【テクノロジー解説】遺伝子の「写し」をとるしくみ:DNAからメッセンジャーRNAへの転写を、原子が見えるほどの画像に。止まると数日で命にかかわる。父も47年前にノーベル賞(2006年ノーベル化学賞)
遺伝子の情報を使うには、まずDNAから「写し(メッセンジャーRNA)」をつくり、それを細胞の核の外に運んで、タンパク質づくりの説明書にします。この写しとりを「転写」といいます。2006年のノーベル化学賞は、人や酵母のように核をもつ細胞(真核生物)の転写のしくみを、原子が見分けられるほどの画像で示したロジャー・コーンバーグ博士に贈られました。転写が止まると体の部品が新しくならず、数日で命にかかわります。転写のみだれは、がんや心臓の病気、炎症などにも関係しています。博士の父も、47年前にDNAのコピーの研究でノーベル賞を受けていました。

プレ男mRNAワクチンの「mRNA」って、もともと体の中にあるものなの?

メル美DNAの「写し」で、毎日細胞の中でつくられてるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回は転写です。2006年のノーベル化学賞の発表をもとにまとめました。
DNAから「写し」をとる
- 遺伝子にたくわえられた情報を体が使うには、まず写しをつくって、細胞の外側の部分に運ぶ必要があります
- その写しがメッセンジャーRNA(mRNA)です。mRNAは細胞の核の外へ情報を運び、タンパク質づくりの説明書として使われます。体をつくり、働かせるのはタンパク質です
- DNAからmRNAへ写しとることを「転写」といいます
核をもつ細胞の転写を、はじめて画像に
- ロジャー・コーンバーグ博士は、真核生物(はっきりした核をもつ細胞の生き物。人などのほ乳類や、ふつうの酵母もふくむ)の転写のしくみを、分子のレベルで、はじめて画像にしました
- 2000年以降につくられた結晶構造の画像では、転写の装置が働いている最中のようすが見え、新しいRNAの鎖が少しずつのびていくようすや、転写に必要なほかの分子の役割もわかります
- 画像は原子を1つ1つ見分けられるほどくわしく、転写のしくみと、その調節のしかたを理解できるようになりました

プレ男写しとっている最中の「写真」があるのか!
転写が止まると、どうなる?
- 転写が止まると、遺伝情報が体のあちこちに伝わらなくなり、部品が新しくならないため、数日で命にかかわります
- たとえば、タマゴテングタケなどの毒キノコの毒は、転写を止めてしまいます
- 転写のみだれは、がん、心臓の病気、さまざまな炎症など、多くの病気にかかわっています
- 幹細胞がいろいろな細胞に育つ力も、転写の調節と結びついていて、幹細胞の治療の開発にも大切です
47年前の父子の物語
- 47年前、12歳のロジャー少年は、父アーサー・コーンバーグ博士が1959年のノーベル生理学・医学賞を受けるのを見に、ストックホルムを訪れました
- 父は、DNAからDNAへ遺伝情報がコピーされるしくみ(親の細胞から子の細胞へ)を明らかにしました
- 息子は、DNAからmRNAへ写しとられるしくみを明らかにしたのです

転写は、DNAから写しのmRNAをつくり、タンパク質づくりの説明書として核の外へ運ぶしくみです。コーンバーグ博士は、その装置が働くようすを原子が見えるほどの画像にしました。
つながるテクノロジー

プレ男DNA→mRNA→タンパク質。父と息子で、その流れを解き明かしたんだね。

メル美12歳で見た授賞式が、夢のはじまりだったのかもね。
mRNAを分解して遺伝子のスイッチを切るしくみは、遺伝子の「スイッチを切る」RNA干渉へ。
まとめ
- 転写:DNAから写しのmRNAをつくり、タンパク質づくりの説明書として核の外へ
- コーンバーグ博士は、核をもつ細胞の転写の装置を、原子が見えるほどの画像で示した(2000年以降)
- 転写が止まると数日で命にかかわる(毒キノコの毒の例)
- 転写のみだれはがん・心臓の病気・炎症などに関係
- 父は1959年にDNAのコピーの研究で受賞(2006年ノーベル化学賞)
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2006. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2006/press-release/ (閲覧日:2026年10月10日)
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