
プレ男ヒマラヤには雪男がいて、足あとや毛も見つかってるんでしょ?ロマンがあるよね!

メル美毛が残っているなら、DNAを調べれば正体がわかりそうだよね。
こんにちは、Dr. Taro です。 「都市伝説にマジレス」、今回は雪男(イエティ)です。「イエティの毛」などをDNAで調べた2つの論文(どちらも英国王立協会の学術誌『Proceedings of the Royal Society B』、2014年と2017年)をもとにまとめました。
イエティ、アルマス、ビッグフット
- 2014年の論文によると、ヒマラヤのイエティ、中央アジアのアルマス(アルマスティ)、北アメリカのサスカッチ/ビッグフットなど、「なぞの大型の霊長類」の正体は、何十年も研究されてきました
- 目撃談や足あとは数多くある一方、体や新しい化石が本物と確かめられたことは一度もありません
- 正体については、ネアンデルタール人などの生き残り、絶滅した大型の類人猿、などいろいろな説がありました
2014年:世界から集めた「毛」をDNAで調べる
オックスフォード大学などのチームは、2012年5月14日、「なぞの霊長類の毛」を博物館や個人から募集しました。
- 集まったのは57点。顕微鏡などで見て、植物とガラス繊維の2点を除きました
- 来歴や歴史的な価値から37点を選び、毛の表面の汚れを徹底的に落としてから、DNA(ミトコンドリアDNAの一部)を調べました
- DNAが取れたのは30点。その結果は、どれも知られている動物でした
| 「〜の毛」とされたもの | DNAでわかった動物の例 |
|---|---|
| イエティ(ネパール) | カモシカのなかま(スマトラカモシカ) |
| アルマス(ロシア) | ヒグマ、馬、牛、アメリカクロクマ、アライグマ |
| オラン・ペンデク(スマトラ) | マレーバク |
| ビッグフット(アメリカ) | アメリカクロクマ、アライグマ、羊、ヤマアラシ、オオカミ/コヨーテ/犬、馬、牛、シカ、人間 |

プレ男ビッグフットの毛が、アライグマや牛…。人間の毛まであったのか。
話題になった「古代のホッキョクグマ」
- ヒマラヤの2点、インドのラダックとブータンの「イエティの毛」は、DNAの短い一部が、古代(旧石器時代)のホッキョクグマのものと100%一致しました
- 論文の著者は、ヒマラヤに、まだ知られていないクマ、またはホッキョクグマとヒグマの雑種がいるのでは、と考えました
- しかし、同じ雑誌に「ホッキョクグマなのか、DNAの劣化なのか?」という反論のコメントが載りました。2017年の論文によると、こうした反論の分析では、この2点がヒグマである可能性は否定できませんでした。2017年の論文も、調べたDNAの断片は短すぎて、近いなかまどうしを見分けるには情報が足りない、としています
2017年:イエティとされる骨や毛、歯などを調べ直した
アメリカのバッファロー大学などのチームは、もっと長く、情報の多いDNAを使って調べ直しました。
- 調べたのは24点(毛、骨、皮、ふんなど)。そのうち9点は、ラインホルト・メスナー博物館と映像制作会社から提供されたもので、イエティとされるものがふくまれていました
- 結果:1点を除いて、すべてクマでした。その1点は、博物館の剝製の歯で、犬のものでした
- クマは、ヒマラヤのヒグマ、チベットのヒグマ、ユーラシア大陸のヒグマ、ツキノワグマ(アジアクロクマ)の4つの系統に分かれました
- 2014年に「古代のホッキョクグマに近い」とされたラダックの毛と、同じ個体のものかもしれない毛(採集場所が同じなど)も調べ、今いるヒマラヤのヒグマのなかまだと、はっきり示しました
- 論文の結論は、イエティ伝説の生物学的なもとは、その地域に今いるヒグマとツキノワグマであることを強く示している、です

イエティとされる骨や毛皮、歯などをDNAで調べると、1点の犬を除いて、ヒマラヤやチベットのヒグマ、ツキノワグマでした。
伝説が教えてくれたこと
- 2017年の論文は、イエティを調べたことで、ヒマラヤのヒグマがヒグマの中でもとても早く枝分かれした系統であることもわかった、と書いています。ヒマラヤのヒグマとツキノワグマのミトコンドリアDNAの全体も、初めて読み取られました
- 「雪男」を追いかけた研究が、ヒマラヤのクマの歴史という、本物の発見につながったのです
- この「人に似た生きもの」の伝説は、チベット高原からヒマラヤにかけて、「イエティ」「チェモ」「ミティ」「バルマンド」など、地域ごとにいろいろな名前でよばれてきました

メル美雪男を探したら、クマの新しい発見があったんだね。伝説って、むだじゃないんだ。
まとめ
- 「なぞの霊長類」は、体も新しい化石も、本物と確かめられたことはない
- 2014年:世界から集めた毛のDNAは、どれも知られている動物(アライグマ、牛、馬、クマ、人間など)
- ヒマラヤの2点は「古代のホッキョクグマ」と話題になったが、2017年の研究でヒマラヤのヒグマと判明
- 2017年:イエティとされるものなどは、1点の犬を除いてすべてクマ(ヒグマ・ツキノワグマ)
- なぞの生きもののうわさは、ネッシーもどうぞ
参考文献
- Sykes BC, Mullis RA, Hagenmuller C, Melton TW, Sartori M. Genetic analysis of hair samples attributed to yeti, bigfoot and other anomalous primates. Proc R Soc B. 2014;281(1789):20140161. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4100498/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Edwards CJ, Barnett R. Himalayan ‘yeti’ DNA: polar bear or DNA degradation? A comment on ‘Genetic analysis of hair samples attributed to yeti’ by Sykes et al. (2014). Proc R Soc B. 2015;282(1800):20141712. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4298200/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Lan T, Gill S, Bellemain E, Bischof R, Nawaz MA, Lindqvist C. Evolutionary history of enigmatic bears in the Tibetan Plateau–Himalaya region and the identity of the yeti. Proc R Soc B. 2017;284(1868):20171804. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5740279/ (閲覧日:2026年10月22日)
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