
プレ男神農って、漢方の神さまって聞いたことある!

メル美中国の古い本では、草を自分でなめて薬を見つけた帝王なんだって。その前の帝王・伏羲といっしょに見てみよう。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国神話の伏羲(ふっき)と神農(しんのう)です。唐の司馬貞が『史記』のはじめにおぎなった『三皇本紀』と、『易経』繋辞下伝の原文(ウィキソース)を読みました。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

狩野探幽「神農像」1665年、日本・江戸時代。三幅対の1幅、絹本着色(部分を切り出し)。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 伏羲 | 神農 | |
|---|---|---|
| よび名 | 太皞(たいこう)、庖犧(ほうぎ)、宓羲(ふっき) | 炎帝、神農氏 |
| すがた | ヘビの体に、人の頭 | 人の体に、牛の頭 |
| 母 | 華胥(かしょ)。雷沢で大きな人の足あとをふんで、伏羲を生んだ | 女登(じょとう)。神竜に感じて神農を生んだ |
| 徳 | 木の徳 | 火の徳 |
| したこと | 八卦をえがく、文字を作る、網で狩りと漁を教える | すき・くわで耕すことを教える、百草をなめて医薬をひらく、市場をひらく |
| 都 | 陳 | はじめ陳、のちに曲阜 |
1. 天と地を見て、八卦をえがく(伏羲)
『易経』繋辞下伝と『三皇本紀』です。
- 「むかし、包犧氏(伏羲)が天下の王となったとき、あおいでは天の形を見て、ふしては地のきまりを見て、鳥やけもののもようと、土地にふさわしいものを見た。近くは自分の体から、遠くはさまざまなものから学び、はじめて八卦をえがいた」(『易経』繋辞下伝)
- 「こうして、神々の徳に通じ、すべてのもののありさまを分類した。縄を結んで網を作り、狩りと漁をした」
- 『三皇本紀』は、さらにこうつけくわえます。伏羲は「書契(文字)を作って、縄の結び目で記録していた政治にかえた」。また「はじめて結婚のきまりを作り、2枚の皮をおくりものとした」
2. 竜のしるしと、名前のいわれ(伏羲)
- 『三皇本紀』によると、伏羲のときには竜のめでたいしるしがあらわれたので、竜の名で役人の名をつけ、「竜師」とよばれました
- 網を作って狩りと漁を教えたので「宓羲氏」とよばれ、いけにえの動物を育てて料理したので「庖犧」とよばれた、と書かれています
- また、25本の弦の瑟(しつ、琴のなかま)を作ったといいます
- 『三皇本紀』は、伏羲のあとに位についたのは、同じく「ヘビの体に人の頭」の女媧だった、とつづけています(くわしくは女媧)

プレ男伏羲も女媧も、ヘビの体に人の頭なんだ!
3. 耕すことを教える(神農)
- 『易経』繋辞下伝は、「包犧氏が亡くなると、神農氏がおこった。木をけずってすきの刃を作り、木をまげてすきの柄を作り、耕すことの利を天下に教えた」と書いています
- 「日中に市場をひらいて、天下の人びとと品物を集め、とりかえて帰り、それぞれが必要なものを手に入れた」
- 『三皇本紀』は、神農は「人の体に牛の頭」で、姜水(きょうすい)のほとりで育ったので姜を姓にした、と書きます。火の徳で王になったので炎帝とよばれ、「はじめて耕すことを教えたので、神農氏とよばれた」といいます
4. 百草をなめて、薬をひらく(神農)
- 『三皇本紀』には、こう書かれています。「赤いむちで草木を打ち、はじめて百草をなめて、はじめて医薬があった」
- 神農は、五弦の瑟も作り、伏羲の八卦を重ねて64の卦にした、ともいいます
- 神農氏の子孫は8代、530年あまりつづき、そのあとを軒轅氏(黄帝)がついだ、と『三皇本紀』は書いています(くわしくは黄帝と蚩尤)

メル美「百草をなめて医薬のはじまり」って、まさに薬の神さまだね。
5. 『三皇本紀』という本
- 『三皇本紀』は、唐の司馬貞が、『史記』が五帝からはじまっていることを不十分と考えて、昔の資料を集めて書きおぎなったものです
- 司馬貞自身も、「三皇のことは、書物にほとんどのこっていない」と書き、皇甫謐(こうほひつ)の『帝王世紀』や徐整の『三五暦紀』などを集めた、とことわっています。ウィキソースの解説も、正史としてはあつかわれていない、と説明しています

司馬貞『三皇本紀』によると、神農は赤いむちで草木を打ち、はじめて百草をなめて、医薬のはじまりをひらきました。
まとめ
- 伏羲は、ヘビの体に人の頭。天と地を見て八卦をえがき、文字を作り、網で狩りと漁を教えた
- 神農は、人の体に牛の頭。すき・くわで耕すことを教え、市場をひらいた
- 神農は赤いむちで草木を打ち、百草をなめて医薬をひらいた
- 『三皇本紀』は、唐の司馬貞が古い資料を集めておぎなった本
- 伏羲のあとをついだ女媧、神農のあとの黄帝と蚩尤、日本神話で病をいやす方法を定めたとされるスクナビコナ、中国神話の入門もどうぞ
参考文献
- 司馬貞『三皇本紀』(唐). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/三皇本紀 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『周易』繫辭下. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/周易/繫辭下 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Kano Tan’yū, Portrait of Emperor Shennong, 1665(14.76.27、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/45699 (閲覧日:2026年10月10日)
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