
メル美北欧神話で、いちばん悲しい話だって言われてるのが「バルドルの死」なんだって。

プレ男また、いたずらの神ロキがからんでるのかな…。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、北欧神話のバルドルの死です。スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』の英訳(R.B.アンダーソン訳『The Younger Edda』、1879年)を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。

エルマー・ボイド・スミス「矢はすべて頭の上をこえていった」1902年刊、アビー・ファーウェル・ブラウン『巨人たちの時代に』の挿絵(スミスは1943年没)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール(バルドル)
| 名前 | バルドル(英訳では Balder) |
| 親 | オーディンの2番目の息子 |
| 姿 | 顔が美しく、光かがやき、光の筋が出るほど。いちばん白い草が「バルドルのまゆ」にたとえられる |
| 性格 | アース神族の中でいちばん賢く、やさしく、話がうまい |
| 住まい | 天のブレイザブリク。けがれたものは何も入れない |
| 出典 | 『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」22・28・50・52・53節(アンダーソン訳の節番号) |
「すべてのもの」からとった誓い
- バルドルは、命にかかわるおそろしい夢を見ました。神々は相談し、バルドルをあらゆる害から守ることにします
- オーディンの妻の女神フリッグは、火、水、鉄とあらゆる金属、石、土、木、病気、けもの、鳥、はうものから、「バルドルを傷つけない」という誓いをとりました
- それからというもの、神々の集まりでは、バルドルを立たせて、矢を射る、切りつける、石を投げるのが遊びになります。何をしてもバルドルは傷つかず、それがバルドルの名誉と思われていました
ロキが見つけた「ヤドリギ」
- バルドルが傷つかないのが気に入らないロキは、女の姿に化けて、フリッグの館フェンサリルをたずねます
- 女は聞きます。「すべてのものが、バルドルを傷つけないと誓ったのですか?」
- フリッグは答えます。「ヴァルハラの西に、ヤドリギという小さな木がはえています。誓わせるには若すぎると思ったのです」
- 女はふいに消え、ロキはヤドリギを引きぬいて、神々の集まりへ向かいました

プレ男たった1つの「例外」を聞き出されちゃった…。
目の見えないヘズの手で
- 輪のはしには、目の見えない神ヘズ(英訳では Hoder)が立っていました。ヘズは、アース神族の中でもとても力の強い神です
- ロキはヘズに、「なぜバルドルを射ないのか」とたずねます。ヘズは「どこにいるか見えないし、武器もない」と答えました
- ロキは「みんなと同じように、バルドルに敬意を示しなさい。私がいる場所を教えてあげる。この枝で射なさい」と、ヤドリギをわたします
- ヘズがロキにみちびかれて射ると、ヤドリギはバルドルをつらぬき、バルドルはたおれて死んでしまいました
- 『散文のエッダ』は、「これは神々と人間に起きた、いちばん大きな不幸である」と書いています
- 神々はみな犯人に怒りましたが、そこは神聖な平和の場所だったので、だれも復讐できませんでした。いちばん深く悲しんだのはオーディンでした
「すべてのものが泣けば、帰す」
- フリッグの願いで、オーディンに仕えるヘルモーズが、8本足の馬スレイプニルに乗って冥界ヘルへ向かいます(くわしくはスレイプニルの記事で)
- 冥界の女王ヘルは条件を出します。「この世のすべてのもの、生きているものも死んだものも、バルドルのために泣くなら、神々のもとへ帰そう。1つでも泣かないものがあれば、ここに残す」
- 神々は世界じゅうに使いを送り、人もけものも、大地も石も、木も金属も、すべてがバルドルのために泣きました。「霜の中から暖かいところに出ると、ものがぬれるのを見たことがあるだろう」と書かれています
- ところが、ある洞窟にいた女巨人セック(英訳では Thok)だけは、「セックは、かわいた涙で泣くだろう。生きていても死んでいても、バルドルは私に何のよろこびもくれなかった。ヘルは持っているものを持っていればいい」と答えました
- このセックは、ロキだったと考えられている、と書かれています

メル美世界じゅうが泣いたのに、たった1人のせいで…。最初のヤドリギと同じ「1つだけの例外」なんだね。
- バルドルは、世界の終わりラグナロクのあと、冥界からヘズとともにもどってくると書かれています

『散文のエッダ』によると、フリッグはあらゆるものからバルドルを傷つけない誓いをとりましたが、ヤドリギだけは若すぎると思って誓わせていませんでした。
まとめ
- バルドルは、オーディンの2番目の息子。光かがやき、いちばん賢くやさしい神
- オーディンの妻の女神フリッグは、あらゆるものから「バルドルを傷つけない」誓いをとった。ただしヤドリギだけは若すぎて誓わせなかった
- ロキは女に化けてそれを聞き出し、目の見えないヘズにヤドリギを射させた
- 冥界のヘルは「すべてのものが泣けば帰す」。世界じゅうが泣いたが、女巨人セック(ロキ?)だけが泣かなかった
- ラグナロクのあと、バルドルはヘズとともにもどってくる
- そのあとのロキはロキの罰、北欧神話はユグドラシル、ラグナロクもどうぞ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). Gylfaginning 22, 28, 50, 52, 53, 58. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月4日)
- Wikimedia Commons. File:Each arrow overshot his head by Elmer Boyd Smith.jpg(Elmer Boyd Smith〈1860–1943〉、Abbie Farwell Brown『In the Days of Giants』1902年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Each_arrow_overshot_his_head_by_Elmer_Boyd_Smith.jpg (閲覧日:2026年10月9日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



