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プレ男スイスの巨大な実験装置で、ブラックホールができちゃうって本当?地球が飲みこまれたらどうしよう…。

メル美「ブラックホール」って聞くと、こわくなるよね。研究している人たちは、どう考えたんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 「都市伝説にマジレス」、今回は「加速器LHCがブラックホールを作って地球が飲みこまれる」説です。CERN(欧州原子核研究機構)の公式サイトと、CERNのLHC安全評価グループ(LSAG)の報告(2008年、物理学の学術誌 Journal of Physics G に掲載)をもとにまとめました。
LHCってどんな装置?
CERNの公式サイトによると、
- LHC(大型ハドロン衝突型加速器)は、世界でいちばん大きく、強力な粒子加速器です
- フランスとスイスの国境、ジュネーブの近くの地下100mのトンネルに、1周約27kmのリングがあります
- 陽子などの粒子を光の速さ近くまで加速して、正面からぶつけます。磁石は−271.3℃まで冷やされ、宇宙空間より冷たい状態で動いています
- 2008年9月10日に初めて陽子が回りました。2012年には、長く探されていたヒッグス粒子の発見につながりました
うわさのもと:「小さなブラックホール」
- 物理学の一部の理論(まだ確かめられていない仮説)では、LHCのような高いエネルギーの衝突で、ごく小さなブラックホールができる可能性が考えられていました
- CERNの公式サイトは、「アインシュタインの相対性理論では、LHCでブラックホールはできない。一部の推測的な理論はごく小さなブラックホールができると予想するが、それらの理論はすべて、すぐに消えてしまうと予想している。だから、物を吸いこんで大きな影響を及ぼす時間はない」と書いています

メル美もしできるとしても、すぐ消えちゃうってことなんだね。
いちばん強い答え:「自然がもう、同じ実験をしている」
LSAGの報告のいちばんのポイントは、宇宙線です。宇宙からは、とても高いエネルギーの粒子(宇宙線)が、いつも地球に降りそそいでいます。
- LHCの陽子どうしの衝突と同じエネルギーは、宇宙線の陽子が地球などにぶつかるとき、宇宙線のエネルギーが10の17乗電子ボルト以上あれば生まれます
- 観測されているいちばん高いエネルギーの宇宙線は、10の20乗電子ボルトほど。LHCよりずっと上です
- 報告の計算では、地球ができてから(約45億年)、LHC以上のエネルギーの宇宙線が3×10の22乗個以上、地表にぶつかってきました
- これは、LHCの実験計画の約10万回分を、自然がすでに地球の上でやってきたことになります。報告は「それでも地球はまだある」と書いています
さらに、
- 太陽は地球より表面積が約1万倍大きいので、太陽の上では、LHCの実験計画が約10億回分行われてきたことになり、「太陽もまだある」
- 宇宙全体では、宇宙が始まってから10の31乗回分。いまも1秒ごとに約3×10の13乗回分がくり返されています。でも、星々は今も存在しています

プレ男LHCより強い衝突が、毎日ふつうに起きてたのか!それで地球が平気なら、たしかに安心かも。
「もし消えないブラックホールができたら?」にも答えている
報告は、さらに慎重な場合も考えています。
- ごく小さなブラックホールは「ホーキング放射」で消えると考えられていて、LHCでできたとしても、検出器の壁に届く前に消えると予想されます
- 消えないブラックホールができるとしたら、量子力学や一般相対性理論の基本的な原理が破れている必要がある、と報告は書いています
- それでも「もし消えないものがあったら」と考えると、宇宙線でできたものは地球や太陽の中で止まり、たまっていくはずです。地球や太陽、さらに中性子星や白色わい星のような天体が長く安定して存在していることから、そうしたブラックホールが危険をもたらすことは考えられない、と結論しています
- 報告は、ブラックホールのほかに、「真空の泡」「磁気単極子」「ストレンジレット」といった仮説上のものも調べ、どれにも危険はないとしています

LHCより高いエネルギーの宇宙線は、地球ができてから3×10の22乗個以上ぶつかってきました。自然はLHCの実験を約10万回分すでに行っていて、それでも地球は無事です。
「わからない」ときの確かめ方
- 「ブラックホール」「地球が消える」と聞けば、こわくなるのはあたりまえです
- この報告がおもしろいのは、「理論的に大丈夫」というだけでなく、「自然の中で、もっと強い衝突がずっと起きている。その結果を見れば安全かどうかわかる」という、観測にもとづく確かめ方をしている点です
- LHCはその後、2015年に13兆電子ボルト、2022年に13.6兆電子ボルトとエネルギーを上げて運転を続けてきた、とCERNは書いています
まとめ
- LHCは、1周約27km、地下100mにある世界最大の粒子加速器(2008年9月10日に始動)
- CERNの安全評価:LHC以上のエネルギーの宇宙線は、地球ができてから3×10の22乗個以上。自然はLHCの実験を約10万回分行ってきたが、地球はまだある
- ごく小さなブラックホールができてもすぐ消えると予想され、もし消えなくても、地球・太陽・中性子星などが安定していることから危険はないと結論
- 「世界の終わり」のうわさは、2012年人類滅亡説もどうぞ
参考文献
- CERN. The Large Hadron Collider. https://home.cern/science/accelerators/large-hadron-collider (閲覧日:2026年10月22日)
- Ellis J, Giudice G, Mangano M, Tkachev I, Wiedemann U (LHC Safety Assessment Group). Review of the Safety of LHC Collisions. J Phys G. 2008;35:115004.(CERN-PH-TH/2008-136、arXiv:0806.3414 の本文で確認)https://arxiv.org/abs/0806.3414 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。