ねずみ講とマルチ商法のちがい:お金だけが回る「ねずみ講」は法律で全面禁止(誘うだけで罰金)。商品を売る「マルチ商法(連鎖販売取引)」は禁止ではないが、特定商取引法で厳しく規制され、20日間のクーリング・オフがある
ねずみ講(無限連鎖講)とマルチ商法(連鎖販売取引)のちがいを、無限連鎖講の防止に関する法律と特定商取引法(e-Gov法令検索)、国民生活センターの資料でまとめました。ねずみ講は、後から入る人のお金で先に入った人が配当を受けるしくみで、「終局において破たんすべき性質のもの」として開設・運営・加入・勧誘がすべて禁止。勧誘しただけでも20万円以下の罰金です。マルチ商法は特定商取引法の「連鎖販売取引」で、うその説明などは禁止、契約書面を受け取ってから20日間はクーリング・オフができます。国民生活センターへのマルチ取引の相談は2025年度4,003件。

メル美友だちに「人を紹介するとお金が入る副業」に誘われた。ねずみ講じゃないって言ってたけど…

プレ男ねずみ講とマルチって、なにがちがうの? どっちも違法なんじゃないの?
今回は、ねずみ講とマルチ商法のちがいです。無限連鎖講の防止に関する法律と特定商取引に関する法律(特定商取引法)(どちらも e-Gov法令検索)、国民生活センター「マルチ取引」(2026年7月31日更新)で確認しました。
誘われて迷っている人、もう契約してしまった人を責める記事ではありません。断り方・解約のしかたを知っておくための記事です。個別のトラブルは消費生活センター(188)などに相談してください。
ひと目でわかるちがい
| ねずみ講(無限連鎖講) | マルチ商法(連鎖販売取引) | |
|---|---|---|
| 何が回る | お金(金品)だけ | 商品やサービスの販売とあっせん |
| 法律 | 無限連鎖講の防止に関する法律 | 特定商取引法(第3章 連鎖販売取引) |
| 扱い | 全面禁止(開設・運営・加入・勧誘すべて) | 禁止ではないが、厳しい規制 |
| 罰則の例 | 勧誘しただけでも20万円以下の罰金 | うその説明などに罰則・行政処分 |
| 契約の解除 | — | クーリング・オフ20日間 |
ねずみ講(無限連鎖講)
しくみ
無限連鎖講の防止に関する法律2条は、無限連鎖講を、おおまかに次のようなものとしています。
- お金などを出す加入者が無限に増えることを前提に
- 先に入った人(先順位者)が、2倍以上の倍率で段階的に増える後の加入者(後順位者)が出すお金から、自分が出した額を上回るお金を受け取るしくみ
なぜ禁止?
- 法律の1条は、無限連鎖講は「終局において破たんすべき性質のもの」なのに、関係者の射幸心をあおり、「加入者の相当部分の者に経済的な損失を与える」としています
- 加入者が2倍ずつ増えていけば、すぐに人口を超えます。たとえば1人が2人を誘うしくみでは、25段目には約1,678万人、28段目には約1億3,422万人が必要になる計算です。最後に入った大多数の人は、必ず損をします
誰が罰せられる?
| 行為 | 罰則(法5〜7条) |
|---|---|
| 開設・運営した | 3年以下の拘禁刑 もしくは 300万円以下の罰金(併科あり) |
| 業として加入を勧誘した | 1年以下の拘禁刑 または 30万円以下の罰金 |
| 加入を勧誘した | 20万円以下の罰金 |
- 3条は、「何人も」無限連鎖講を開設・運営し、加入し、加入を勧誘し、またはこれらを助長する行為をしてはならない、としています
- 「友だちに誘われて入って、別の友だちを誘った」だけでも、誘った時点で罰金の対象になりえます
マルチ商法(連鎖販売取引)
しくみ
- 特定商取引法33条の「連鎖販売業」は、商品の販売やサービスの提供の事業で、買った人が次の買い手を探して再販売したり、紹介したりすると利益(特定利益)が得られると誘い、その人にお金の負担(特定負担)をさせるものです
- 国民生活センターは、マルチ取引を「商品・サービスを契約して、次は自分が買い手を探し、買い手が増えるごとにマージンが入る取引形態」と説明しています。扱われるのは、健康器具、化粧品、学習教材、出資などさまざまです
- 商品がからむので、ねずみ講とちがってそれだけで違法ではありません。ただし、商品の実体がなく、お金だけが回っているものは、ねずみ講にあたる可能性があります
禁止されていること(34条など)
勧誘する人(統括者・勧誘者)は、契約の勧誘や、解除を妨げるときに、
- 商品の種類・性能・品質、特定負担、契約の解除の条件、特定利益(もうけ)などについて、わざと事実を告げない、うそを言うことが禁じられています
クーリング・オフ:20日間
- 特定商取引法40条により、連鎖販売契約は、契約の書面を受け取った日(商品の最初の引渡しがそれより後なら、その日)から数えて20日間、書面または電磁的記録で契約を解除できます
- 勧誘者がうそを言ったり脅したりして、クーリング・オフを妨げた場合は、20日を過ぎても解除できることがあります
相談は増えている?
国民生活センターの PIO-NET に登録されたマルチ取引の相談件数です(消費生活センター等からの経由相談は含まない)。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2023年度 | 5,158件 |
| 2024年度 | 4,132件 |
| 2025年度 | 4,003件 |
- 相談では、解約・返金に関するものが多い、とされています
- 最近の事例には、「マッチングアプリで知り合った人にセミナーへ連れていかれ、紹介するとお金がもらえると言われて契約した」「友人に勧められたオンラインゲームのアフィリエイトの副業に、借金して支払った」などがあります

プレ男「人を紹介するともうかる」は、まずねずみ講かマルチを疑う。マルチなら20日以内ならやめられるんだね
誘われたとき・契約したときは
- その場で決めない。「借金してでも」「今日だけ」と言われたら、なおさらです
- 紹介でもうかる話は、後から入る人が損をするしくみになっていないか考える
- 契約してしまったら、20日以内のクーリング・オフを検討し、消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センターにつながる)に相談してください
- 投資の名目で人を紹介させるもの、配当がずっと出るとうたうものは、ポンジスキームとはもあわせて読んでください
まとめ
- ねずみ講=お金だけが回るしくみ。全面禁止で、勧誘しただけでも罰金
- マルチ商法=商品の販売と紹介。違法ではないが特定商取引法で規制
- マルチでも、うその説明は禁止。20日間のクーリング・オフ
- 相談は2025年度4,003件(国民生活センター)。困ったら188
参考文献
- e-Gov法令検索. 無限連鎖講の防止に関する法律(昭和五十三年法律第百一号)第1条〜第7条. https://laws.e-gov.go.jp/law/353AC1000000101 (閲覧日:2026年10月5日)
- e-Gov法令検索. 特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第33条・第34条・第40条. https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057 (閲覧日:2026年10月5日)
- 国民生活センター. マルチ取引(各種相談の件数や傾向)(2026年7月31日更新). https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/multi.html (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。