大人の教養An Evening of Culture

第六幕Act VI — The Archive

ヴィレンドルフのヴィーナス高さ11cm、顔のない女性の小さな石像。約3万年前、ドナウ川のほとりで。石はまわりにない「魚卵状石灰岩」で、CTで中を調べると、いちばん近いのは、アルプスの南、イタリア・ガルダ湖のそばの石だった

No.1632026年10月22日

ヴィレンドルフのヴィーナスは、1908年8月7日、オーストリアのドナウ川沿いのヴィレンドルフで、ウィーン自然史博物館の発掘で見つかった、高さ110mmの女性の石像です。約3万年前(旧石器時代のグラヴェット文化)のもので、顔はなく、豊かな胸と腰、手のこんだ髪型か帽子が彫られています。材料の魚卵状石灰岩(ウーライト)はヴィレンドルフのまわりにはありません。2022年、ウィーン大学とウィーン自然史博物館の研究チームがマイクロCTで中を調べ、ヨーロッパ各地の石とくらべたところ、北イタリアのガルダ湖の近くの石がもっともよく一致しました。論文と博物館の発表で紹介します。

目次
  1. プロフィール
  2. 1908年、ドナウ川のほとりで
  3. どんな像?
  4. 石が、まわりにない
  5. CTで、像の中をのぞく
  6. いちばん近いのは、ガルダ湖のそばの石
  7. まとめ

メル美教科書でよく見る、ふくよかな女の人の小さな石像。あれが「ヴィレンドルフのヴィーナス」なんだね。

プレ男3万年前の人が作ったんでしょ?それなのに、石がどこから来たかまでわかったって、どういうこと?

今回は「ヴィレンドルフのヴィーナス」です。所蔵するウィーン自然史博物館の報道発表(2022年2月28日)と、その研究チームが科学誌『Scientific Reports』に発表した論文で確かめました。

プロフィール

項目 内容
年代 約3万年前(論文)。博物館の発表では2万9500年前
時代 旧石器時代のグラヴェット文化
見つかった日・場所 1908年8月7日、オーストリア・ニーダーエスターライヒ州、ドナウ川の左岸のヴィレンドルフ(ヴァッハウ地方)
素材 魚卵状石灰岩(ウーライト)。赤く塗られていた
大きさ 高さ110mm(11cm)
所蔵 ウィーン自然史博物館

1908年、ドナウ川のほとりで

どんな像?

メル美もとは赤かったのに、見つけたときに洗って落としちゃったなんて…。

石が、まわりにない

CTで、像の中をのぞく

プレ男像の中に、恐竜の時代の貝が入ってたんだ!

いちばん近いのは、ガルダ湖のそばの石

2022年の論文によると、ヴィレンドルフのヴィーナスの石は、ヨーロッパ各地のウーライトの中で、北イタリア・ガルダ湖の近くの石ともっともよく一致しました。ただし、ウクライナ東部の石の可能性も残っています。

まとめ


参考文献

  1. Weber GW, Lukeneder A, Harzhauser M, et al. The microstructure and the origin of the Venus from Willendorf. Scientific Reports. 2022;12:2926. doi:10.1038/s41598-022-06799-z. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8885675/ (閲覧日:2026年10月22日)
  2. Naturhistorisches Museum Wien(Presse & Marketing). Der Stein, aus dem die Venus von Willendorf ist(2022年2月28日、idw – Informationsdienst Wissenschaft 掲載). https://idw-online.de/de/news789171 (閲覧日:2026年10月22日)
  3. Natural History Museum Vienna. Prehistory(展示の案内). https://www.nhm.at/en/visit/exhibitions/prehistory (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。