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プレ男鵺(ぬえ)って、いろんな動物がまざった妖怪だよね。ゲームでもよく見るやつ。

メル美もとの話はどこに書いてあるんだろう。だれが退治したの?
こんにちは、Dr. Taro です。 日本の妖怪、今回は鵺(ぬえ)です。いちばん有名な話は、『平家物語』巻四の「鵺」の段。青空文庫にある尾崎士郎の『現代語訳 平家物語』で読んでみました。
プロフィール(『平家物語』巻四「鵺」より)
| 名前 | 鵺(ぬえ)。ただし原典では、化け物は「鳴く声が鵺に似ていた」と書かれる |
| 姿 | 頭は猿、胴は狸、尾は蛇、四つ足は虎 |
| 出る場所 | 京の御所(天皇の住まい)。東三条の森の方角から黒雲に乗ってくる |
| 出る時刻 | 毎夜、午前2時ごろ |
| 退治した人 | 源頼政(みなもとのよりまさ)と、家来の猪早太(いのはやた) |

葛飾北斎「頼政の鵺退治(Yorimasa Killing Nue)」18〜19世紀、紙に墨。メトロポリタン美術館蔵(56.121.3、オープンアクセス・パブリックドメイン)
毎晩うなされる天皇
- 仁平(にんぺい)のころ、近衛天皇の時代のこと。天皇は毎夜うなされ、おびえ続けていました
- 高僧たちが一晩じゅう祈っても、効き目がありません
- 毎晩午前2時ごろになると、東三条の森の方角から黒雲がひとかたまりわき起こり、すごい早さで飛んできて御殿の上をおおう。すると天皇はひどく苦しまれるのでした
「目に見えない化け物の退治なんて」
- 公卿たちの会議で、昔の話が出ます。堀河天皇が夜ごとおびえたとき、源義家が弓の弦を3度鳴らし、大声で名のると、天皇の苦しみが軽くなった——それにならって、武士に警固させることになりました
- 選ばれた一人が、まだ兵庫頭(ひょうごのかみ)だった源頼政。でも頼政は、「武士の役目は、反逆する者を退けること。目に見えぬ化け物の退治とは聞いたことがない」と、とても不服そうだったと書かれています
- それでも命令なので、信頼する家来の猪早太ひとりを連れて参上。頼政は矢を2本持っていきました

プレ男え、2本?1本目を外したら、もう1本で…?

メル美それがね、ちょっとこわい理由なの。
- 2本の理由は、ある公卿(雅頼)が「化け物を退治するのは頼政だろう」と言ったから。1本目で射損じたら、残りの矢でその公卿を射抜こうと決めていた、と書かれています。それほど追いつめられた役目だったのです
黒雲の中の「怪しい物」
- 夜がふけて午前2時近く。風もないのに木々のこずえがざわめき、三条の森から黒雲が飛んできて、御殿の空をぴたりとおおいます
- 黒雲の中ほどに、怪しい物の姿が見えたりかくれたり。頼政は「南無八幡大菩薩」と心に唱えて矢を放ちます
- 矢が黒雲に吸いこまれると、異様な叫びがひびき、何かがどうと地に落ちてきました。走りよった猪早太が押さえて、刀で9回突き刺します
- 人々がたいまつを持ってかけよって見ると、見たこともない化け物。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、四つ足は虎のようで、鳴く声は鵺に似ていた
マジレス:鵺は「化け物の名前」ではなかった?
- 原典をよく読むと、化け物は「鳴く声は鵺に似ていた」と書かれているだけで、化け物そのものを「鵺」とは呼んでいません
- 同じ段のつづきには、二条天皇の応保のころ、「鵺という怪鳥」が宮廷で鳴いて天皇を悩ませ、頼政がふたたび呼ばれた話があります。こちらでは、まっ暗な夜に一度だけ鳴いた声をたよりに、まず鏑矢(かぶらや)で鳥を驚かせて飛び立たせ、つづく小鏑矢で射落としました
- つまり『平家物語』の中で「鵺」は、宮廷で鳴いて天皇を悩ませた怪鳥の名前。猿・狸・蛇・虎がまざった化け物は、その鳴き声が鵺に似ていた、という書き方です
- 楠山正雄が子ども向けに書き直した「鵺」(青空文庫)では、化け物は「頭はさる、背中はとら、尾はきつね、足はたぬき」。語り直されるうちに、まざる動物も変わっているのがわかります

メル美正体がわからない、いろんな動物のまざった姿。ギリシャ神話のキマイラにちょっと似てるね。
歌でもほめられた頼政
- 天皇は元気になり、頼政に「獅子王」という剣を与えました。剣を持って階段をおりかけた左大臣・藤原頼長のところで、ほととぎすが鳴いて空をわたります
- 頼長が「ほととぎす名をも雲居にあぐるかな」と上の句をよみかけます。宮中の空に名をとどろかせた頼政を、ほととぎすにかけたのです。頼政はひざをついて月を見あげ、「弓張月のいるにまかせて」と下の句を返しました。訳者は「月にかけたまことに謙虚な態度」と書いています
- 人々は、弓にも歌にもすぐれた頼政に感動した、と書かれています
『平家物語』の中での意味
- この「鵺」の段は、頼政が高倉宮(以仁王)の謀叛に加わって、子や孫とともにほろんだ話のすぐあとに置かれています
- 段の最後は、晩年は安らかに過ごすと思われていた頼政が、このたびの謀叛で自分も子孫もほろぼしてしまった、という文で結ばれます。鵺退治は、ほろびた武士のかつての手柄話として語られているのです

『平家物語』では、頼政が射落とした化け物は「頭は猿、胴は狸、尾は蛇、四つ足は虎」で、「鳴く声は鵺に似ていた」と書かれています。原典では、鵺は宮廷で鳴いた怪鳥の名前としても出てきます。
まとめ
- 鵺の有名な話は、『平家物語』巻四「鵺」
- 近衛天皇が毎夜うなされ、午前2時ごろ東三条の森から黒雲が来る。源頼政が矢で射落とし、猪早太がとどめ
- 姿は頭は猿、胴は狸、尾は蛇、四つ足は虎。原典では「鳴く声は鵺に似ていた」
- 「鵺」は原典では宮廷で鳴いた怪鳥の名。二条天皇のときには、頼政がその鵺そのものも射落とした
- ほかの日本の妖怪は、のっぺらぼう、遠野の天狗もどうぞ
参考文献
- 作者不詳(尾崎士郎訳). 現代語訳 平家物語 04 第四巻「鵺」(底本:現代語訳 平家物語(上)、岩波現代文庫、2015年。初出:世界名作全集39 平家物語、平凡社、1960年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001529/card60805.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 楠山正雄. 鵺(底本:日本の英雄伝説、講談社学術文庫、1983年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000329/card18342.html (閲覧日:2026年10月22日)
- メトロポリタン美術館. Katsushika Hokusai, Yorimasa Killing Nue, 18th–19th century(56.121.3、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/57253 (閲覧日:2026年10月22日)
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