
メル美「ユグドラシル」って、ゲームやアニメでよく聞く名前だよね。世界樹?

プレ男北欧神話で、世界をささえている大きな木なんだって。どんな木なんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、北欧神話の世界樹ユグドラシルです。スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』の英訳(R.B.アンダーソン訳『The Younger Edda』、1879年)を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。

オルフ・バッゲ「宇宙の木ユグドラシル」1847年刊の『散文のエッダ』英訳の挿絵。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | ユグドラシル(英訳では the ash Ygdrasil) |
| 木の種類 | トネリコ(英訳では ash) |
| 大きさ | 「すべての木の中でいちばんよく、いちばん大きい」。枝は全世界にひろがり、天の上までとどく |
| 役わり | 神々が毎日集まって会議をする、いちばん神聖な場所 |
| 出典 | 『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」15・16節(アンダーソン訳の節番号) |
3本の根と、3つの泉
『散文のエッダ』15節によると、木は3本の根でささえられ、それぞれの根は遠くはなれています。
| 根 | どこへ | 根の下にあるもの |
|---|---|---|
| 1本目 | 神々(アース神族)のもと | 神聖なウルズの泉。神々の裁きの場 |
| 2本目 | 霜の巨人のもと(むかし「ギンヌンガガプ」があった所) | ミーミルの泉。知恵がかくされている |
| 3本目 | ニヴルヘイム(霧の国)へ | 泉フヴェルゲルミル。竜ニーズヘッグが下から根をかじる |
- 15節の前半では、根の1本は「アース神族のもとに」、あとの説明では「3本目の根は天にあり、その下にウルズの泉がある」と書かれています。この記事では、英訳の書き方にそって表にしました

プレ男神さまの世界、巨人の国、霧の国。1本の木が、ぜんぶの世界につながってるんだ!
オーディンの片目と「知恵の泉」
- ミーミルの泉には、知恵と賢さがかくされています。持ち主のミーミルは、ギャラルホルンという角の器で泉の水を飲むので、知恵にあふれています
- 主神オーディンがこの泉の水を飲ませてほしいとたのむと、片目を担保(あずけもの)にするまで飲ませてもらえませんでした
- 『散文のエッダ』は、古い詩「巫女の予言」を引いています。「よく知っているぞ、オーディン、おまえが目をどこにかくしたか。澄みきったミーミルの泉の中に」
虹の橋ビフレストと、運命の女神ノルン
- 神々は毎日、ビフレスト(アースの橋)をわたって、ウルズの泉の裁きの場へ馬で通います
- 「虹の中に見える赤は、燃えている火だ」。巨人たちが天にのぼってこられないようにしているのです
- 泉のそばの美しい館からは、3人の娘、ウルズ、ヴェルザンディ、スクルドが出てきます。人の一生を形づくる女神たちで、ノルンと呼ばれます。人が生まれるたびにやってきて一生を形づくるノルンもいて、神々の一族、妖精の一族、ドワーフの一族のノルンがいるといいます
- 「人の運命が不公平なのは?」という問いには、「よい一族のよいノルンはよい一生を形づくり、不幸に苦しむ人がいるのは、悪いノルンのせいだ」と答えています

メル美虹の赤い色が「火」だなんて、すてきな説明!
木にすむ生きものたち
『散文のエッダ』16節によると:
- 枝には、いろいろなことを知っているワシがとまり、その両目のあいだにはヴェズルフェルニルというタカがいます
- リスのラタトスクは木を上がり下りして、ワシと竜ニーズヘッグのあいだで、ねたみの言葉を運びます
- 4頭の雄ジカ(英訳では Dain、Dvalin、Duney、Durathro)が枝のあいだをはねまわり、葉をかじります
- 根の下の泉フヴェルゲルミルには、ニーズヘッグのほかにも数えきれないほどの蛇がいて、根をかじっています
- 古い詩は歌います。「ユグドラシルは、人が知るよりも大きな苦しみにたえている。上ではシカがかじり、わきはくさり、下ではニーズヘッグがかじる」
木を守るノルンたち
- ウルズの泉に住むノルンたちは、毎日泉の水をくみ、泉のまわりの泥とともに木にかけて、枝がかれたりくさったりしないようにしています
- この水はとても神聖で、泉に入れたものはみな、卵のからの内側のうすい膜のように白くなるといいます
- 世界の終わりラグナロクには、「ユグドラシルがふるえる」と書かれています。くわしくはフェンリルとヨルムンガンドの記事で

『散文のエッダ』によると、オーディンは知恵のかくされたミーミルの泉の水を飲むために、片目を担保としてあずけました。
まとめ
- ユグドラシルは、すべての木の中でいちばんよく、いちばん大きいトネリコ。枝は全世界にひろがり、天の上まで
- 3本の根の下には、ウルズの泉(神々の裁きの場)、ミーミルの泉(知恵)、フヴェルゲルミル(竜ニーズヘッグ)
- オーディンは片目と引きかえに、ミーミルの泉の水を飲んだ
- 運命の女神ノルン(ウルズ・ヴェルザンディ・スクルド)が、毎日泉の水で木を守る
- 枝にはワシ、幹にはリスのラタトスク、葉をかじる4頭のシカ、根をかじる蛇たち
- 世界の終わりはラグナロク、光の神の悲劇はバルドルの死、北欧神話の生きものはフェンリル、ヨルムンガンド、スレイプニルもどうぞ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). Gylfaginning 15, 16, 56. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月4日)
- Wikimedia Commons. File:Oluf Olufsen Bagge - Yggdrasil, The Mundane Tree 1847 - full page.jpg(Oluf Bagge、1847年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Oluf_Olufsen_Bagge_-_Yggdrasil,_The_Mundane_Tree_1847_-_full_page.jpg (閲覧日:2026年10月9日)
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