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ブン子わたし、降水確率20%でも傘を持っていくタイプ。結婚も「失敗したらどうしよう」って考えると、なかなか動けなくて。

マジ男ぼくも慎重派。でも、慎重なほうが失敗しない気もするよね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、慎重さ(リスクを避ける度合い)と結婚のタイミングの研究です。学習院大学の鈴木亘さんの論文「行動経済学的要因が日本人の結婚行動に及ぼす影響」(内閣府経済社会総合研究所『経済分析』第211号、2025年)の原文をもとにまとめました。論文は「執筆者個人の見解」で、内閣府の公式見解ではないと明記されています。
どんな研究?
- 内閣府経済社会総合研究所が2024年3月に行ったインターネット調査(「少子化・女性活躍の経済学研究」に向けたアンケート調査)を使いました。対象は全国の25〜49歳で、独身者1万人・既婚者1万人です
- 既婚者は初婚の人だけ、独身者は事実婚のパートナーがいない人だけを使い、「何歳で結婚したか(まだ結婚していないか)」を分析しました
- 2020年の国勢調査の未婚・既婚の割合に合わせて、集計の重みを調整しています
慎重さの測り方:傘の質問
「ふだん出かけるとき、降水確率が何%以上なら傘を持って出かけますか」(0〜100%の10%きざみ)と聞き、100%からその数字を引いた値を「危険回避度」としました。低い降水確率でも傘を持つ人ほど、危険回避度が高い(慎重)ことになります。平均は男性51.50、女性51.29で、男女ほぼ同じでした。
あわせて、「90日後に1万円か、97日後にいくらか」などの質問で、目先のものを優先する傾向(時間割引率、双曲割引)も測っています。

ブン子傘の質問で、慎重さを測るんだ!
わかったこと(1):慎重な人ほど、結婚のタイミングが遅かった
- 学歴、きょうだいの数、15歳のときの両親の仲、都道府県、生まれた年代などをそろえて分析すると、男女とも、危険回避度が高い人ほど結婚のタイミングが遅くなっていました(結婚しやすさは、危険回避度が1高いごとに約0.997倍。男女でほぼ同じ大きさ)
- 危険回避度を「40以下」「50〜60」「70以上」に分けてグラフにすると、男女とも、危険回避度が高いグループほど結婚が遅くなっていました。女性では、とくに70以上のグループの遅さが目立ちました
- 結婚したい年齢(希望年齢)を分析しても、慎重な人ほど希望する年齢が高くなっていました
- 「目先のものを優先する」傾向(双曲割引)がある男性は、結婚のタイミングが早くなっていました。女性でははっきりしませんでした
わかったこと(2):慎重な人は、出会いの前の段階から動きが少なかった
独身者を、危険回避度50未満と50以上に分けてくらべると、こうなっていました。
| 独身者 | 危険回避度50未満 | 50以上 |
|---|---|---|
| いま交際中 | 23.2% | 20.0% |
| マッチングアプリなどのサービスを使ったことがある | 27.0% | 22.5% |
| 婚活サービスをどれも使ったことがない | 64.3% | 69.0% |
| 過去1年に、出会いにつながりうる活動(習い事・サークル・友人とのつきあいなど)をしていない | 44.9% | 49.8% |
| 紹介や出会いの機会がなかった | 39.3% | 43.2% |
- 論文は、慎重な人は交際や婚活、出会いの段階から活動が控えめで、それが結婚の遅れにつながっている可能性が高い、と書いています

マジ男慎重だから失敗しない、じゃなくて、そもそも動く回数が少なくなってたのかも…。
前の研究とはちがう結果
- 海外の研究や、2000年代〜2010年代前半の日本のデータを使った研究では、「慎重な人ほど結婚が早い」か「関係がない」という結果が多く報告されていました
- 論文は、ちがいが出た理由として、調査の時期のちがいをあげています。コロナ禍もあって男女が交際する機会が減り、慎重な人の控えめさが結婚の遅れに出やすくなった可能性、女性の自立が進んで「結婚しないリスク」より「結婚後の不仲や離婚のリスク」が重く感じられるようになった可能性などです

この研究では、慎重な人ほど結婚のタイミングが遅く、交際や婚活、出会いの活動も少なめでした。慎重さそのものが悪いのではなく、動く回数が少なくなっていることが、遅れにつながっている可能性がある、という結果です。
研究の限界
- 調査会社の登録モニターへのインターネット調査です
- ある時点での調査で、既婚者は結婚した年齢を思い出して答えています。慎重さを聞いたのは結婚したあとなので、結婚によって慎重さが変わった可能性は否定できない、と論文は書いています
- 結婚には相手の決定もかかわるため、本人の慎重さだけで説明できるわけではありません。論文は、本人だけの希望である「結婚したい年齢」も分析して、結果がぶれないことを確かめています
- 「傘の質問」は慎重さの一面を測ったもので、ほかの測り方でも同じ結果になるかはわかりません
婚活に当てはめると
- 論文は、こうした傾向を使って結婚支援の対象を見つけ、ナッジ(行動をそっと後押しするしかけ)を工夫すれば、効果的な支援になる可能性がある、と書いています
- 慎重な人は、まず出会いの回数を少しずつ増やすところから始めるのもひとつです。どの婚活が結婚につながりやすかったかはどの婚活が、1年以内の結婚につながった?、出会いがない理由のデータは「出会いがない」の中身をデータで見る、忙しい人向けには仕事が忙しくて婚活できない人へもどうぞ

ブン子慎重なのはわたしのいいところ。そのままで、出かける回数だけ少し増やしてみる。

マジ男ぼくも、月に1回は新しい集まりに行ってみるよ。
まとめ
- 内閣府経済社会総合研究所の2024年の調査(25〜49歳、独身者・既婚者各1万人)を使った研究(2025年)
- 「降水確率が何%なら傘を持つか」で測った慎重さが高い人ほど、男女とも結婚のタイミングが遅かった
- 慎重な人は、交際・婚活サービスの利用・出会いの活動も少なめだった
- 以前の研究とはちがう結果で、論文は交際の機会が減った時代の変化が関係している可能性をあげている
参考文献
- 鈴木亘. 行動経済学的要因が日本人の結婚行動に及ぼす影響. 経済分析. 2025;(211). 内閣府経済社会総合研究所. doi:10.60294/keizaibunseki.211_10. https://doi.org/10.60294/keizaibunseki.211_10 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
