世界の神話Mythos

Norse Mythology

テュール狼フェンリルにえさをやれた、ただひとりの勇敢な神。「ほどいてくれる約束のしるしに」と自分の右手を狼の口に入れ、神々が約束をやぶったとき、その手を失った。片手の神は、いまでは「人びとの仲なおりの神」とよばれる

2026年10月10日

写本の絵。冠をかぶった2人の男が剣と槍をふり上げ、ひもでしばられた獣が、片方の男の手にかみついている。右上に古い文字の説明がある
ヤコブ・シグルズソン「フェンリルとテュール」1765〜1766年、アイスランドの写本 SÁM 66 より。ウィキメディア・コモンズの説明では、狼フェンリルがテュールの右手をかみ切る場面。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
目次
  1. プロフィール
  2. 1. 勇敢で、かしこい神
  3. 2. 狼にえさをやれた、ただひとりの神
  4. 3. 約束のしるしに、右手を
  5. 4. ラグナロクでの最期
  6. まとめ

プレ男テュールって、片手の神さまだよね。どうして片手なの?

メル美みんなのために、自分の手を差し出したんだって。

こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回は北欧神話のテュールです。スノッリ『新エッダ』(R.B.アンダーソン訳、1879年)と、『古エッダ』(H.A.ベロウズ訳、1923年)の英訳を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。

写本の絵。冠をかぶった2人の男が剣と槍をふり上げ、ひもでしばられた獣が、片方の男の手にかみついている。右上に古い文字の説明がある

ヤコブ・シグルズソン「フェンリルとテュール」1765〜1766年、アイスランドの写本 SÁM 66 より。ウィキメディア・コモンズの説明では、狼フェンリルがテュールの右手をかみ切る場面。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)

プロフィール

立場 アース神族。とても勇敢で、心の強い神。戦いの勝利をつかさどる
ことわざ 人よりすぐれて勇敢で、決してひるまない人を「テュールのように強い」、とくにかしこい人を「テュールのように学がある」という
家族 『新エッダ』ではふつうオーディンの子とされるが、『古エッダ』の「ヒュミルの歌」では、巨人ヒュミルを「父」とよんでいる
すがた 片手(狼フェンリルに手をかみ切られた)
最期 ラグナロクで、犬ガルムと相討ち

1. 勇敢で、かしこい神

『新エッダ』の『ギュルヴィたぶらかし』25節は、テュールをこう紹介します。

2. 狼にえさをやれた、ただひとりの神

『ギュルヴィたぶらかし』35節です(くわしくはフェンリル)。

3. 約束のしるしに、右手を

メル美みんなが笑っているのに、ひとりだけ笑わない…。だまされた狼の気持ちも、手を失うことも、わかっていたんだね。

4. ラグナロクでの最期

プレ男勇気って、「こわくない」ことじゃなくて、「こわくても自分が引きうける」ことなのかも。

『新エッダ』によると、狼フェンリルのところへ行ってえさをやる勇気があったのは、テュールだけでした。

まとめ


参考文献

  1. Snorri Sturluson. The Younger Edda; Also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). The Fooling of Gylfe, sections 25, 35 and Ragnarok. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月10日)
  2. The Poetic Edda(英訳:Henry Adams Bellows、1923年). Hymiskvitha, stanza 5 and note. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/73533 (閲覧日:2026年10月10日)
  3. Wikimedia Commons. File:SÁM 66, 78v, Fenrir and Týr.jpg(Jakob Sigurðsson、1765–1766年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:SÁM_66,_78v,_Fenrir_and_Týr.jpg (閲覧日:2026年10月10日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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  1. IX世界の幻獣フェンリル北欧神話の巨大な狼。鉄の鎖を2度ちぎり、最後は「ネコの足音・女のひげ・山の根」でできた細いひもで縛られた。その代わりに神テュールは右手を失い、世界の終わりラグナロクでオーディンをのみこむ
  2. II北欧神話オーディン知恵の泉の水を飲むため、片目を差し出した神々の父。毎朝2羽のカラスを世界に飛ばし、ルーン文字を手に入れるため、風のふく木に9夜つるされた。食べるのはワインだけ、肉は2匹の狼に
  3. II北欧神話ラグナロク(神々の最後の日)夏の来ない「フィンブルの冬」が3年、狼が太陽と月をのみこみ、炎の巨人スルトが世界を焼く。でもそのあと、緑の大地が海からよみがえり、2人の人間から新しい世界が始まる