世界の神話Mythos

Norse Mythology

トールと巨人の王ウートガルザ・ロキの力くらべ大食い・かけっこ・飲みくらべ・ネコ持ち上げ・すもう、ぜんぶ負け。でも相手は「火」「考え」「海」「世界の大蛇」「老い」だった

2026年10月4日

ほおづえをついた巨大な巨人の顔を見上げて、ハンマーを持ったかぶとの男が立ち、そのうしろで若者たちがおびえている線画
エルマー・ボイド・スミス「わたしは巨人スクリューミルだ」1902年刊、アビー・ファーウェル・ブラウン『巨人たちの時代に』の口絵(スミスは1943年没)。旅の途中でトールが出会う巨人で、のちに、じつはウートガルザ・ロキだったとわかります。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
目次
  1. 巨人の王の城へ
  2. 5つの力くらべ、ぜんぶ負け
  3. 別れぎわの、大どんでん返し
  4. まとめ

プレ男雷神トールって最強の神さまでしょ?力くらべで負けることなんてあるの?

メル美巨人の国で、ぜんぶ負けた話があるんだって。でも最後に大どんでん返しがあるよ。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、北欧神話のトールとウートガルザ・ロキの力くらべです。スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』の英訳(R.B.アンダーソン訳『The Younger Edda』、1879年)の47〜48節を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。

ほおづえをついた巨大な巨人の顔を見上げて、ハンマーを持ったかぶとの男が立ち、そのうしろで若者たちがおびえている線画

エルマー・ボイド・スミス「わたしは巨人スクリューミルだ」1902年刊、アビー・ファーウェル・ブラウン『巨人たちの時代に』の口絵(スミスは1943年没)。旅の途中でトールが出会う巨人で、のちに、じつはウートガルザ・ロキだったとわかります。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)

巨人の王の城へ

5つの力くらべ、ぜんぶ負け

勝負 挑んだ人 相手 結果
大食い ロキ ロギ 肉の入った長い桶の両はしから食べ、まんなかで会う。ロキは肉だけ、ロギは肉も骨も桶まで食べた
かけっこ シャールヴィ フギ 3回走って3回とも大差で負け
飲みくらべ トール 角の杯 「1回で飲みほせば上手、3回で飲めないやつはいない」と言われたが、3回でも少ししか減らない
ネコ持ち上げ トール 灰色の大きなネコ 全力で持ち上げても、ネコは足を1本上げただけ
すもう トール 王の育ての親の老婆エッリ トールが力を入れるほど老婆は強くなり、トールは片ひざをついた

プレ男おばあさんにまで負けた!?トール、どうしちゃったの…。

別れぎわの、大どんでん返し

翌朝、城を出たところで、王はトールに本当のことを打ち明けます。「城を出たいまだから言おう。あなたがこんなに強いと知っていたら、城には入れなかった。私は、まぼろしであなたをだましていたのだ」

勝負 じつは…
大食いの相手ロギ 野火(ワイルドファイア)。だから肉と同じ速さで桶まで燃やした
かけっこの相手フギ 王の考え。シャールヴィが考えの速さについていけるはずがない
角の杯 先が海につながっていた。海辺に行けば、あなたが飲んだぶんだけ海が減っているのがわかる。それがいま「引き潮」と呼ばれているものだ
ネコ じつは、すべての陸地をとりまくミズガルズの大蛇。あなたは手が天にとどくほど持ち上げた。見ていた者はみなこわくなった
老婆エッリ 老い。年をとれば、老いに負けない者はいない。それなのに片ひざですんだのは、おどろくべきことだ

メル美火、考え、海、世界の大蛇、老い!負けて当然の相手ばかりだったんだ。引き潮の説明にもなってるのがおもしろい。

『散文のエッダ』によると、トールがすもうで片ひざをついた老婆エッリの正体は「老い」でした。王は「老いに負けない者はいない」と言っています。

まとめ


参考文献

  1. Snorri Sturluson. The Younger Edda; also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). Gylfaginning 46–48. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月4日)
  2. Wikimedia Commons. File:I am the giant Skrymir by Elmer Boyd Smith.jpg(Elmer Boyd Smith〈1860–1943〉、Abbie Farwell Brown『In the Days of Giants』1902年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:I_am_the_giant_Skrymir_by_Elmer_Boyd_Smith.jpg (閲覧日:2026年10月9日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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  1. IX世界の幻獣ヨルムンガンド世界をぐるりと一周して、自分のしっぽをかむ大蛇。雷神トールは牛の頭をえさに「世界蛇つり」に挑み、巨人ネコだと思って持ち上げたのも、じつはこの大蛇だった
  2. II北欧神話ロキの罰バルドルを死なせたロキは、サケに化けて滝ににげた。神々は、ロキ自身が考えた「網」でつかまえる。岩にしばられ、顔に落ちる蛇の毒。妻シギュンが器で受けとめ、器をあける間に毒が落ちると、大地がゆれる
  3. II北欧神話ラグナロク(神々の最後の日)夏の来ない「フィンブルの冬」が3年、狼が太陽と月をのみこみ、炎の巨人スルトが世界を焼く。でもそのあと、緑の大地が海からよみがえり、2人の人間から新しい世界が始まる