
プレ男スクナビコナって、小さい神さまだよね。

メル美大国主といっしょに国をつくった神さまなんだって。病をいやす方法を決めたとも書かれているの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回は日本神話のスクナビコナです。『古事記』(武田祐吉訳、青空文庫)と『日本書紀』巻第一(神代上)の原文(ウィキソース)を読みました。日本神話の全体は日本神話の入門へ。

歌川国芳『日本国開闢由来記』巻一より「少名彦命 波の秀に発現(あらわ)れ給ふ」(1860年)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン。作者は1861年没)。もとの本は大英博物館所蔵
プロフィール
| 名前 | スクナビコナ(『古事記』では少名毘古那、『日本書紀』では少彦名命) |
| 親 | 『古事記』ではカムムスビの子、『日本書紀』の一書ではタカミムスビの子 |
| すがた | 蔓芋のさやの舟に乗り、ガの皮(『日本書紀』ではミソサザイの羽)を着た、小さな神 |
| なかま | 大国主(オオナムチ) |
| したこと | 大国主と国をつくり固めた。病をいやす方法と、鳥・けもの・虫の害をふせぐまじないを定めた(『日本書紀』の一書) |
| 行き先 | 海のかなたの常世の国 |
1. 波の上からやってきた神
『古事記』の「スクナビコナの神」の段です。
- 大国主が出雲の御大(みほ)の御埼にいたとき、波の上を、蔓芋(つるいも)のさやを割って舟にし、ガの皮をまるごとはいで着物にして、近づいてくる神がいました
- 名前をたずねても答えません。お供の神々も、だれも知りませんでした
- するとヒキガエルが言いました。「これは、クエビコがきっと知っているでしょう」。クエビコをよんでたずねると、「これはカムムスビの神の御子で、スクナビコナの神です」と答えました
- 『古事記』は、このクエビコは「いまの山田のカカシのこと」で、「足では歩けないが、天下のことをすっかり知っている神」だと書いています

メル美歩けないけど、なんでも知っているカカシの神さま! 田んぼでずっと世界を見ているからかな。
2. 指のあいだからこぼれた子
- 大国主がカムムスビの神にたずねると、「ほんとうにわたしの子だ。子どもたちの中でも、わたしの手の指のあいだからこぼれ落ちた子だ。あなたと兄弟になって、この国をつくり固めなさい」と答えました(『古事記』)
- 『日本書紀』の一書では、話が少しちがいます。大国主が出雲の浜で食事をしようとすると、海の上から人の声がしますが、何も見えません。やがて、白蘞(びゃくれん)という植物の皮の舟に乗り、ミソサザイの羽を着た小さな男が、潮にのってやってきました
- 大国主が手のひらにのせてかわいがると、小さな男はとびはねて、大国主のほおにかみつきました
- 天の神タカミムスビは言いました。「わたしが生んだ子は1500柱。その中にひとり、いちばんいたずらで、教えにしたがわず、指のあいだからこぼれ落ちた子がいる。きっとその子だ。かわいがって育ててくれ」

プレ男ほおにかみつく、やんちゃな神さま! 1500柱の中でいちばんのいたずらっ子なんだ。
3. 病をいやす方法を定める
『日本書紀』巻第一、第八段の一書(第六)です。
- 「大己貴命(大国主)と少彦名命は、力をあわせ、心をひとつにして、天下をつくった」
- 「また、この世の人びとと家畜のために、病をいやす方法を定めた。また、鳥やけもの、虫のわざわいをはらうために、まじないの方法を定めた。こうして、人びとはいまにいたるまで、そのめぐみをうけている」
- あるとき大国主が「わたしたちがつくった国は、よくできたといえるだろうか」とたずねると、スクナビコナは「できたところもあれば、できていないところもある」と答えました。『日本書紀』は、「この話には、深い意味があるのだろう」とそえています
4. 常世の国へ
- 『古事記』では、「のちに、スクナビコナの神は、海のかなたへわたっていってしまいました」とだけ書かれています
- 『日本書紀』の一書では、スクナビコナは熊野の岬へ行き、常世の郷へわたった、とされます。また別の話では、淡島で粟の茎にのぼったところ、はじかれて、常世の郷までとんでいった、といいます
- スクナビコナが去ったあと、大国主は「わたしひとりで、どうやってこの国をつくれようか」となげきました(『古事記』)

『日本書紀』の一書では、大国主とスクナビコナは、人びとと家畜のために、病をいやす方法を定めたとされています。
まとめ
- スクナビコナは、蔓芋(つるいも)のさやの舟に乗って海からやってきた、小さな神
- その名を知っていたのは、カカシの神クエビコだけだった
- 神の指のあいだからこぼれ落ちた子で、『日本書紀』では大国主のほおにかみついたいたずらっ子
- 大国主と国をつくり固め、病をいやす方法やまじないを定めた
- 最後は粟の茎にはじかれて、海のかなたの常世の国へ
- 国ゆずりのタケミカヅチ、医薬のはじまりを語る中国神話の伏羲と神農、日本神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『古事記』武田祐吉訳. 上卷「スクナビコナの神」「御諸山の神」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 『日本書紀』卷第一(神代上)第八段 一書第六. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/日本書紀/卷第一 (閲覧日:2026年10月10日)
- 歌川国芳『日本国開闢由来記』巻一(1860年、大英博物館所蔵). Wikimedia Commons(パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:少彦名命_Sukunahikona_no_mikoto_日本国開闢由来記1.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
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