
メル美2026年4月から「共同親権」が始まったって聞いたけど、離婚したら、なんでも二人で決めなきゃいけないの?

プレ男DVがあったときはどうなるのか、心配する声も聞くよね。くわしく見てみよう。
今回は、共同親権を深く掘りさげます。民法(明治29年法律第89号)の条文をe-Gov法令検索で、改正の内容と施行日を法務省のページで、条文の考え方を、法務省などの「父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議」の「Q&A形式の解説資料(民法編)」(令和7年6月30日取りまとめ)で確認しました。離婚の基本は結婚・離婚の法律の記事で紹介しています。この記事は一般的な情報です。実際のケースは、家庭裁判所や弁護士、相談窓口に相談してください。
いつから?何が変わった?
- 「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)は、令和6年5月17日に成立し、令和8年(2026年)4月1日に施行されました(法務省)
- 民法819条1項:協議離婚のとき、父母は話しあいで「その双方又は一方を親権者と定める」。以前は、どちらか一方だけでした
- 裁判で離婚するとき(819条2項)も、裁判所が父母の双方または一方を親権者と定めます
- Q&Aによると、改正前に離婚した父母も、父母の双方を親権者とすることをふくむ、親権者の変更の申立てができます
親の責務(817条の12)
- 父母は、子の心身の健全な発達のため、子の人格を尊重し、年齢や発達の程度に配慮して養育しなければならない
- 父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならない
- Q&Aは、この「父母相互の人格尊重・協力義務」に違反すると評価されうる例として、たとえば次のような場合をあげています
- 暴行、脅迫、暴言など、相手の心身に悪影響をおよぼす言動や、誹謗中傷
- 父母双方が親権者なのに、一方が何の理由もなく無断で子の居所を変える
- 決まった親子交流を、とくに理由なく守らない
- 子の前で、もう一方の親を誹謗中傷する
- SNSなどで、不特定多数に向けて、相手が犯罪者だと一方的に主張する
- いっぽうで、DVや虐待から避難する必要があるときは、もう一方の親に無断で子を転居させても、これらの義務に違反するものではない、とされています

プレ男子どもの前で相手の悪口を言うのも、義務違反になりうるんだ…。
裁判所はどう決める?(819条7項)
- 裁判所は、父母の双方を親権者にするか一方にするかを、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考えて判断します
- そして、次のときは、必ず父母の一方を親権者と定めなければなりません
- 1号:父または母が、子の心身に害悪をおよぼすおそれがあるとき
- 2号:父母の一方が、もう一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響をおよぼす言動(暴力等)を受けるおそれの有無や、協議がととのわない理由などを考えて、父母が共同して親権を行うことが困難なとき
- そのほか、双方を親権者とすることで子の利益を害するとき
Q&Aのポイントは、こうです。
- 双方と一方のどちらが原則ということはなく、どちらが認められやすいとも一概にいえない
- 2号の暴力等は、身体的なDVだけでなく、精神的DV、経済的DV、性的DVなどで、父母が話しあえない状態にある場合もあてはまることがある
- 過去に虐待やDVをしたという事実は、今後のおそれを基礎づける重要な事実で、おそれが肯定される方向に傾く大きな考慮要素になる
- DVや虐待の主張に、医師の診断書のような客観的な証拠が必ず必要というわけではない。いっぽうで、主張が認められず、双方が親権者とされることもありうる
- 父母のどちらかに立証責任を負わせるルールではなく、裁判所は子の利益の観点から最善の判断をする
- 長いあいだ理由なく養育費を払ってこなかったことは、共同親権への変更が認められない方向に大きく働く事情、とされています

メル美DVや虐待のおそれがあるときは、必ず単独親権。身体の暴力だけじゃない、っていうのも大事なところだね。
双方が親権者のとき、どう決める?(824条の2)
- 原則:「親権は、父母が共同して行う」
- ただし、次のときは一方だけで行えます
- 一方だけが親権者のとき、もう一方が親権を行えないとき
- 子の利益のため急迫の事情があるとき
- 監護及び教育に関する日常の行為(2項)
- 父母の意見がまとまらない「特定の事項」は、家庭裁判所が、どちらが一人で決めるかを定めることができます(3項)
Q&Aがあげている例を、表にまとめました。
| 区分 | Q&Aがあげている例 |
|---|---|
| 日常の行為(一人で決められる) | 食事、服装、髪の色、人づきあい、通常の期間の観光旅行(短期間の観光目的の海外旅行もふつうはふくむ)、習い事、高校生の放課後のアルバイト、修学旅行などの学校行事への参加、給食の手続き、出欠の連絡、三者面談への出席 |
| 日常の行為ではない(原則は二人で) | 子の転居(同じ学区内でも、基本的に日常の行為ではない)、入学・退学・転学・留学・休学の手続き、長期間の交換留学、長く勤める会社への就職の許可 |
| 急迫の事情(一人で決められる) | DVや虐待からの避難(子の転居をふくむ。被害の直後だけでなく、急迫の事情が続く場合もある)、子に緊急の医療を受けさせる必要があるとき、入学試験の結果発表後、入学手続きの期限がせまっているとき |
- 相手に連絡して相談を求めたのに、相当な期間内に反応がないときは、黙示の同意があったと評価できる場面も多い、とされています
- 「共同して行う」は、契約などで父母双方の署名・押印が必須という意味ではありません。一方が、もう一方の同意を得て、一人の名前で行うこともふくまれます
- 共同で行うべきことを相手に無断で行うと、その経緯によっては、親権者の変更の審判などで考慮されたり、損害賠償の問題になったりすることがあります
子の監護と養育計画(766条)
- 離婚のとき、父母は、子の監護をする人や「子の監護の分掌」、親子交流、養育費など、子の監護に必要なことを話しあいで決めます。そのときは「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」
- 「監護の分掌」とは、監護を担当する期間を分けたり、教育に関することなど一部を一方にまかせたりすることで、Q&Aは、養育計画をつくれることを明らかにするために明記した、と説明しています
- 養育費を決めずに協議離婚したときに請求できる「法定養育費」(766条の3)も、この改正でできました
相談先

改正された民法では、離婚後も父母の双方を親権者にできますが、子の心身に害悪をおよぼすおそれや、DVなどで共同して親権を行うことがむずかしいときは、裁判所は必ず一方だけを親権者にします。
まとめ
- 2026年4月1日から、離婚後も父母の双方を親権者にできる(民法819条)。改正前に離婚した人も変更の申立てができる
- 子の心身に害悪をおよぼすおそれ、DVなどで共同が困難なときは、裁判所は必ず単独親権(819条7項)。身体的DVだけでなく、精神的・経済的・性的DVもふくまれうる
- 双方が親権者でも、日常の行為(食事・習い事・アルバイトなど)は一人で、急迫の事情(DVからの避難・緊急の医療・入学手続きの期限)も一人で(824条の2)
- 転居や入学・退学は、原則として二人で
- 父母は、婚姻の有無にかかわらず互いに人格を尊重し協力する義務(817条の12)。子の前での悪口も違反とされうる
- 離婚の基本は結婚・離婚の法律もどうぞ
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第766条・第766条の3・第817条の12・第819条・第824条の2. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月12日)
- 法務省. 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕. https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html (閲覧日:2026年10月12日)
- 父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議. Q&A形式の解説資料(民法編)(令和7年6月30日取りまとめ). 法務省(PDF). https://www.moj.go.jp/content/001442329.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。