
プレ男「黄泉の穴」!? 本当に、あの世につながっている穴があるの?

メル美出雲の風土記に、そうよばれた穴のことが書かれているんだって。神さまが生まれた、かがやくほら穴の話もあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『出雲国風土記』の2つのほら穴です。『出雲国風土記』の原文(ウィキソース「古風土記/出雲國風土記」)の、加賀の郷・加賀の神埼と、宇賀の郷の条を読みました。同じ風土記の話は国引きと出雲国風土記の大穴持命へ。人の名や地名には、原文にない読みがなはつけていません。
プロフィール
| 加賀の神埼の窟 | 宇賀の浜の窟 | |
|---|---|---|
| 大きさ | 高さ10丈ほど、まわり502歩ほど。東・西・北にとおりぬけている | 窟の戸は高さ・はばとも6尺ほど。中の穴は人が入れず、深さもわからない |
| 神 | 佐太大神がここで生まれた。母神は枳佐加比売命(神魂命の子) | 近くの宇賀の郷は、天の下をつくった大神が、女神綾門日女命をさがしたところ |
| 言いつたえ | 母神が金の弓矢で窟を射とおすと、光がかがやいた | 夢でこの窟のあたりへ行った人は、かならず死ぬ |
| よび名 | 地名「加賀」のいわれ | 「黄泉の坂」「黄泉の穴」 |
1. 加賀の郷の名
- 風土記は、加賀の郷を「佐太大神の生まれたところ」と書いています
- 母神である、神魂命の子支佐加比売命(神埼の条では「枳佐加比売命」)が、「暗い岩屋だこと」と言って、金の弓で射たとき、光が明るくかがやいた(原文では「光加加明」)。風土記は、この光から「加賀」の名がついたと説明しています
2. 流れてきた弓矢
- 加賀の神埼には、高さ10丈ほど、まわり502歩ほどの大きな窟があり、東・西・北にとおりぬけています。ここが、佐太大神の生まれたところだといいます
- 大神が生まれようとするとき、弓矢がなくなってしまいました。母神の枳佐加比売命は、ねがいました。「わが子が、ますらおの神の子であるなら、なくなった弓矢よ、出てきておくれ」
- すると、角の弓矢が水に流されて出てきました。母神はそれをとって、「この弓矢は、わたしの弓矢ではない」と言って、なげすてました
- つぎに、金の弓矢が流れてきました。母神はそれを待ちうけてとり、「暗くうっとうしい窟だこと」と言って、窟を射とおしました

メル美金の矢で射ぬいたから、ほら穴が東・西・北にとおりぬけているのかな。光がさしこむようすが目にうかぶね。
3. 声を出してとおる
- この窟のそばには、母神支佐加比売命の社があります
- 風土記はこう書いています。「いまの人は、この窟のあたりをとおるとき、かならず大きな声をひびかせてとおる。もし、こっそりとおると、神があらわれて、つむじ風がおこり、とおる舟はかならずひっくりかえる」
4. 宇賀の郷
- 宇賀の郷は、天の下をつくった大神が、神魂命の子の女神綾門日女命に求婚したところだといいます。女神はうけいれずににげかくれ、大神がそれをさがし求めたのがこの郷なので、「宇賀」というのだ、と書かれています
- その北の海辺に「脳の磯」という、高さ1丈ほどの磯があり、上には松が生えています。磯までの道は、里の人が朝夕行き来するようで、木の枝は人がひきよせたようになっている、と書かれています
5. 黄泉の穴
- 磯の西のほうに、高さもはばも6尺ほどの窟の戸があり、窟の中には穴があります。人は入ることができず、深さもわかりません
- 風土記は書いています。「夢でこの磯の窟のあたりへ行くと、かならず死ぬ。それで、土地の人は、むかしからいまにいたるまで、『黄泉の坂』『黄泉の穴』とよんでいる」

プレ男夢で行くだけでもこわい場所…。むかしの人は、この穴の先に、黄泉の国があると考えていたんだね。

『出雲国風土記』では、加賀の神埼の窟で、母神が金の弓矢で「暗い窟だこと」と射とおしたと語られ、宇賀の浜の深い穴は「黄泉の坂」「黄泉の穴」とよばれた、と書かれています。
まとめ
- 加賀の神埼の大きな窟は、佐太大神が生まれたところ
- 母神枳佐加比売命は、流れてきた金の弓矢で窟を射とおし、光がかがやいたので「加賀」の名がついた
- その窟のそばをとおる人は、声をひびかせてとおった。こっそりとおると舟がひっくりかえるといわれた
- 宇賀の浜の深い穴は、夢で行くと死ぬといわれ、「黄泉の坂」「黄泉の穴」とよばれた
- 同じ風土記の国引きと出雲国風土記の大穴持命、黄泉の国が出てくるイザナギとイザナミもどうぞ
参考文献
- 『出雲國風土記』(加賀郷・加賀神埼・宇賀郷の条). ウィキソース(古風土記/出雲國風土記). https://zh.wikisource.org/wiki/古風土記/出雲國風土記 (閲覧日:2026年10月12日)
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