
プレ男東大の「三四郎池」って、夏目漱石の小説から名前がついたんでしょ?どんな話なの?

メル美上京したての大学生が、つかみどころのない女の人に恋をする話みたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、夏目漱石の長編『三四郎』です。青空文庫の原文(底本:『三四郎』角川文庫クラシックス)で読みました。青空文庫の書誌によると、初出は「朝日新聞」、1908(明治41)年9月1日〜12月29日の連載です。三四郎池のあたりの散歩は本郷・三四郎池のデートで紹介しています。
汽車の女「度胸のないかたですね」
- 主人公の小川三四郎は、熊本の高等学校を出て、東京の大学へ向かう青年です。途中の宿で、宿帳に「福岡県京都郡真崎村小川三四郎二十三年学生」と書いています
- 名古屋どまりの汽車で知り合った女と、なりゆきで同じ宿に泊まることになり、三四郎は敷布でまん中に仕切りを作って、何事もなく朝を迎えます
- 翌朝、駅で別れぎわ、女はじっと三四郎の顔をながめて言いました
- 「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」
- 三四郎は「プラットフォームの上へはじき出されたような心持ち」がして、耳がほてります

プレ男まじめにしてたのに、最後にひとことで打ちのめされる…。わかる気がする。
池のほとりの女
- 東京へ出た三四郎は、ある夕方、大学の池のそばにしゃがんでいて、丘の上に立つ2人の女を見ます。1人は看護婦、もう1人は夕日に向かって団扇をかざしていました
- 2人は坂をおりて、三四郎の前を通ります。若いほうの女は、大きな椎の木を見上げて「これはなんでしょう」とたずね、その拍子に三四郎を一目見ました
- 女は、かいでいた白い花を三四郎の前に落として行きます
- この女が、のちに名前を知る里見美禰子です
「迷える子――わかって?」
- 菊人形を見に、広田先生、野々宮さん、よし子、美禰子と出かけた日。人ごみで気分が悪くなった美禰子と三四郎は、2人だけで小川のほとりに腰をおろします
- 美禰子は「迷子」とくりかえし、こうたずねます
- 「迷子の英訳を知っていらしって」
- 「迷える子――わかって?」
- 三四郎は答えられません。言葉の意味より、「この言葉を使った女の意味」がわからないのです
- その後、三四郎の講義のノートには「stray sheep」の字がやたらに書かれ、下宿には、2匹の羊と悪魔を描いた絵はがきが届きます。表には「迷える子」と小さく書いてあるだけでした。三四郎は、迷える子の中に、美禰子だけでなく自分も入っていると知って、うれしく思います

メル美「迷える子」が2匹の絵はがき…。はっきり言わないぶん、気になっちゃうね。
30円と、ヘリオトロープ
- あるいきさつで、三四郎は美禰子から30円を借りることになります。美禰子は銀行の前で通帳と印鑑を三四郎にわたし、「三十円」と金額を言いました
- 三四郎は、国の母に送ってもらったお金を懐に入れながら、なかなか返しません。作品は、「この三十円が二人の間にある、説明しにくいものを代表している」と三四郎が信じていた、と書いています
- 本郷四丁目の店でシャツを選んだ日には、三四郎が香水の相談を受け、ヘリオトロープと書いた瓶を指すと、美禰子は「それにしましょう」とすぐ決めました
- 美禰子の肖像画を描いている画家の原口さんは、美禰子が団扇をかざしている構図で描いています。美禰子自身の希望だというのです
「結婚なさるそうですね」
- やがて三四郎は、与次郎から、美禰子が嫁に行くらしいと聞きます。相手は野々宮さんではない、と
- 見舞いに来たよし子によると、相手は「美禰子さんのお兄いさんのお友だち」。もとは、よし子をもらいたいと言っていた人でした
- 三四郎は、会堂(教会)から出てきた美禰子に、ようやく30円を返します。美禰子が差し出した白いハンケチから、鋭い香りがしました
- 「ヘリオトロープ」
- 三四郎の胸には「ヘリオトロープの罎。四丁目の夕暮。迷羊。迷羊。」
- 「結婚なさるそうですね」とたずねる三四郎に、美禰子は「御存じなの」と答え、聞きとれないほどの声で言います
- 「我はわが愆を知る。わが罪は常にわが前にあり」
- 2人は、こうして別れました
「森の女」の前で
- 原口さんの絵は「森の女」という題で展覧会に出され、開会の日から人だかりができます。美禰子は、夫につれられて2日目に来ました
- 野々宮さんのポケットからは、美禰子の結婚披露の招待状が出てきて、野々宮さんはそれを引きちぎって床に捨てます
- 与次郎に「どうだ森の女は」と聞かれた三四郎は、「森の女という題が悪い」と答えます。じゃあ何とすればいいのかと言われても答えず、ただ口の中で、こうくりかえすのでした
- 「迷羊、迷羊」

『三四郎』で美禰子は、「迷える子――わかって?」と問いかけ、別れぎわには「我はわが愆を知る。わが罪は常にわが前にあり」と言います。作品の最後で、三四郎は絵の前で「迷羊、迷羊」とくりかえします。
まとめ
- 『三四郎』は、夏目漱石の長編(1908年9月〜12月、朝日新聞に連載)
- 23歳の小川三四郎は、大学の池のほとりで、団扇をかざす里見美禰子に出会う
- 美禰子の「迷える子(stray sheep)」という言葉は、三四郎の頭をはなれない
- 借りたままの30円、ヘリオトロープの香水。でも美禰子は、兄の友人と結婚する
- 別れの言葉は「我はわが愆を知る」。展覧会の絵「森の女」の前で、三四郎は「迷羊、迷羊」とくりかえす
- 漱石の恋の小説は、『それから』、『こころ』もどうぞ
参考文献
- 夏目漱石. 三四郎(底本:『三四郎』角川文庫クラシックス、角川書店、1951年初版、1997年127刷). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card794.html (閲覧日:2026年10月22日)
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