村田製作所の強みとは:スマホやサーバー、車に何百個も入る小さな部品「積層セラミックコンデンサ」。2026年3月期は売上収益1兆8,309億円・営業利益2,818億円。コンデンサはAIサーバー向けで伸び、営業利益率26.8%。一方、通信モジュールは赤字でのれんを減損
村田製作所を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日)で分析しました。売上収益1兆8,309億円(+5.0%)、営業利益2,818億円(+0.8%、営業利益率15.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,339億円。セグメントはコンポーネント(積層セラミックコンデンサ、インダクタなど。売上収益1兆1,752億円、営業利益3,151億円、利益率26.8%)と、デバイス・モジュール(高周波モジュール、表面波フィルタ、リチウムイオン二次電池など。営業損失265億円)。積層セラミックコンデンサはサーバー向けを中心に増え、コンデンサの売上は9,364億円(+12.6%)。用途別ではコンピュータ向けが28.4%増。表面波フィルタの事業でのれん438億円を減損。親会社所有者帰属持分比率85.0%。2027年3月期は営業利益3,800億円の予想。太陽誘電との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男村田製作所って、何をつくってる会社? CMで見たことはあるけど、製品を買ったことはないような…

メル美スマホの中に入ってる、すごく小さい部品をつくってるんだって。直接は買わないけど、毎日使ってるのかも
企業分析の連載、18社目は村田製作所です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日)で確認しました。比較には太陽誘電の2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、村田製作所株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
スマホ・サーバー・車などに使われる電子部品、とくに「積層セラミックコンデンサ」をつくる会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆8,309億円 | +5.0% |
| 営業利益 | 2,818億円 | +0.8% |
| 営業利益率 | 15.4% | 前期 16.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2,339億円 | +0.0% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 8.8% | 前期 9.1% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 85.0% | 前期 85.2% |
| 配当 | 年65円(配当性向50.9%) | 前期 57円 |
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な製品 | 売上収益 | 営業利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| コンポーネント | 積層セラミックコンデンサ、インダクタ、EMI除去フィルタなど | 1兆1,752億円 | 3,151億円 | 26.8% |
| デバイス・モジュール | 高周波モジュール、樹脂多層基板、表面波フィルタ、リチウムイオン二次電池、センサなど | 6,560億円 | −265億円(損失) | −4.0% |
| その他 | ソリューションビジネスなど | 697億円 | −68億円 | — |
- 利益はコンポーネントがすべてを稼いでいる形です。コンデンサの売上収益は9,364億円(+12.6%)
用途別の売上収益(会社の推定値)
| 用途 | 金額 | 構成比 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 通信(スマホなど) | 6,530億円 | 35.7% | −3.1% |
| モビリティ(車など) | 4,745億円 | 25.9% | +4.8% |
| コンピュータ(サーバーなど) | 3,104億円 | 16.9% | +28.4% |
| 産業・その他 | 2,503億円 | 13.7% | +7.8% |
| 家電 | 1,427億円 | 7.8% | +0.1% |
- 会社は、AIサーバー及び周辺機器で電子部品の搭載数が増え、データセンター関連の需要が拡大したとしています
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① コンデンサの稼ぐ力
- コンポーネントの営業利益率は26.8%、事業別ROIC(税引前)は22.4%です
- 積層セラミックコンデンサは、サーバー向けを中心に幅広い用途で増加しました
② 用途の広がり
- スマホ(通信)に加えて、車(モビリティ)とサーバー(コンピュータ)が伸びています。車では、xEVの成長率は鈍っているものの、AD/ADAS(自動運転・運転支援)の進展で堅調だとしています
③ とても厚い財務
- 親会社所有者帰属持分比率85.0%、現金及び現金同等物は6,537億円
4. 弱み・リスク
① デバイス・モジュールの赤字と減損
- 表面波フィルタ製品の事業で、通信市場の高周波化が当初の想定より緩やかなことから、のれん438億円を減損しました
- 前期にも、自動運転の高度化が想定より緩やかなことから、MEMS慣性力センサの事業の設備などで約104億円を減損しています
② スマホ向けの減少
- 高周波モジュールや樹脂多層基板がスマホ向けで減少し、通信用途は3.1%減でした
③ 値下がり・為替・地政学
- 会社は、製品価格の値下がり、為替(前期比1円79銭の円高)、通商政策や中東情勢などの地政学リスクを挙げています
④ 不正アクセス
- 2026年3月6日に公表した、グループのIT環境への第三者による不正アクセスと情報の不正取得について、取引先との協議の状況しだいで将来の業績に影響する可能性があるとしています(影響額は見積もれず、決算には反映していない)
5. ライバルとの比較
積層セラミックコンデンサを主力とする太陽誘電と比べます。会計基準(太陽誘電は日本基準)が違うので、おおまかな比較です。
| 村田製作所(IFRS) | 太陽誘電(日本基準) | |
|---|---|---|
| 売上収益(売上高) | 1兆8,309億円(+5.0%) | 3,553億円(+4.1%) |
| 営業利益 | 2,818億円(+0.8%) | 200億円(+91.2%) |
| 営業利益率 | 15.4% | 5.6% |
| コンデンサの売上 | 9,364億円(+12.6%) | 2,518億円(+8.5%) |
- 規模も利益率も村田製作所が大きく上回ります。太陽誘電のコンデンサは、自動車、情報インフラ・産業機器向けで伸びたとしています
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
村田製作所の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| コンポーネントの営業利益率 | 26.8% | 決算短信(セグメント情報) |
| デバイス・モジュールの営業損益 | −265億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 用途別の売上(とくにコンピュータ・モビリティ) | コンピュータ+28.4% | 決算短信(用途別) |
| 減損損失 | 504億円(うちのれん438億円) | 決算短信(非金融資産の減損) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益1兆9,600億円、営業利益3,800億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年65円、2027年3月期予想70円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。半導体の関連は東京エレクトロンの強みとは、信越化学工業の強みとは

メル美同じ会社の中でも、コンデンサは大きな黒字、モジュールは赤字。セグメントで分けて見ないとわからないね
半導体部品・コンデンサの会社は京セラの強みとはへ。
電池が中心の電子部品の会社はTDKの強みとはも参考にしてください。
ほかの電子部品の会社は太陽誘電の強みとはとミネベアミツミの強みとはも参考にしてください。
コネクタの会社はヒロセ電機の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 村田製作所は、積層セラミックコンデンサなどの電子部品の会社
- 2026年3月期は売上収益1兆8,309億円、営業利益2,818億円(+0.8%)
- コンポーネントが稼ぎ頭(利益率26.8%)、デバイス・モジュールは赤字
- AIサーバー向けでコンデンサが伸び、コンピュータ用途は+28.4%
- 表面波フィルタの事業でのれん438億円を減損。2027年3月期は営業利益3,800億円の予想
参考文献
- 村田製作所. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日). https://corporate.murata.com/-/media/corporate/about/newsroom/news/irnews/irnews/2026/0430/25q4-j-fls.ashx?la=ja-jp&cvid=20260430013812000000 (閲覧日:2026年10月10日)
- 太陽誘電. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日). https://pdf.irpocket.com/C6976/Kdx3/cyuz/k5xZ.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。