梅毒は治っても、またかかる:一度かかっても免疫はできず、パートナーが治療していなければ再感染も。治療後も抗体は陽性のままのことがあるので、再感染を見つけるには「数値(定量)」の検査が必要。パートナーも一緒に検査と治療を
「一度梅毒になったから、もうかからない」——そうではありません。厚生労働省の梅毒Q&Aによると、梅毒が完治しても、新たな感染を予防できるわけではなく、コンドームの使用やパートナーの治療などの対策がとられていなければ、再び梅毒にかかる可能性があります。日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」は、梅毒にかかったことがある人は、抗体陽性を知っているからと検査を受けないことがあるが、再感染していないか調べるために数値(定量)の検査が必要だとしています。米国CDCは、診断前90日以内に性的接触があったパートナーは、検査が陰性でも治療するようにすすめています。

プレ男前に梅毒になって治療したんだ。一度かかったから、もう免疫ができてかからないよね?

メル美はしかみたいに、一度かかったら大丈夫……ってわけじゃないのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、梅毒の再感染の話です。厚生労働省の「梅毒に関するQ&A」、日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」、国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き、米国CDCの「性感染症治療ガイドライン2021」をもとにまとめました。梅毒そのものについては梅毒を見てください。
治っても、またかかる
厚生労働省の梅毒Q&Aは、「一度梅毒になったので、もうかからないと考えてよいですか?」という質問に、
- 梅毒が完治しても、今後の新たな感染を予防できるわけではありません
- そのため、コンドームの使用、パートナーの治療などの対策がとられていなければ、再び梅毒にかかる可能性があります
と答えています。

プレ男えっ、治っても予防にはならないんだ……!パートナーが治療してなかったら、またうつっちゃうかもしれないんだね。
パートナーも一緒に検査と治療を
- 厚生労働省は、感染の可能性がある周りの人(パートナーなど)も検査を受け、必要に応じて治療を受けることが大切だとしています
- 米国CDCのガイドラインでは、第1期・第2期・早期潜伏梅毒と診断された人と、診断前90日以内に性的接触があったパートナーは、血液検査が陰性でも、早期梅毒として治療することをすすめています
- 日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」は、パートナーが梅毒とわかった人は、最初の検査が陰性でも、最後に感染の可能性があった時期から3か月後に陽性になっていないことを確かめるまでは、感染を否定できないとしています
パートナーへの伝え方や、治療後のセックスの再開については、性感染症の治療中、セックスはいつから?も見てください。

自分だけ治療しても、パートナーが治療していなければ、またうつしあってしまいます。パートナーと一緒に検査と治療を受けることが、くり返さないためのいちばんの近道です。
前にかかった人の検査は「数値」が大事
梅毒の血液検査には、TP抗体などの検査(トレポネーマ抗体)と、RPRなどの検査(非トレポネーマ抗体)があります(梅毒の血液検査の見方)。
- 日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」は、梅毒にかかったことがある人は、「梅毒の抗体が陽性なのは知っているから」という理由で、数値を測る検査(定量検査)を受けないことがあるが、再感染していないかを調べるために定量検査が必要だとしています
- ACCの手引きによると、前にかかった人や治療した人は、抗体が低い値で陽性のまま続くことがあるので、ふだんの数値(ベースライン)を知っておくことが、再感染を見つけるためにとても大切です
治療後の経過をみる
- 米国CDCは、第1期・第2期梅毒の治療後、6か月後と12か月後に診察と血液検査を行うことをすすめています。再感染が心配なときなどは、もっと頻繁に調べてもよいとしています
- 症状が続いたりまた出てきたりしたとき、RPRなどの数値が4倍以上に上がって2週間以上続くときは、再感染か、治療がうまくいかなかった可能性が高いとされています
- 前に梅毒の治療を受けたことがある人は、RPRなどの数値が下がるのがゆっくりなことがあります
(更新)国立感染症研究所のIASR(2023年)で、2021年に診断された例を確認しました。届出で過去の治療歴が「なし」と報告されたのは、男女とも約60%(男性3,062/5,261例、女性1,692/2,717例)でした。残りには治療歴「あり」と「不明」がふくまれ、「あり」だけの割合は記事にのっていないため、最新の値とあわせて引き続き確認していません
くり返さないために
- 治療が終わっても、コンドームを使う(ただし、コンドームでおおわれない部分からうつることもある)
- パートナーも一緒に検査・治療を
- 前にかかったことがある人は、定量検査で数値を確かめ、ふだんの数値を知っておく
- 皮膚や粘膜にいつもとちがう症状が出たら、性的な接触をひかえ、早めに受診する
まとめ
- 梅毒は、治っても免疫はできず、またかかることがある
- パートナーも一緒に検査と治療を
- 前にかかった人は、抗体が陽性のままのことがあるので、数値(定量)の検査で再感染を確かめる
- 治療後は、6か月後・12か月後に経過をみる(CDC)。数値が4倍以上に上がったら再感染などを考える
参考文献
- 厚生労働省. 梅毒に関するQ&A(最終更新日:2022年11月22日). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/syphilis_qa.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 日本性感染症学会「梅毒診療の基本知識」作成ワーキンググループ. 梅毒診療の基本知識(PDF). https://jssti.jp/pdf/syphilis-medical_basicknowledge.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:梅毒(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no20.html (閲覧日:2026年10月10日)
- Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1–187. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7004a1.htm (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立感染症研究所. 感染症発生動向調査における近年の梅毒の動向 ―2023年第1週~第39週診断例を中心に―(IASR 44(12), 2023). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/44/526/article/100/index.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
