
プレ男『こころ』って、教科書で「Kが…」ってところだけ読んだ気がする。全体はどんな話なんだろう。

メル美三角関係の話なんだよね。大人になって読むと、印象が変わりそう。
こんにちは、Dr. Taro です。 「大人の教養」の愛憎の歴史と文学シリーズ、今回は夏目漱石『こころ』です。青空文庫で全文を読むことができます。
この作品には、自殺の場面が出てきます。つらい気持ちのときは、無理に読まなくて大丈夫です。
夏目漱石ってどんな人?

夏目漱石。出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」(https://www.ndl.go.jp/portrait/ )
国立国会図書館の「近代日本人の肖像」によると、
- 1867年(慶応3年)生まれ、1916年(大正5年)没の小説家
- 帝国大学英文科を卒業後、松山中学や第五高校の教師をへて、ロンドンに留学。帰国後は東大の講師に
- 『吾輩は猫である』で文壇に登場し、1907年(明治40年)に朝日新聞に入社して専属作家になりました
- 『三四郎』『それから』『門』のあと、大病をへて、『こゝろ』(1914年)、『道草』、『明暗』などで近代の知識人の内面を描きました
どんなお話?
『こころ』は、1914年(大正3年)4月20日〜8月11日に朝日新聞に連載されました。3つの部分からできています。
| 部 | 内容 |
|---|---|
| 上 先生と私 | 鎌倉の海で出会った「先生」に、学生の「私」がひかれ、通うようになる。先生はどこか人を信じず、毎月、ある友人の墓参りを続けている |
| 中 両親と私 | 「私」は、病気の父のいる故郷へ帰る。そこへ先生から分厚い手紙が届く |
| 下 先生と遺書 | 手紙は先生の遺書だった。学生時代、先生と親友Kは、同じ下宿のお嬢さんを好きになっていた |

メル美後半が丸ごと、先生の遺書なんだ…。
「恋は罪悪ですよ」
- 「上」で、先生は「私」にこう言います。「しかし君、恋は罪悪ですよ。解っていますか」
- なぜ先生がそう言うのかは、最後の「先生と遺書」まで読んではじめてわかるしくみです
三角関係と「向上心のないものは馬鹿だ」
- 先生とKは、同じ下宿に住み、そこのお嬢さんを2人とも好きになります。Kは、先にお嬢さんへの思いを先生に打ち明けます
- 先生は、道を求めて禁欲的に生きてきたKに、以前2人で房州(千葉県南部)を旅行したときにKが先生に言った「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」という言葉を、同じ口調で投げ返し、Kの恋を押しとどめようとします。先生はのちに遺書で、それは「単なる利己心の発現」だったと書いています
- そして先生は、Kに知らせないまま、奥さん(お嬢さんの母)に「お嬢さんをください」と直接申しこんでしまいます
- その後、Kは自ら命を絶ちます。先生は、お嬢さんと結婚しますが、そのことを誰にも、妻にも話せないまま生きていくことになります

プレ男親友に先を越されたくなくて、こっそり申しこんだんだ…。ずっとそれを抱えて生きてきたのか。
明治の終わりと重なる結末
- 遺書の終わりで先生は、明治天皇が亡くなったとき、「明治の精神が天皇に始まって天皇に終ったような気がしました」と書きます
- 本文には、明治天皇の大葬の夜に乃木大将が殉死したことも出てきます。先生はこれに重ねるように、自分の決意を「私」に伝えます
- 遺書は、「私の過去を善悪ともに他の参考に供するつもりです。しかし妻だけはたった一人の例外だと承知して下さい」と、妻には何も知らせないでほしいと頼んでいます
大人になって読むと
- 学生のころは「Kがかわいそう」「先生はずるい」と読んだ人も、大人になると、嫉妬、焦り、言えなかった後悔など、先生の弱さに自分を重ねるかもしれません
- 恋のライバルが親友だったら?大切な人に言えない過去があったら?——『こころ』は、そんな問いを今も投げかけてきます

『こころ』は、1914年に朝日新聞に連載された漱石の長編です。後半の「先生と遺書」で、親友Kとの三角関係が明かされます。青空文庫で読めます。
デートで話すなら
- 「恋は罪悪ですよ」の意味が、最後まで読むとわかる構成は、話のタネにぴったりです
- 「教科書で読んだ?」から始めて、大人になって読んだ感想をくらべるのもおすすめです
つらい気持ちのときは
- 作品には自殺の場面が出てきます。もし今、死にたい気持ちや、ひとりで抱えきれない悩みがあるときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で、電話やSNSの相談窓口を探せます(つらいときの相談先)
まとめ
- 『こころ』は、夏目漱石が1914年に朝日新聞に連載した長編
- 上 先生と私/中 両親と私/下 先生と遺書の3部構成
- 親友Kと同じお嬢さんを好きになった先生の、言えなかった過去の物語
- 「恋は罪悪ですよ」「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」が有名
- 青空文庫で読める
- 漱石の短い恋の夢の話は『夢十夜』第一夜もどうぞ
参考文献
- 国立国会図書館. 夏目漱石|近代日本人の肖像. https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/307 (閲覧日:2026年9月29日)
- 夏目漱石. こころ(初出「朝日新聞」1914年4月20日〜8月11日). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card773.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 厚生労働省. まもろうよ こころ. https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ (閲覧日:2026年9月29日)
- 国立国会図書館. 近代日本人の肖像「夏目漱石」. https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/307 (閲覧日:2026年10月2日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。