
プレ男えらい王さまが、がんばりすぎてつかれちゃう話? なんだか身近だね。

メル美つかれて昼寝をしたら、夢でふしぎな国に行ったんだって。そこで、だいじなことに気づくの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の黄帝と華胥の国の夢です。思想書『列子』の黄帝篇の原文(ウィキソース)を読みました。黄帝が蚩尤とたたかう話は黄帝と蚩尤へ。華胥は、伏羲の母の名としても出てきます(伏羲と神農)。同じ『列子』の話は歌と琴の名人たちへ。
プロフィール
| 黄帝 | 位について30年、天下のために心をくだき、からだも心もつかれはてた |
| 夢の国 | 華胥氏の国。弇州の西、台州の北にあり、舟や車や足では行けない。心だけが遊びに行ける |
| 国のようす | 王もおさもなく、人々に欲がない。すべて「自然のまま」 |
| ふしぎな力 | 水に入ってもおぼれず、火に入ってもあつくない。空を歩き、雲や霧も目をさえぎらない |
| 黄帝のさとり | 「いちばんの道は、思いでもとめるものではない」 |
| その後 | 28年後、天下はよくおさまり、ほとんど華胥の国のようになった |
1. つかれはてた黄帝
- 黄帝は、位について15年、天下の人々にしたわれるのをよろこび、自分の命をやしない、耳や目、鼻や口をたのしませました。けれども、肌の色はくすみ、心はぼんやりしてしまいました
- さらに15年、こんどは天下がおさまらないのを心配し、知恵と力をつくして人々のためにはたらきました。それでも、肌の色はくすみ、心はぼんやりしたままでした
- 黄帝はため息をついて言いました。「わたしのやりすぎだ。自分ひとりをやしなっても、このようにわずらいがある。すべてをおさめようとしても、このようにわずらいがある」
- そこで黄帝は、まつりごとをはなれ、宮殿をでて、そばづかえをさげ、鐘をかたづけ、食事をへらして、しずかな館でくらしました。心をととのえ、3か月、政治にかかわりませんでした
2. 華胥氏の国
- ある日、黄帝は昼寝をして、夢で華胥氏の国へ遊びに行きました
- その国は、斉の国から何千万里はなれているかもわからず、舟や車や足で行けるところではありません。心だけが遊びに行ける国でした
- その国には、先生もおさもなく、ただ自然のままでした。人々には欲がなく、ただ自然のままでした
- 生きることをたのしむことも、死ぬことをいやがることも知らないので、若くして死ぬ者がいません。自分をひいきすることも、ものを遠ざけることも知らないので、愛もにくしみもありません。そむくことも、したがうことも知らないので、損も得もありません

メル美欲も、愛もにくしみも、損も得もない国…。だから、争いもないんだね。
3. ふしぎな人々
- 華胥の国の人々は、水に入ってもおぼれず、火に入ってもあつくありません。たたかれてもいたまず、つねられてもかゆくありません
- 空を歩くのは地面をふむようで、なにもないところでねむるのは、ベッドの上にいるようでした
- 雲や霧も目をさえぎらず、雷も耳をみださず、美しいもの・みにくいものも心をかきみださず、山や谷も足をつまずかせません。「心のままに歩くだけ」でした
4. 目ざめた黄帝
- 目ざめた黄帝は、すっかりここちよくなり、家来の天老・力牧・太山稽をよんで言いました
- 「わたしは3か月しずかにくらし、身をやしない、ものをおさめる道を考えたが、その方法はわからなかった。つかれてねむると、こんな夢を見た。いま、いちばんの道は、思いでもとめるものではないとわかった。わたしはわかった、わたしはつかんだ。けれども、それを、おまえたちに伝えることはできない」
- それから28年、天下はよくおさまり、ほとんど華胥氏の国のようになりました。黄帝がなくなると、人々は泣きさけび、その声は200年あまりやまなかった、と『列子』は語ります

プレ男がんばればがんばるほど、うまくいかなかったのに、休んだらわかった…。休むのも、だいじなんだね。
5. 列姑射山の神人
同じ黄帝篇には、もうひとつの理想郷も出てきます。
- 「列姑射山は、海と川の中洲にある。山の上には神人がいて、風を吸い、露を飲み、五穀を食べない」
- 神人の心は深い泉のようで、ほどこしもめぐみもしないのに、ものは自然にたりていました
- その山では、陰と陽がいつもととのい、太陽と月はいつも明るく、四季はいつもほどよく、風と雨はいつもひとしく、毎年の実りはいつもゆたかでした。人に若死にや病はなく、ものにきずもなかった、と書かれています

『列子』黄帝篇では、目ざめた黄帝は「いちばんの道は、思いでもとめるものではない」とさとり、28年後、天下はほとんど華胥氏の国のようになった、と語られています。
まとめ
- 黄帝は、天下のためにがんばりすぎて、からだも心もつかれはてた
- まつりごとをはなれてしずかにくらし、昼寝の夢で華胥氏の国へ行った
- そこは、王もおさもなく、欲も、愛もにくしみもない、自然のままの国だった
- 目ざめた黄帝は「いちばんの道は、思いでもとめるものではない」とさとり、天下はほとんど華胥の国のようになった
- 黄帝の戦い黄帝と蚩尤、華胥が母として出てくる伏羲と神農、同じ『列子』の歌と琴の名人たちもどうぞ
参考文献
- 『列子』卷第二 黄帝篇(黄帝が華胥氏の国を夢みる条、列姑射山の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/列子/黃帝篇 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


