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プレ男中国神話って、西遊記とか封神演義のこと?

メル美それより、ずっと古い神話があるんだって。盤古とか女媧とか。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、中国神話の成り立ちと大まかなあらすじです。古い漢文の原文を、ウィキソースで読みました(書き下しと訳は Claude によるものです)。
成り立ち:神話は、本のあちこちに
- 中国神話には、ギリシャの『神統記』や日本の『古事記』のような、神話をはじめから順にまとめた本がありません
- 話は、思想書(『淮南子』など)、地理書(『山海経』)、占いの書の解説(『易経』繋辞伝)などに出てきたり、もとの本はなくなって、のちの百科事典に引用されてだけ残っていたりします
- たとえば、天地をひらいた盤古の話は、『三五暦紀』という本にありますが、この本はいま、『芸文類聚』という百科事典の引用で読むことになります
| この記事で読んだ本 | どんな本? |
|---|---|
| 『芸文類聚』 巻1 | 百科事典。徐整『三五暦紀』を引用(盤古の天地開闢) |
| 『繹史』 巻1 | 古代史の資料集。『五運歴年紀』を引用(盤古の体から世界ができる) |
| 『淮南子』 | 思想書。後漢の班固『漢書』芸文志に「淮南内二十一篇」とある。覧冥訓(女媧)、本経訓(羿) |
| 『易経』 繋辞下伝 | 占いの書『易』の解説(伏羲) |
| 『山海経』 西山経 | 山や国、ふしぎな生きものの地理書(西王母) |
| 『太平御覧』 巻78 | 百科事典。『風俗通』を引用(女媧が人間を作る) |
あらすじ1:たまごの中の盤古
『芸文類聚』巻1が引く、徐整『三五暦紀』です。
- 「天地混沌として鶏子(けいし)のごとし。盤古その中に生まる」(天と地は、たまごの中みのようにまざりあっていた。盤古はその中で生まれた)
- 1万8千年たって、天と地がひらけました。すんだ陽が天になり、にごった陰が地になりました
- 盤古はそのあいだで、1日に9回も姿をかえます
- 「天は日に一丈高く、地は日に一丈厚く、盤古は日に一丈長し」。1丈は、背の高さの2倍弱ほどの長さです
- こうして、また1万8千年。天はこのうえなく高く、地はこのうえなく深く、盤古はこのうえなく大きくなりました。だから、天と地は9万里はなれているのだといいます

プレ男毎日のびる巨人が、天と地をおしひろげたってこと!?
あらすじ2:盤古の体から、世界ができた
『繹史』巻1が引く『五運歴年紀』では、盤古が死ぬとき、その体が世界になります(「垂死化身」)。
| 盤古の体 | できたもの |
|---|---|
| 息 | 風と雲 |
| 声 | 雷 |
| 左の目 | 太陽 |
| 右の目 | 月 |
| 手足と体 | 四方の果てと、5つの名山(五岳) |
| 血 | 川 |
| 筋 | 道(地の筋) |
| 肉 | 田畑 |
| 髪とひげ | 星 |
| 皮と毛 | 草や木 |
| 歯と骨 | 金属と石 |
| 骨のずい | 真珠や玉 |
| 汗 | 雨 |
あらすじ3:女媧、天の穴をふさぐ
『淮南子』覧冥訓です。
- 「往古の時、四極廃れ、九州裂け、天は兼ね覆わず、地は周く載せず」(大むかし、天をささえる四方の柱がこわれ、大地はさけ、天はすべてをおおえず、地はすべてをのせられなくなった)
- 火はもえさかって消えず、水はあふれて止まらず、猛獣が人をおそい、猛禽が老人や子どもをさらいました
- そこで女媧(じょか)は
- 5色の石をねって、青い天をつくろい
- 大亀の足を切って、四方の柱にし
- 黒い竜を殺して、冀州(中国の中心の地)を救い
- アシの灰を積んで、あふれる水を止めました
- 天はつくろわれ、四方の柱はまっすぐになり、水はひき、人びとは生きのびました。くわしくは女媧へ
あらすじ4:女媧、黄土から人を作る
『太平御覧』巻78が引く『風俗通』です。
- 「俗に説く。天地開闢して、いまだ人民あらず。女媧、黄土を摶(まる)めて人を作る」
- でも、ひとりずつ手で作るのはいそがしくて、力が追いつきません。そこで女媧は、縄を泥の中に引いて、ふりあげ、とびちった泥を人にしたといいます
- 『風俗通』は、このあとに、手で作った人と縄で作った人で身分がちがう、という当時の「俗説」も書いています
あらすじ5:伏羲と八卦、西王母、羿と10の太陽
- 伏羲(ふっき):『易経』繋辞下伝は、「古(いにしえ)、包犧氏(伏羲)の天下に王たるや、仰いでは天に象(かたち)を観、俯しては地に法を観る」と書きます。鳥やけものの模様、土地のようすを見て、八卦を作り、縄で網を作って、狩りや漁を教えた、といいます
- 西王母(せいおうぼ):『山海経』西山経では、玉山に住み、「その姿は人のようで、ヒョウの尾、トラの歯をもち、よくうそぶく(声を長くひいて鳴く)。髪はみだれ、勝(かんざし)をつけている」。のちの絵では、仙女の女王のようなすがたで描かれます(下の絵)
- 羿(げい)と10の太陽:『淮南子』本経訓では、堯(ぎょう)の時代、「十日並び出で」、作物はこげ、草木はかれ、人びとは食べるものがなくなりました。堯は弓の名人羿に命じ、羿は上は10の太陽を射て、下は怪物たちを退治したので、人びとは堯を天子にした、と書かれています

「西王母への拝謁」15世紀、中国・明時代。扇面(画帖に貼ったもの)、絹本著色。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)

メル美『山海経』の西王母はヒョウの尾とトラの歯なのに、絵では仙女なんだね。時代でイメージが変わるんだ。

中国神話は1冊にまとまっていません。盤古の話も、もとの本はなく、百科事典の引用で読むことになります。
まとめ
- 中国神話には、神話をまとめた1冊の本がない。思想書・地理書・百科事典などの引用に、かけらのように残る
- 盤古:たまごのような混沌の中で生まれ、1日に1丈ずつのびて天と地をおしひろげた。死ぬと、体が太陽・月・山・川・星・草木になった
- 女媧:5色の石で天の穴をふさぎ、大亀の足で四方の柱を立てた。黄土をまるめて人間を作った
- 伏羲は八卦を作り、西王母は『山海経』ではヒョウの尾とトラの歯、羿は10の太陽を射た
- ほかの神話は、日本神話の入門、インド神話の入門、北欧神話の入門もどうぞ
参考文献
- 芸文類聚 巻1(徐整『三五暦紀』の引用). ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/藝文類聚/卷001 (閲覧日:2026年10月6日)
- 繹史(四庫全書本)巻1(『五運歴年紀』の引用). ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/繹史_(四庫全書本)/卷001 (閲覧日:2026年10月6日)
- 淮南子 覧冥訓. ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/淮南子/覽冥訓 (閲覧日:2026年10月6日)
- 淮南子 本経訓. ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/淮南子/本經訓 (閲覧日:2026年10月6日)
- 漢書 巻30 芸文志(班固). ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/漢書/卷030 (閲覧日:2026年10月6日)
- 易伝 繋辞下 第二章. ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/易傳/繫辭下 (閲覧日:2026年10月6日)
- 山海経 西山経. ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/西山經 (閲覧日:2026年10月6日)
- 太平御覧 巻78(『風俗通』の引用). ウィキソース(中国語版). https://zh.wikisource.org/wiki/太平御覽/0078 (閲覧日:2026年10月6日)
- メトロポリタン美術館. Paying homage to Xiwangmu, the Queen Mother of the West, China, Ming dynasty, 15th century(23.33.3、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/45666 (閲覧日:2026年10月6日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



