【テクノロジー解説】冷蔵庫やスプレーの「フロン」がオゾン層をこわしていた:1974年の警告、1985年の「オゾンホール」、1987年のモントリオール議定書。禁止された物質の約99%が廃止され、オゾン層は回復に向かう(ノーベル化学賞1995)
地球をおおうオゾン層は、地表の気圧にちぢめるとわずか3mmほどの薄さですが、太陽の有害な紫外線の大部分を吸収して生き物を守っています。1974年、モリーナ博士とローランド博士は、冷蔵庫の冷媒やスプレーに使われていた「フロン(CFC)」が上空で分解され、オゾン層をこわすと警告しました。1985年に南極の「オゾンホール」が見つかり、1987年に国際的な約束「モントリオール議定書」が結ばれました(1995年ノーベル化学賞)。国連によると、禁止された物質の約99%が廃止され、オゾン層は南極で2066年ごろ、ほかの地域では2040年ごろに1980年の状態にもどる見通しです。

プレ男昔「オゾンホール」ってよく聞いたけど、最近あんまり聞かないね。どうなったの?

メル美冷蔵庫の「フロン」が原因だったんだよね?
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はフロンとオゾン層です。1995年のノーベル化学賞の発表と、国連環境計画(UNEP)・世界気象機関(WMO)の発表をもとにまとめました。新しい技術が思わぬ問題を生み、科学と国際協力で解決に向かった例です。
オゾン層は、厚さ3mmの「日よけ」
- 大気には、酸素の原子が3つつながったオゾン(O3)がわずかにあります。上空15〜50kmの、オゾンが多い層を「オゾン層」とよびます
- オゾンを全部、地表の気圧までちぢめると、厚さはわずか3mmほど
- それでも、ふつうの酸素とともに、太陽の紫外線の大部分を吸収し、危険な紫外線が地表に届くのをふせいでいます。オゾン層がなければ、動物も植物も生きられないとされています
夢の物質「フロン」の落とし穴
- フロン(CFC、クロロフルオロカーボン)は、スプレー、冷蔵庫の冷媒、発泡プラスチックなどに使われていました
- 化学的に安定で、毒性がないため、環境にとって理想的な物質だと考えられていました
- 1974年、マリオ・モリーナ博士とシャーウッド・ローランド博士は、Nature に論文を発表しました。安定したフロンは、ゆっくりオゾン層まで上がり、強い紫外線で分解されて塩素の原子を出す。その塩素がオゾンをこわす、という警告です
- このまま使い続ければ、数十年でオゾン層が何%も減ると計算しました。大きな注目を集め、批判もありましたが、1970年代後半〜1980年代はじめに、一部の規制がはじまりました

プレ男安全だと思われてた物質が、空の上で悪さをしてたのか…。
1985年:南極の「オゾンホール」
- 本当の衝撃は1985年でした。イギリスのジョセフ・ファーマンさんらが、南極上空でオゾン層が大きく減っている「オゾンホール」を報告しました
- 減り方は、それまでの計算よりずっと大きいものでした。パウル・クルッツェン博士らは、南極のとても低い気温でできる雲の粒の表面で、オゾンをこわす反応が強くなることを明らかにしました
- クルッツェン博士は、1970年に、窒素酸化物もオゾンをこわすことを示していました
1987年:モントリオール議定書
- 3人の研究で問題がよく理解されたことで、オゾン層をこわすガスの放出を禁止する大きな決定ができました
- 1987年、国連のもとで「モントリオール議定書」が結ばれ、1989年に発効しました。その後、規制が強められていきました
- 1995年、クルッツェン博士、モリーナ博士、ローランド博士にノーベル化学賞が贈られました
いま:オゾン層は回復に向かっている
UNEP と WMO の2023年1月9日の発表(4年ごとの科学評価)によると、
- 禁止されたオゾン層をこわす物質の約99%が廃止されました
- 上空のオゾン層は目に見えて回復し、有害な紫外線を浴びることも減っています
- いまの政策が続けば、オゾン層は、オゾンホールがあらわれる前の1980年の状態に、南極では2066年ごろ、北極では2045年ごろ、ほかの地域では2040年ごろにもどる見通しです
- 2016年の「キガリ改正」では、オゾン層はこわさないものの、強い温室効果をもつ代替フロン(HFC)も減らすことになり、2100年までに0.3〜0.5℃の温暖化をふせげると見積もられています

フロンがオゾン層をこわすという1974年の警告から、1987年のモントリオール議定書へ。国連によると、禁止された物質の約99%が廃止され、オゾン層は回復に向かっています。
つながる話
- 紫外線から肌を守る:男こそ日焼け止め
- 地球温暖化をおさえる技術:電気自動車(EV)は世界でどれくらい走ってる?

プレ男世界中が協力したら、ちゃんと地球の問題を直せるんだね。

メル美完全に回復するのは2040〜2066年ごろ。まだ続いてるんだね。
まとめ
- オゾン層は厚さ3mmほどだが、紫外線の大部分を吸収して生き物を守る
- 安全と思われたフロンが、上空で塩素を出してオゾンをこわすと1974年に警告
- 1985年に南極のオゾンホール。1987年にモントリオール議定書(1995年ノーベル化学賞)
- 禁止物質の約99%が廃止。オゾン層は2040〜2066年ごろに1980年の状態へ回復の見通し
- キガリ改正で、温暖化を進める代替フロンも削減
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Chemistry 1995. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1995/press-release/ (閲覧日:2026年10月7日)
- United Nations Environment Programme (UNEP). Ozone layer recovery is on track, helping avoid global warming by 0.5°C(2023年1月9日). https://www.unep.org/news-and-stories/press-release/ozone-layer-recovery-track-helping-avoid-global-warming-05degc (閲覧日:2026年10月7日)
- World Meteorological Organization (WMO). Ozone layer recovery is on track, helping avoid global warming by 0.5°C. https://wmo.int/news/media-centre/ozone-layer-recovery-track-helping-avoid-global-warming-05degc (閲覧日:2026年10月7日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。