
プレ男ロキって、いたずらの神さまでしょ? 悪いやつなの? いいやつなの?

メル美両方みたい。神々をこまらせて、そのあと助けて……をくり返すんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回は北欧神話のロキです。スノッリ『新エッダ』(R.B.アンダーソン訳、1879年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。
プロフィール
『ギュルヴィたぶらかし』33節は、ロキをこう紹介します。
| 名前 | ロキ、またはロプト |
| 立場 | アース神族にかぞえられるが、「アース神族の悪口屋」ともよばれる |
| 父母 | 父は巨人ファールバウティ、母はラウフェイ(ナール) |
| 兄弟 | ビューレイスト、ヘルブリンディ |
| 妻と子 | 妻シギュン、息子ナリ(ナルヴィ) |
| 巨人の女との子 | 狼フェンリル、大蛇ヨルムンガンド、ヘル |
- 「ロキは顔が美しく、心が悪く、とても気がかわりやすい。だましの技でほかのだれにもまさり、何でもごまかす」
- 「アース神族をたびたび大きな困りごとにまきこみ、そして、たびたびその悪知恵で救いだした」
1. 3人の子どもたち
- ロキは、巨人の国の巨人の女アングルボザとのあいだに、3人の子をもうけました
- 神々は、この子たちから大きな災いが来るという予言を知り、オーディンは子どもたちを連れてこさせます
- ヨルムンガンドは、大地をかこむ深い海に投げこまれ、そこで大きくなって、大地をぐるりとかこみ、自分のしっぽをかむほどになりました
- ヘルは、ニヴルヘイムに投げこまれ、病気や年をとって死んだ人たちを受けいれる国をまかされました。体の半分は青く、半分は肌の色で、すぐにそれとわかったといいます
- フェンリルは、神々のもとで育てられ(えさをやる勇気があったのはテュールだけ)、のちに細いひもグレイプニルでしばられます

プレ男子どもが、世界の大蛇と、冥界の女王と、巨大な狼…!

カール・エミール・ドープラー「ロキ、フェンリル狼とミズガルズの蛇」1882年刊、ヴィルヘルム・ヴェーグナー『北欧・ゲルマンの神々と英雄』より(ドープラーは1905年没)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)。コモンズの説明では、洞窟の女性はおそらくヘル
2. シヴの髪と、小人の宝づくり勝負
『新エッダ』の、詩の言葉を説明する部分に、「なぜ金を『シヴの髪』とよぶのか」という話があります。
- ロキは、トールの妻シヴの髪を、こっそりぜんぶ切ってしまいました。気づいたトールは、ロキの骨をぜんぶおってやろうとつかまえます
- ロキは「黒い小人たちに、ほんとうの髪のようにのびる金の髪を作らせる」とちかって、許してもらいました
- ロキは、イーヴァルディの息子たちという小人のところへ行き、金の髪、船スキーズブラズニル、そしてオーディンの槍グングニルを作らせます
- 調子にのったロキは、小人ブロックに、「おまえの弟シンドリには、これと同じくらいよい宝を3つ作ることはできない」と、自分の頭をかけて賭けをしました
3. じゃまをするハエ
- シンドリは、炉にブタの皮を入れ、ブロックに「わたしがもどるまで、ふいごを止めるな」と言って出ていきます。するとハエがブロックの手をさしましたが、ブロックはふきつづけ、金の毛のイノシシができました
- 次に金を入れると、ハエは首をさしましたが、ブロックはがまんして、金の腕輪ドラウプニルができました
- 最後に鉄を入れると、ハエはまぶたのあいだをさし、血が目に入って見えなくなったブロックは、ほんの一瞬、手をはなしてハエを追いはらいます。できあがったのはハンマーでした
4. いちばんの宝はどれ?
神々は、オーディン・トール・フレイの3柱に判定をまかせました。
| 作った小人 | 宝 | もらった神 | ふしぎな力 |
|---|---|---|---|
| イーヴァルディの息子たち | グングニル(槍) | オーディン | ねらいを決して外さない |
| 〃 | 金の髪 | トール(妻シヴのために) | 頭にのせると、すぐ生えてのびる |
| 〃 | スキーズブラズニル(船) | フレイ | 帆を上げれば、いつも追い風。たたんでポケットに入れられる |
| ブロックとシンドリ | ドラウプニル(腕輪) | オーディン | 9夜ごとに、同じ重さの腕輪が8つしたたり落ちる |
| 〃 | 金の毛のイノシシ | フレイ | 空も海も、馬より速く走り、毛が光って暗やみを照らす |
| 〃 | ハンマー(ミョルニル) | トール | どんなに強く打ってもこわれず、投げても必ず手にもどる。小さくして胸にしまえる。ただひとつの欠点は柄が少し短いこと |
- 神々は「ハンマーがいちばんの宝で、霜の巨人からのいちばんの守りだ」と決め、小人の勝ちとしました
- ロキは、空も海も走れるくつでにげますが、トールにつかまります。小人が首を切ろうとすると、ロキは「頭はおまえのものだが、首はちがう」と言いはりました。そこで小人は、かわりにロキの口をぬいあわせてしまったといいます

メル美ハンマーの柄が短いのは、ハエがじゃましたから…! そのハエって、まさか…。
5. 神々のピンチと助け
- 巨人に城を作らせる約束で、神々が太陽と月とフレイヤを失いそうになったときは、ロキが雌馬に化けて巨人の馬をさそい出し、工事を止めました。このとき生まれたのが8本足の馬スレイプニルです
- 巨人スリュムにハンマーをぬすまれたときは、侍女になってトールについていき、うまい言いわけで正体をかくしました(トール)
6. バルドルの死、そして罰とラグナロク
- でもロキは、光の神バルドルを死なせるたくらみをします。神々はロキをとらえ、岩にしばりつけ、顔の上に毒蛇をつるしました(ロキの罰)
- 世界の最後の日ラグナロク、ロキは自分の子どもフェンリルとミズガルズの大蛇、巨人たちとともに神々に向かい、見張りの神ヘイムダルと相討ちになります

スノッリは、ロキは神々をたびたび大きな困りごとにまきこみ、そしてたびたびその悪知恵で救いだした、と書いています。
まとめ
- ロキは、巨人の血をひきながらアース神族にかぞえられる神。美しい顔で、だましの名人
- 子どもは、狼フェンリル、大蛇ヨルムンガンド、死者の国のヘル
- シヴの髪を切ったつぐないから、小人たちの宝づくり勝負に。グングニル、スキーズブラズニル、ドラウプニル、ミョルニルが生まれた
- 神々を困らせ、また救うことをくり返したが、バルドルの死のあとにとらえられ、ラグナロクでヘイムダルと相討ちになる
- 北欧神話の全体は北欧神話の入門へ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; Also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). The Fooling of Gylfe, sections 33–34 and Ragnarok; Loke’s Wager with the Dwarfs. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月7日)
- Wikimedia Commons. File:Loke, Fenriswolf und Midgardschlange.jpg(Carl Emil Doepler〈1824–1905〉、Wilhelm Wägner『Nordisch-germanische Götter und Helden』1882年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Loke,_Fenriswolf_und_Midgardschlange.jpg (閲覧日:2026年10月7日)
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