
プレ男バルドルを死なせたロキは、そのあとどうなったの?

メル美サケに化けてにげたんだって。しかも、「地震」の説明になってるらしいよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、北欧神話のロキの罰です。スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』の英訳(R.B.アンダーソン訳『The Younger Edda』、1879年)の54節を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。

ローレンツ・フレーリク「ロキとシギュン」1895年刊、カール・ギェレルプ訳『古エッダ 神々の歌』の挿絵(フレーリクは1908年没)。シギュンが器をあけるあいだに、しばられたロキに毒が落ちる場面。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
ロキとは
| 名前 | ロキ(英訳では Loke、Lopt) |
| 父・母 | 巨人ファールバウティ(英訳では Farbaute)と、ラウフェイ |
| 性格 | 「うそのもとをつくった者、神々と人間の恥」。顔は美しいが、心はねじけていて気まぐれ。ずるがしこさでは、だれにも負けない。神々をたびたび大変な目にあわせ、たびたび知恵で助けもした |
| 妻 | シギュン |
| 子 | 狼フェンリル、大蛇ヨルムンガンド、冥界の女王ヘル(女巨人アングルボザとの子)。シギュンとの子にナリ(ナルヴィ)。54節には息子ヴァーリも出てくる |
| 出典 | 『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」33・34・54節(アンダーソン訳の節番号) |
サケに化けて、滝にひそむ
- ロキは、バルドルを死なせ、さらにバルドルが冥界から帰るのもじゃましました。神々はひどく怒ります
- ロキは逃げて、岩の中に四方に戸のある家を建て、どこからでも外が見えるようにしました
- 昼のあいだはたびたびサケに化けて、フラーナングの滝にかくれます
自分で考えた「網」が、あだに
- ある日、家にいたロキは、神々がどんな手で自分をつかまえに来るかを考えながら、麻の糸で網の目を編んでいました。のちに人間が使う網の始まりです
- そこへ、フリズスキャールヴ(英訳では Hlidskjalf)からロキの居場所を見たオーディンたちが近づいてきます。ロキは網を火に投げこんで川にとびこみました
- 家に入った神々のうち、いちばん賢いクヴァシルが、火の中の網の燃えかすを見て、「魚をとるための道具だ」と見ぬきます。神々は燃えかすの形をまねて、網をつくりました

プレ男自分で発明した網で、自分がつかまるなんて…!
「サケのしっぽが細い」わけ
- 1回目、ロキは2つの石のあいだにふせて、網をやりすごしました
- 2回目、神々は重いおもりをつけます。ロキは海の近くで網を飛びこえ、滝へもどりました
- 3回目、神々は2組に分かれ、トールが川のまんなかを歩きます。ロキはまた網を飛びこえますが、トールがつかみました。ロキの体はすべり、トールがしっかりつかめたのはしっぽのところ
- 『散文のエッダ』は、「だから、サケのしっぽはこんなに細いのだ」と書いています
岩と、蛇の毒と、シギュンの器
- つかまったロキは、洞窟に連れていかれます。神々は3つの岩を立てて穴をあけ、ロキの息子たちを使ったむごいやり方で、ロキを肩・腰・ひざの下の3つの岩にしばりつけました。しばったものは鉄に変わりました
- スカジ(巨人スィアチの娘で、神ニョルズの妻)は蛇をロキの上につるし、毒がロキの顔にしたたり落ちるようにしました
- ロキの妻シギュンは、そばに立って、毒のしずくを器で受けとめています
- 器がいっぱいになると、シギュンは毒をすてに行きます。そのあいだ、毒はロキの顔に落ち、ロキがはげしく身をよじるので、大地全体がゆれます。「これを、あなたがたは地震と呼んでいる」
- ロキは、世界の終わりラグナロクまで、そこにしばられています

メル美ずっと器を持ってそばにいるシギュンが、いちばんつらいかも…。

『散文のエッダ』によると、ロキの妻シギュンが器をあけにいくあいだ、蛇の毒がロキの顔に落ち、ロキが身をよじると大地がゆれます。それを人々は地震と呼んでいる、と書かれています。
まとめ
- ロキは、バルドルを死なせ、冥界から帰るのもじゃましたため、神々に追われた
- サケに化けて滝にひそんだが、自分が考えた網の燃えかすから、神々に網のつくり方を知られた
- トールにしっぽをつかまれたので「サケのしっぽは細い」
- 岩にしばられ、蛇の毒が顔に落ちる。妻シギュンが器で受けとめる
- 器をあけるあいだに毒が落ち、ロキが身をよじると地震になる。ラグナロクまでそのまま
- ロキの子どもたちはフェンリル、ヨルムンガンド、スレイプニルの記事で
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). Gylfaginning 33, 34, 54. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月4日)
- Wikimedia Commons. File:Loki and Sigyn by Frølich.jpg(Lorenz Frølich、Karl Gjellerup『Den ældre Eddas Gudesange』1895年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Loki_and_Sigyn_by_Frølich.jpg (閲覧日:2026年10月9日)
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