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プレ男オーディンとかトールとか、ゲームや映画でよく見るけど、北欧神話って全体はどんな話なの?

メル美世界のはじまりから終わりまで、ちゃんと1本の流れになってるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、北欧神話の成り立ちと大まかなあらすじです。スノッリ・ストゥルルソン『新エッダ(スノッリのエッダ)』の英訳(R.B.アンダーソン訳、1879年)を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。
成り立ち:13世紀のアイスランドで書きとめられた
アンダーソン訳の序文は、次のように説明しています。
- 『新エッダ』を書いたのは、スノッリ・ストゥルルソン。1178年にアイスランドで生まれ、何度も国の最高の役職にえらばれた、国でいちばん力のある人物のひとりでした
- 政治の争いの中で、1241年9月22日、レイキャホルトで殺されます。63歳でした
- 1400年ごろに書かれたとされる年代記には、「スノッリは、エッダと、多くの学問的な歴史書やアイスランドのサガをまとめた」とあります
- 神話の部分(『ギュルヴィたぶらかし』など)は、1230年ごろのもの、というのがアンダーソンが紹介するケイセルの説です。でも、その材料はもっと古く、『古エッダ』の詩『巫女の予言』などにあります
- 『新エッダ』のおもな写本は、王の写本(コーデックス・レギウス)など3つ。どれもアイスランドで見つかり、いまはコペンハーゲンとウプサラに保管されています

「ヴァイキングの剣」10世紀、おそらくスカンディナヴィア。鋼・銅・銀・ニエロ。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
- アンダーソンは、『巫女の予言』を「北欧にキリスト教が入るより、アイスランドに人が住みつくより、ずっと古い」と書いています
あらすじ1:氷と炎のあいだ
- 『ギュルヴィたぶらかし』は、スウェーデンの王ギュルヴィが、神々の国をたずねて質問し、3人の王(ハール、ヤヴンハール、スリジ)が答える形で進みます
- 「時のはじまり、なにもなかった。砂も海も、つめたい波もない。大地もなく、天もない。ギンヌンガガプ(大きな裂け目)があるだけで、草はどこにもない」(『巫女の予言』の引用)
- 大地ができるずっと前から、北には氷とつめたさの国ニヴルヘイム、南には明るく熱い炎の国ムスペルヘイムがありました。ムスペルヘイムのさかいには、炎の剣を持つスルトが立っていて、世界の終わりには神々を負かし、世界を火で焼きつくすのだといいます
- ニヴルヘイムから流れる川の毒が氷と霜になり、ギンヌンガガプの北側をうめます。南側はムスペルヘイムの火花で明るく、そのあいだはおだやかでした
あらすじ2:巨人ユミルと牝牛アウズンブラ
- ムスペルヘイムの熱い風が霜にあたってしずくになり、そのしずくから人のすがたのユミルが生まれました。ユミルは神ではなく、悪い者で、その子孫が霜の巨人です
- 霜がとけたしずくからは、牝牛アウズンブラも生まれ、その4本の乳の流れでユミルを養いました
- アウズンブラが霜でおおわれた塩の石をなめると、1日目に髪、2日目に頭、3日目に人のすがた全体があらわれます。これがブーリで、その孫がオーディン、ヴィリ、ヴェーの3兄弟です
あらすじ3:ユミルの体から世界を作る
- オーディンたち3兄弟は、ユミルを殺します。流れた血で霜の巨人はほとんどおぼれ、ベルゲルミルの一家だけが「箱舟」で助かりました
- 3兄弟は、ユミルの体をギンヌンガガプのまん中にはこび、世界を作ります
| ユミルの体 | できたもの |
|---|---|
| 肉 | 大地 |
| 血 | 海や湖 |
| 骨 | 岩 |
| 歯やあご、くだけた骨 | 石や小石 |
| 頭がい骨 | 天(四すみを東西南北の4人の小人がささえる) |
| まゆ毛 | 人間の住むミズガルズをかこむ、巨人よけのとりで |
| 脳 | 雲 |
- ムスペルヘイムの火花を天において、天と地を照らし、それから日や年が数えられるようになった、といいます

プレ男世界ぜんぶが、巨人の体でできてるのか…!
あらすじ4:最初の人間と、神々の国
- 3兄弟が海辺を歩いていると、2本の木を見つけ、それで人間を作りました。1人目はいのちを、2人目は知恵と動く力を、3人目はすがた・言葉・耳・目をあたえます
- 男はアスク、女はエムブラと名づけられ、すべての人間はこの2人の子孫だとされます
- 神々は、世界のまん中にアースガルズというとりでを作って住みました。オーディンが高座フリズスキャールヴにすわると、世界じゅうと、人がなにをしているかが見えたといいます
- オーディンの妻はフリッグ。その子孫がアース神族で、オーディンは「万物の父」とよばれます。くわしくはオーディンへ
- 世界には、すべての木の中でいちばん大きいトネリコ、世界樹ユグドラシルがそびえています
あらすじ5:神々の物語から、最後の日へ
- 神々は、巨人と知恵や力をくらべたり(トールとウートガルザ・ロキ)、怪物の子どもたちに手を焼いたりします(フェンリル、ヨルムンガンド)。雷の神のくわしい話はトールへ、いたずら者の神はロキへ
- 光の神バルドルが、ロキのたくらみで殺されると(バルドルの死)、ロキは神々にしばりつけられます(ロキへの罰)
- そして、夏の来ない冬が3年続き、炎の巨人スルトが世界を焼きつくす、神々の最後の日ラグナロク。そのあとには、緑の大地がよみがえると語られます

メル美はじまりにいたスルトが、最後にも出てくるんだね。

スノッリの『新エッダ』によると、オーディンたち3兄弟は巨人ユミルの肉から大地を、血から海を、骨から岩を、頭がい骨から天を作りました。
まとめ
- 北欧神話のまとまった形は、13世紀アイスランドのスノッリ・ストゥルルソン(1178〜1241年)の『新エッダ』。材料は『巫女の予言』などの古い詩
- はじまりはギンヌンガガプ。北に氷のニヴルヘイム、南に炎のムスペルヘイム
- しずくから巨人ユミルと牝牛アウズンブラ。塩の石から、オーディンたちの祖先ブーリ
- オーディン、ヴィリ、ヴェーがユミルを殺し、その体から世界を作った
- 2本の木から最初の人間アスクとエムブラ。神々はアースガルズに住む
- 最後は神々の最後の日ラグナロク。ギリシャ神話の流れはギリシャ神話の入門、ほかにケルト神話の入門、メソポタミア神話の入門もどうぞ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; Also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). 序文、Gylfaginning 4〜9章. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月6日)
- メトロポリタン美術館. Viking Sword, 10th century(55.46.1、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/24832 (閲覧日:2026年10月6日)
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