
プレ男水晶でできたどくろって、古代文明のなぞの技術とか、宇宙人が作ったとかいうよね!ロマンがあるなあ。

メル美博物館の人たちが、顕微鏡で本気で調べたことがあるんだって。
今回は、「オーパーツ」(その時代にはありえないとうわさされる、場ちがいな遺物)の代表、水晶どくろにマジレスします。科学ニュース誌「Science News」の記事「They’re fake, Indy!」(ブルース・バウアー、2008年5月23日)で確認しました。この記事は、スミソニアン協会のウォルシュと大英博物館のサックスらが学術誌「Journal of Archaeological Science」に発表した研究(2008年)を紹介しています。
プロフィール
| 名前 | 水晶どくろ(クリスタル・スカル) |
| 材料 | 水晶(石英の一種) |
| うわさ | アステカ人や、関係するメキシコの先住民(ミステカ人)の秘宝。失われた大陸や宇宙から来た? |
| 調べられたもの | 大英博物館のどくろ(1897年に購入)、スミソニアン協会のどくろ(1992年に名前を伏せて届けられた)。どちらも等身大 |
| 結論 | どちらも、コロンブス以前の職人には使えなかった、近代の道具で彫られていた |

大英博物館の水晶どくろ。Vassil 撮影、2013年。ウィキメディア・コモンズ(CC0、パブリックドメイン)
うわさ:古代の秘宝?宇宙から?
- Science News によると、こうした水晶どくろは、映画「インディ・ジョーンズ」の新作(2008年)のもとになっただけでなく、19世紀の終わりから博物館やコレクターが手に入れてきたどくろが「失われた大陸から来たのでは」「宇宙から来たのでは」という、世の中のうわさのもとにもなってきました
- でも、どの水晶どくろも、記録の残る発掘で見つかったものではありません
マジレス1:顕微鏡で「彫りあと」をくらべた
- サックスたちは、どくろに彫られた細かい形を調べて、どんな道具で作られたかをしらべました
- くらべるために、約1000〜500年前の遺跡から発掘された、ミステカ人の水晶の杯と、アステカ人の水晶のビーズ5つも、同じように調べています
- その結果、2つのどくろには、どちらも深く、規則正しい切りこみがありました。回転する刃(ロータリー・ホイール)で彫ったしるしです
- 大英博物館のどくろ:宝石職人が使うような、手や足でまわす回転工具で作られたと考えられます。金属の刃には、エメリー(金剛砂)やダイヤモンドのようなかたい材料がぬってありました
- スミソニアンのどくろ:くわしく調べると、近代の人工の研磨剤のあとが見つかりました

プレ男なぞの技術どころか、わりと最近の道具で彫られてたんだ!
マジレス2:水晶の産地も、売り手の記録も
- 大英博物館のどくろの石の成分を調べると、ブラジル、マダガスカル、ヨーロッパのアルプスのものと考えられました。どれも、アステカ人やミステカ人の交易の範囲の外です
- ウォルシュが古い記録を調べると、大英博物館のどくろは、1885年、フランスの古美術商ウジェーヌ・ボバンが売りに出したとき、メキシコ国立博物館から「にせもの」と判断されていたことがわかりました。作られたのは、1885年までの10年ほどのあいだだろうと研究者たちは言います
- ボバンは、世界の博物館に、少なくとも5つの水晶どくろを売っていました
- スミソニアンのどくろは、1960年にメキシコシティの個人コレクターに売られる少し前に作られたのだろう、とウォルシュは言います
小さなどくろは本物かも?
- ウォルシュは「これまで調べた水晶どくろは、すべて近代のもの。残りもそうだと考えるのが自然です」と話しています
- いっぽう、アステカを研究するアリゾナ州立大学のマイケル・E・スミスは、「大きな、フットボールくらいのどくろは近代のにせものだとはっきり示された。でも、小さな水晶どくろの中には、本当にアステカのものがあるかもしれない」と、ちがう意見を述べています
- ウォルシュは、小さなどくろの中には、もとはコロンブス以前のビーズだったものを、19世紀の終わりに売るために彫りなおしたものもあるだろう、と考えています

メル美うわさがあっても、道具のあと、石の産地、売られた記録を順に調べれば、ちゃんと答えに近づけるんだね。

Science News によると、大英博物館とスミソニアンの水晶どくろには、回転する刃で彫ったあとがあり、コロンブス以前の職人には使えなかった近代の道具で作られていました。
まとめ
- 水晶どくろは、「古代の秘宝」「宇宙から来た」とうわさされるオーパーツの代表
- どの水晶どくろも、記録の残る発掘で見つかったものではない
- 2008年の研究で、大英博物館とスミソニアンのどくろには回転する刃のあと。スミソニアンのどくろには近代の人工研磨剤
- 大英博物館のどくろの水晶は、ブラジル・マダガスカル・アルプスの可能性。1885年にはメキシコ国立博物館が「にせもの」と判断していた
- 小さなどくろについては、専門家のあいだでも意見が分かれている
- 都市伝説へのマジレスはピラミッド宇宙人説、エリア51、バミューダトライアングル、本物の古代の文字の話はロゼッタストーンもどうぞ
参考文献
- Bower, Bruce. They’re fake, Indy! Science News, 2008年5月23日. https://www.sciencenews.org/article/theyre-fake-indy (閲覧日:2026年10月6日)
- Sax, M., Walsh, J.M., Freestone, I.C., Rankin, A.H., Meeks, N.D. The origins of two purportedly pre-Columbian Mexican crystal skulls. Journal of Archaeological Science 35(10): 2751–2760, 2008. https://doi.org/10.1016/j.jas.2008.05.007 (閲覧日:2026年10月6日。書誌情報は Smithsonian Research Online で確認、本文は未確認)
- Vassil. British Museum Crystal Skull 26072013 02.jpg, 2013年. Wikimedia Commons(CC0). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:British_Museum_Crystal_Skull_26072013_02.jpg (閲覧日:2026年10月6日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
