
メル美友だちが、デートの帰りに「駅まで送る」って言われて車に乗ったら、ちがう方向に走りだして、「降ろして」って言っても降ろしてくれなかったんだって…。

プレ男それ、こわすぎる。恋人どうしのけんかで「話が終わるまで部屋から出さない」っていうのも、法律的にはまずいのかな。
今回は、逮捕・監禁罪です。刑法の条文(e-Gov法令検索)と、最高裁判所の判例(裁判所ウェブサイトの判示事項・裁判要旨)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。いま閉じこめられている、帰らせてもらえないときは、迷わず110番してください。
監禁罪の条文
| 罪 | 条文 | 罰則 |
|---|---|---|
| 逮捕・監禁罪 | 刑法220条「不法に人を逮捕し、又は監禁した者」 | 3月以上7年以下の拘禁刑 |
| 逮捕等致死傷罪 | 221条 220条の罪を犯し、よって人を死傷させた者 | 傷害の罪とくらべて重い刑で処断 |
- 220条には罰金刑がありません。罪になれば、刑は拘禁刑です
- 傷害罪(204条)は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。221条は、これとくらべて重いほうで処断する、という規定です
- 条文には「恋人なら除く」「夫婦なら除く」といった例外はありません
「監禁」は、力ずくだけではない(最高裁 昭和33年)
最高裁判所第二小法廷 昭和33年3月19日決定(昭和32年(あ)第2587号)の判示事項は「偽計による監禁罪の成立」です。裁判要旨は:
- 「監禁」は、暴行または脅迫によってなされる場合だけでなく
- 偽計によって被害者の錯誤を利用してなされる場合も含む

メル美「送るよ」とうそを言って乗せて、ちがう場所に連れていく…というように、だまして出られない状態にするのも監禁になりうるんだね。
監禁中にケガをさせたら(最高裁 昭和42年)
最高裁判所第一小法廷 昭和42年12月21日決定(昭和42年(あ)第1482号)は、不法に監禁している間の暴行でケガをさせた事件で、
- その暴行が、監禁の手段としてではなく、別の動機・原因からなされた場合には
- 監禁致傷罪ではなく、監禁罪と傷害罪の2つの罪が成立し、両者は併合罪になる
としています。
恋人・夫婦の間の「帰さない」は
- 恋人を部屋から出さない、といった行為は、デートDVの問題でもあります。デートDVの記事で、相談先とあわせて説明しています
- 配偶者や、生活の本拠をともにする交際相手からの暴力については、DV防止法の保護命令などの制度があります(生活の本拠をともにする交際相手については同法28条の2で準用)
- 監禁された状態での性的な行為は、不同意性交等罪の問題になりえます

プレ男けんかで頭に血がのぼっても、相手が「帰りたい」と言ったら、ドアの前からどく。それが最低限だね。
閉じこめられそうになったら
- 危険を感じたら、110番
- 急ぎでないときの相談は、警察相談専用電話 #9110。発信地を管轄する警察本部などの総合窓口につながります
- 性的な被害を受けたときは、性犯罪被害相談電話 #8103(ハートさん)。発信地を管轄する都道府県警察の窓口につながります

最高裁は、監禁は暴行や脅迫による場合だけでなく、うそで相手の勘違いを利用する場合も含むと判断しています。
まとめ
- 不法に人を監禁すると3月以上7年以下の拘禁刑(刑法220条)。罰金刑はない
- 監禁して人を死傷させれば、傷害の罪とくらべて重い刑(221条)
- うそでだまして出られない状態にするのも監禁(最高裁 昭和33年3月19日決定)
- 恋人・夫婦でも例外はない。デートDV・DV防止法の相談先も使える
- 危険なら110番、相談は #9110、性的な被害は #8103
参考文献
- 刑法(明治40年法律第45号)第204条、第220条、第221条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年3月19日決定(昭和32年(あ)第2587号). 刑集12巻4号636頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/50561/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 昭和42年12月21日決定(昭和42年(あ)第1482号 監禁、監禁致傷、暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害、強盗被告事件). 集刑165号551頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/59092/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 令和2年版 警察白書 第2章第3節 第3項 相談業務の充実強化(警察相談専用電話「#9110」). https://www.npa.go.jp/hakusyo/r02/honbun/html/w2233000.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103」. https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第28条の2. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0100000031 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。