日東電工の強みとは:スマホ・パソコンなどに使う光学フィルム・テープ・高精度基板の素材メーカー。2026年3月期は売上収益1兆282億円・営業利益1,836億円(営業利益率17.9%)。利益の大半はオプトロニクス。核酸医薬の受託製造は大型案件の商用化で赤字が縮小
日東電工を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月27日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益1兆282億円(+1.4%)、営業利益1,836億円(−1.1%、営業利益率17.9%、円高で81億円の減益要因)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,335億円(−2.7%)、ROE12.2%、親会社所有者帰属持分比率79.6%。セグメントは、オプトロニクス(光学フィルムなどの情報機能材料、高精度基板・HDD用のCISなどの回路材料。売上収益5,278億円、営業利益1,499億円、−13.4%)、インダストリアルテープ(接合・保護・工程用材料、自動車材料。3,666億円・517億円、+12.6%)、ヒューマンライフ(核酸受託製造、メンブレン、衛生材料。1,437億円、営業損失50億円で赤字縮小)。LCDスマートフォン向け光学フィルムからは戦略的に撤退。年60円の配当、2027年3月期は営業利益1,930億円・年64円の予想。信越化学工業との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男日東電工って、テープの会社? 名前に「電工」って入ってるけど

メル美いちばん稼いでいるのは、ノートパソコンやスマホに使う光学フィルムや基板なんだって
企業分析の連載、94社目は日東電工です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月27日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の信越化学工業の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日東電工株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
光学フィルム・高精度基板などの電子材料、テープなどの機能材料、核酸医薬の受託製造などを手がける素材メーカー
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆282億円 | +1.4% |
| 営業利益 | 1,836億円 | −1.1% |
| 営業利益率 | 17.9% | 前期 18.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,335億円 | −2.7% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 12.2% | 前期 13.5% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 79.6% | 前期 79.0% |
| 配当 | 年60円(配当性向30.4%) | ー |
- IT機器やハイエンドスマートフォンの生産台数が想定を上回り、製品の需要が増えました
- 対米ドルの為替は1.7%円高の1ドル150.2円で、円高は営業利益で81億円の減益要因でした
- 2024年10月1日に1株→5株の株式分割をしているため、前期の配当は単純に比べられません(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な製品(決算短信の記載) | 売上収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| オプトロニクス | 情報機能材料(光学フィルムなど)、回路材料(HDD用のCIS、高精度基板など) | 5,278億円(−2.6%) | 1,499億円(−13.4%) |
| インダストリアルテープ | 基盤機能材料(接合材料、保護材料、プロセス材料、自動車材料など) | 3,666億円(+4.2%) | 517億円(+12.6%) |
| ヒューマンライフ | 核酸受託製造・核酸合成材料、メンブレン(高分子分離膜)、パーソナルケア材料 | 1,437億円(+8.5%) | −50億円(前期 −117億円) |
- 営業利益の大半がオプトロニクスです
- オプトロニクスは、ハイエンドのノートパソコン・タブレット向けの光学フィルムや、ハイエンドスマートフォン向けの高精度基板、データセンター向けの高容量HDDに使うCISが伸びました。一方、LCDスマートフォン向け光学フィルムからの戦略的撤退や、工程保護フィルムの値下げで、情報機能材料は減収でした
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 高い利益率と厚い財務
- 営業利益率17.9%、親会社所有者帰属持分比率79.6%です
② テープの好調
- インダストリアルテープは、ハイエンドスマートフォンのバッテリー固定用の電気剥離テープの採用モデル拡大や、半導体メモリ・セラミックコンデンサなどの生産に使う工程用材料の需要増で、営業利益+12.6%でした
③ 核酸医薬の受託製造
- ライフサイエンスは、核酸の受託製造で大型疾患の案件が臨床段階から商用化ステージに移り、収益の改善が進みました。売上収益は540億円(+21.3%)です
4. 弱み・リスク
① スマホ・パソコンへの依存
- 主な需要先はIT機器やスマートフォンです。会社は、半導体メモリ不足がIT機器やスマートフォンの生産台数に与える影響に注意が必要としています
② 為替
- 円高は、2026年3月期の営業利益で81億円の減益要因でした
③ ヒューマンライフの赤字
- ヒューマンライフは赤字が縮小したものの、営業損失50億円です。パーソナルケア材料では減損損失15億円を計上しました
5. ライバルとの比較
同じく電子材料を手がける素材メーカーの信越化学工業と比べます。会計基準(信越化学は日本基準)と製品が違うので、おおまかな比較です(どちらも2026年3月期)。
| 日東電工 | 信越化学工業 | |
|---|---|---|
| 売上 | 1兆282億円(+1.4%) | 2兆5,739億円(+0.5%) |
| 営業利益 | 1,836億円(−1.1%) | 6,352億円(−14.4%) |
| 営業利益率 | 17.9% | 24.7% |
| ROE | 12.2% | 10.4% |
- 規模・利益率は信越化学が上回り、ROEは日東電工が上回ります(→信越化学工業の強みとは)。電子部品の会社はTDKの強みとは、村田製作所の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日東電工の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| オプトロニクスの営業利益 | 1,499億円 | 決算短信(セグメント) |
| ライフサイエンスの売上収益 | 540億円 | 決算短信(セグメント) |
| 為替の影響 | 円高で営業利益81億円の減益要因 | 決算短信(経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益1兆650億円、営業利益1,930億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年60円、2027年3月期予想64円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美テープだけじゃなく、スマホやパソコンのフィルム、核酸医薬の受託製造まであるのね。メモリ不足でスマホの生産がどうなるかも見ておきたいな
まとめ
- 日東電工は、光学フィルム・高精度基板・テープなどの素材メーカー
- 2026年3月期は売上収益1兆282億円、営業利益1,836億円(営業利益率17.9%)
- 営業利益の大半はオプトロニクス(1,499億円)
- 核酸受託製造は大型案件の商用化で改善
- リスクはスマホ・IT機器の生産と為替
参考文献
- 日東電工. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月27日). https://www2.jpx.co.jp/disc/69880/140120260424510818.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。