
メル美父が、最近まぶたが下がってきて、物が二重に見えるって言うの。すぐ疲れるみたい。

プレ男疲れ目かな?それとも、まぶたの病気?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、重症筋無力症の話です。難病情報センターの「重症筋無力症」(令和7年11月更新、神経免疫疾患領域の研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 神経と筋肉のつなぎ目(神経筋接合部)で、筋肉側の信号の受け手(受容体)が、自己抗体によって壊される自己免疫の病気です。神経からの信号が筋肉に伝わらなくなり、力が入らなくなります
- 自己抗体の標的は、アセチルコリン受容体が約85%、MuSKという分子が数%で、どちらも陽性にならない人も10%未満います
- 抗アセチルコリン受容体抗体をもつ人の約75%に、胸腺の異常(胸腺過形成、胸腺腫)が合併します
- 遺伝はしません
どんな人に多い?
- 2018年の全国調査で、患者さんは29,210人(人口10万人あたり23.1人)。2006年の15,100人から、約2倍に増えています
- 男女比は1対1.15で女性にやや多く、発症年齢の中央値は59歳、50歳以上の発症が66.1%と増えています
症状
- 筋力の低下と疲れやすさが症状です。体のどの筋肉にも出ますが、とくに目の症状が起こりやすいのが特徴です
- まぶたが下がる(眼瞼下垂)
- 物が二重に見える(複視)
- 目の症状だけのものを眼筋型、全身に症状があるものを全身型と呼びます
- 話しにくい、飲みこみにくい、手足の力が入らないなどが目立つ人もいます
- 悪くなると呼吸の筋肉がまひして呼吸ができなくなることがあり、これをクリーゼと呼びます

メル美まぶたが下がる、物が二重に見える…父の症状は、重症筋無力症の目の症状にも当てはまるんだ。
治療
- 対症療法:神経から筋肉への信号を強める薬。ただし、あくまで一時的な治療です
- 免疫療法(治療の基本):原因の抗体をつくるのを抑えたり、取り除いたりします。ステロイド、免疫抑制薬、血液から抗体を取り除く治療、免疫グロブリンの大量点滴、新しい抗体製剤などがあり、症状や状態に応じて選びます。ステロイドは、維持の量は少なめにとどめることがすすめられています
- 胸腺腫がある場合は、まず手術で取り除く必要があります。胸腺腫は早く見つかれば一括して切除でき、経過のよい腫瘍です
経過と生活の注意
- 自己抗体の検査が多くの施設でできるようになり、早期診断・早期治療が行われるようになったため、経過は比較的良好です
- 約半数は、発症後も日常生活や仕事に支障のない生活を送ることができます。ただし、完全に治療がいらなくなる人は6%程度で、ほかの人は治療を続けています。治療してもあまりよくならない人も10〜20%います
- ステロイドなどの免疫抑制薬を飲んでいるときは、生ワクチンは受けられません。インフルエンザなどの不活化ワクチンは、むしろ積極的に受けるべきとされています
- 妊娠や授乳で、赤ちゃんによくない影響のある薬もあるので、主治医によく相談しましょう

重症筋無力症は、とくにまぶたが下がる、物が二重に見えるといった目の症状が起こりやすい病気です。悪くなると呼吸の筋肉がまひすることもあります。早期診断・早期治療で、約半数は支障のない生活を送ることができます。

プレ男疲れ目と決めつけずに、お父さんに早めに病院で相談するよう伝えてあげて。
まとめ
- 神経から筋肉への信号の受け手が自己抗体で壊される病気
- まぶたが下がる・物が二重に見えるなど目の症状が多い。飲みこみや話しにくさも
- 全国に約2万9千人、10年で約2倍。発症の中央値は59歳
- 重くなると呼吸の筋肉がまひ(クリーゼ)
- 治療の基本は免疫療法。胸腺腫は手術。約半数は支障のない生活
参考文献
- 難病情報センター. 重症筋無力症(指定難病11)(情報更新日:令和7年11月、神経免疫疾患領域における難病の医療水準と患者のQOL向上に資する研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/120 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。