
メル美フェンリルのきょうだいに、世界をぐるっと一周する大蛇がいるんだって。

プレ男世界一周!?そんな大蛇を、雷神トールが釣りあげようとしたらしいよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 世界の幻獣、今回は北欧神話のヨルムンガンド(ミズガルズの大蛇)です。スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』の英訳(R.B.アンダーソン訳『The Younger Edda』、1879年)を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。
プロフィール
| 名前 | ヨルムンガンド(英訳では Jormungand)。ミズガルズの大蛇(Midgard-serpent)とも |
| 父・母 | 神ロキと、女巨人アングルボザ |
| きょうだい | 狼フェンリル、冥界の女王ヘル |
| すみか | 海のまんなか。すべての陸地をとりまき、自分のしっぽをかんでいる |
| 宿敵 | 雷神トール |
| 出典 | 『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」34・47・48・49・55・56節(アンダーソン訳の節番号) |
海に投げこまれ、世界をとりまく
- ロキの3人の子が災いをもたらすという予言を知った主神オーディンは、子どもたちを連れてこさせます
- 大蛇は、すべての陸地をとりまく深い海に投げこまれました。そこで大蛇は大きくなり、海のまんなかに横たわって、すべての陸地をとりまき、自分のしっぽをかんでいるのです

メル美人間の住む世界(ミズガルズ)を、まるごとかこむ大きさなんだ…。
「ネコ」の正体は大蛇だった
- 雷神トールは、巨人の王ウートガルザ・ロキの城で力くらべをします。そのひとつが、灰色の大きなネコを床から持ち上げること。トールはがんばっても、ネコの足を1本上げることしかできませんでした
- あとでウートガルザ・ロキは、正体を明かします。「あれはネコではなく、すべての陸地をとりまくミズガルズの大蛇だった。しっぽと頭が地面にとどくかどうかの長さしかないのに、あなたは手が天にとどくほど高く持ち上げた。見ていた者はみなおそろしくなった」
- この話を聞いたトールは、いつか大蛇との対決をしようと心に決めます
トールの「世界蛇つり」
- トールは、若者の姿で巨人ヒュミルの家にとまり、朝、一緒に海釣りに出ます。ヒュミルは「おまえは小さいから役に立たない。寒くなるぞ」とばかにしました
- えさは自分で用意しろと言われたトールは、ヒュミルの牛のなかでいちばん大きな雄牛の頭をねじり取り、えさにします
- いつもの釣り場をすぎても、トールはこぎ続けます。ヒュミルが「これ以上は、ミズガルズの大蛇がいて危ない」と言っても、さらに沖へ
- トールが牛の頭をつけた太い糸を海にしずめると、大蛇がくいつき、針が上あごにささります。大蛇が引っぱると、トールの両手は船べりにたたきつけられました
- 怒ったトールが神の力でふんばると、両足が船底をつきぬけて、海の底に立つほど。トールは大蛇を船べりまで引き上げ、大蛇は毒をはきながらにらみ返します
- トールがハンマーをふり上げたその瞬間、こわくなったヒュミルが糸を切ってしまい、大蛇は海へしずみました。トールはハンマーを投げつけ、「海の底で頭を打ち落とした」という話もありますが、語り手は「大蛇はまだ生きて海にいると思う」と言っています

「ミズガルズの大蛇をつるトールとヒュミル」18世紀、アイスランドの写本 SÁM 66(ヤコブ・シグルズソン画、アウルニ・マグヌッソン研究所所蔵)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)

プレ男足が船底をつきぬけるほどふんばったのに、あと少しで糸を切られた…!ヒュミル、空気読んで!
ラグナロク:最後の対決
- 世界の終わりの日には、大蛇が巨人のように怒ってのたうち、陸に上がろうとします。海があふれ、大蛇は毒をはきちらして空と海をけがし、兄弟の狼フェンリルのとなりに立ちます
- トールはミズガルズの大蛇を打ちたおして大きな名声を得ます。でも、9歩下がったところで、大蛇にふきかけられた毒で、トールも地にたおれて死んでしまいます

『散文のエッダ』によると、ミズガルズの大蛇は海のまんなかに横たわり、すべての陸地をとりまいて、自分のしっぽをかんでいます。
まとめ
- ヨルムンガンドは、ロキの子の大蛇。海に投げこまれ、すべての陸地をとりまいて自分のしっぽをかむほど大きくなった
- トールが持ち上げた巨人の「ネコ」は、じつはこの大蛇だった
- トールは雄牛の頭をえさに大蛇を釣り上げたが、巨人ヒュミルに糸を切られた
- ラグナロクでは、トールが大蛇を倒すが、9歩下がって毒でたおれる
- ネコの正体の話はトールと巨人の王の力くらべ、きょうだいの狼はフェンリル、ロキが生んだ8本足の馬はスレイプニル、ギリシャ神話の大蛇の怪物はテュポン、ヒュドラもどうぞ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). Gylfaginning 34, 47–49, 55, 56. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月4日)
- Wikimedia Commons. File:Thor and Hymir.jpg(Jakob Sigurðsson、18世紀アイスランドの写本 SÁM 66、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Thor_and_Hymir.jpg (閲覧日:2026年10月6日)
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