
プレ男かぜは治ったはずなのに、せきだけ3週間も続いてるんだ。夜中に短いせきが続いて、最後に大きく息を吸いこむ感じ…。

メル美それ、百日咳じゃない?来月、姉の赤ちゃんに会いに行く予定だよね。先に病院に行こう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、百日咳(ひゃくにちぜき)の話です。国の速報データと、東京都健康安全研究センターの情報をもとにまとめました。
2025年に大きく流行
- 国立健康危機管理研究機構の速報データでは、百日咳の報告は2025年の1年間で全国89,387件(速報値)でした
- 2026年は、第37週(9月中旬)までで4,338件(前の年の同じ時期は76,558件)と、大きく減っています
- 東京都によると、2025年の都内の流行では、小学生(42.9%)と中高生(25.8%)が多く、25〜64歳の大人も17.7%を占めていました(2025年1〜7月中旬)
大人の百日咳は、気づかれにくい
- 百日咳は、百日咳菌による感染症で、せきやくしゃみのしぶきでうつります
- 近年は、乳幼児期のワクチンの効果が弱まった大人の発病が問題になっています。ワクチンの効果が続くのは5〜10年程度とされています
- 大人では、せきは長く続きますが、比較的軽い症状で経過することが多く、受診や診断が遅れることがあります
せきの経過
- カタル期(約2週間):7〜10日ほどの潜伏期間のあと、かぜのような症状。だんだんせきが強くなります
- 痙咳期(約2〜3週間):短いせきが続けて起こり、最後に大きく息を吸いこんで、たんを出しておさまる——をくり返します
- 回復期(2〜3週間):激しいせきは少しずつおさまりますが、ときどき発作のようなせきが出ます

メル美全部合わせると、1か月半以上もせきが続くこともあるんだ。
赤ちゃんには、命に関わる
- 乳児では、息が止まる発作(無呼吸発作)など重くなることがあり、生後6か月未満では命を落とす危険が高い病気です
- 大人は軽くても菌を出しているので、ワクチンをまだ受けていない新生児・乳児がいる家庭では注意が必要です
- 赤ちゃんのワクチンは定期接種。東京都は、生後2か月になったら、早めに接種するよう呼びかけています

大人の百日咳は軽くすむことが多い一方、生後6か月未満の赤ちゃんでは命に関わることがあります。せきが長く続くときは、早めに受診しましょう。
治療と、効きにくい菌
- 治療には、マクロライド系の抗菌薬が使われます
- 東京都によると、日本でも、このマクロライド系の抗菌薬が効きにくい百日咳が増えてきています
百日咳かも、と思ったら
- マスクをつけて、早めに医療機関を受診しましょう。周りに百日咳の人がいた場合は、医師に伝えましょう
- 百日咳と診断されたら、せきが激しいあいだは外出をひかえ、マスクと手洗いを徹底しましょう
- 赤ちゃんに会う予定があるときは、とくに注意しましょう
追加のワクチン
- 定期接種で免疫を得ても、小学校入学前にはワクチンの効果が弱まるため、日本小児科学会は、任意で2回の追加接種(小学校入学前の1年間と11〜12歳)を勧めています
妊婦さんや、赤ちゃんのまわりの大人のワクチン
日本産科婦人科学会の会員向けのお知らせ(2025年4月)には、次のように書かれています。
- 百日咳は、ワクチンを受ける前の赤ちゃんがかかって重症になることが問題です。海外では、妊娠後期の妊婦さんに百日咳のワクチンを接種して、お母さんから赤ちゃんに抗体を渡す「母子免疫」がすすめられています
- 海外で使われている大人用のワクチン(Tdap)は、日本では承認されていません
- かわりに、日本で使われている3種混合ワクチン(DTaP)の一部は、添付文書上、妊婦さんへの皮下接種が可能です。厚生労働省の研究班では、安全性と、赤ちゃんへの抗体の移行が確認されています。ただし、これで赤ちゃんの重症化を防げるかは、まだ証明されていません
- 赤ちゃんにうつす人の多くは家族や医療従事者であることから、産科や新生児をみる医療従事者への接種もすすめられています(日本環境感染学会)
- いずれも任意接種です。妊娠中の人や、赤ちゃんと暮らす家族は、かかりつけの産婦人科や医療機関に相談しましょう

プレ男赤ちゃんに会う前に、ちゃんと診てもらってくる。
まとめ
- 百日咳は2025年に全国約8万9千件と大流行。2026年は減っている
- 大人は軽くてもせきが長引き、気づかれにくい。ワクチンの効果は5〜10年
- せきはカタル期→痙咳期→回復期と、長く続く
- 生後6か月未満の赤ちゃんでは命に関わる。赤ちゃんのワクチンは生後2か月から早めに
- マクロライド系が効きにくい菌も増加。せきが続くならマスクをして早めに受診
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構. IDWR速報データ 2025年第52週(全数報告 累積報告数、2026年1月6日作成). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/provisional/2025/52/index.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 国立健康危機管理研究機構. IDWR速報データ 2026年第37週・2025年第37週(全数報告 累積報告数). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/provisional/2026/37/index.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 東京都感染症情報センター(東京都健康安全研究センター). 百日咳(2025年7月22日更新). https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/pertussis/ (閲覧日:2026年9月29日)
- 東京都健康安全研究センター. 感染症ひとくち情報 百日咳にまだまだ注意!(2025年7月22日). https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/assets/diseases/pertussis/hitokuchi-joho.pdf (閲覧日:2026年9月29日)
- 公益社団法人日本産科婦人科学会. 乳児の百日咳予防を目的とした百日咳ワクチンの母子免疫と医療従事者への接種について(2025年4月25日). https://www.jsog.or.jp/news/pdf/infection07.pdf (閲覧日:2026年9月30日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。