)の予想
参考文献
- AGC. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月6日). https://www2.jpx.co.jp/disc/52010/140120260205549320.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。