
プレ男大昔、大西洋にすごい文明のアトランティス大陸があって、一夜で海に沈んだんでしょ?まだ海の底に眠ってるんだよ!

メル美その話って、そもそもだれが最初に書いたの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回の都市伝説は、「アトランティス大陸は実在した」説です。アトランティスの話の出どころは、紀元前4世紀のギリシャの哲学者プラトンの対話篇『ティマイオス』と『クリティアス』です。米タフツ大学のペルセウス・デジタル・ライブラリーで公開されている英訳(R.G.ベリー訳、1929年)を読んで、該当する箇所を日本語にしました(訳は Claude)。
結論から
- アトランティスの話は、プラトンの2つの対話篇に出てくる
- 対話篇の中で語っているのは登場人物のクリティアス。祖父から聞いた、ソロンがエジプトの神官から聞いた話として語られる。何重にも伝え聞いた形の話
- 『クリティアス』は、ゼウスが神々を集めて話しはじめたところで途中で終わっている
- 古代にも、作り話かどうかは議論されていた(ストラボン『地理誌』)
原典には、こう書いてある
話の出どころ(『ティマイオス』20d〜21e)
- 対話篇の中で、クリティアスはこれを「とても奇妙だが、まったくの真実の話」として語りはじめます。ギリシャの七賢人のひとりソロンが、クリティアスの曾祖父ドロピデスの親類で友人だった、という設定です
- クリティアスは、その話を祖父のクリティアスから聞きました。そのとき祖父は90歳近く、クリティアスは10歳くらいだった、と語ります
- ソロンが話を聞いたのは、エジプトのナイル川の三角州にあるサイスという町の神官からでした
9000年前の「島」(『ティマイオス』23e〜25d)
- 神官は、ソロンに「9000年前」のアテナイの人々の話をします
- そのころ、ギリシャ人が「ヘラクレスの柱」と呼ぶ海峡(英訳の注ではジブラルタル海峡)の外の大西洋に、「リビア(アフリカ)とアジアを合わせたより大きい島」がありました。その島から、ほかの島々へ、さらに向こうの大陸へと渡ることができた、とされます
- このアトランティスの島には、島全体とほかの島々、大陸の一部を治める王たちの連合がありました。海峡の内側でも、リビアはエジプトまで、ヨーロッパはテュレニア(英訳ではトスカーナ)まで支配していた、とされます
- その軍勢が地中海の国々を一度に支配しようとしたとき、アテナイがギリシャ人を率い、ときには単独で戦って、これを打ち負かした、と語られます
- その後、「恐ろしい地震と洪水」が起こり、「ある一日と一夜のうちに」アテナイの戦士たちは大地にのみこまれ、アトランティスの島も海にのみこまれて消えた。そのため、その海は島が沈んでできた浅い泥にふさがれて、船で渡れないのだ、と書かれています

メル美主役はアトランティスじゃなくて、アトランティスを打ち負かした「昔のアテナイ」の話なんだね。
島のようす(『クリティアス』113c〜121c)
- 『クリティアス』では、神々が地上を分けあったとき、ポセイドンがアトランティスの島を自分の取り分にした、と語られます。ポセイドンは島の娘クレイトと結ばれ、彼女の住む丘のまわりに、陸の環2つ・海の環3つを交互にめぐらせた、とされます
- 都のまわりの平野は、「長さ3000スタディオン、中央の幅2000スタディオン」の長方形だった、と書かれています(スタディオンは古代ギリシャの長さの単位)
- 王たちは、神から受けついだ性質が強いあいだは法に従い、徳のほかは軽んじ、金や財産の重さにも平気でいました。やがてその性質がうすれ、欲と力にとらわれるようになります。ゼウスはそれを見て罰を与えようと考え、神々を集めて話しはじめます——そして本文は「こう語った:」で終わっています

プレ男えっ、いちばん大事なところで終わってるの!?
古代の人も「作り話かどうか」を話していた
- 古代ギリシャの地理学者ストラボンは、『地理誌』第2巻第3章6節で、哲学者ポセイドニオスの考えを紹介しています
- ストラボンによると、ポセイドニオスは、ソロンがエジプトの神官から聞いたという、大陸ほどの大きさの島がかつてあって今は消えた、という伝承は「ただの作り話以上のものとして受けとってよいかもしれない」というプラトンの考えを引用しました
- そして、それは「(作った者が)存在させたのだから、消すこともできた」と言うよりよい、と考えた——とストラボンは書いています。この「作った者が消した」という言い方は、ホメロスの詩に出てくるアカイア勢の城壁(詩人が作り、詩人が消したとされる)になぞらえたものです(ハミルトンとファルコナーの英訳の注による)
- つまり古代にも、アトランティスは「プラトンが作った話ではないか」と考える人がいて、それに対して「そうとは限らない」と考える人もいた、ということがわかります
マジレス:原典から言えること
- アトランティスの話は、プラトンの対話篇の中の登場人物が、何代も前に聞いた話として語るものです。島の位置・大きさ・沈んだ時期も、その語りの中だけに出てきます
- 対話篇の中でこの話が語られるのは、女神の祭りの日に、昔のアテナイの偉業をたたえるためでした(『ティマイオス』20e〜21a)
- 原典を読むと、アトランティスは「海の底で見つかるのを待っている大陸」というより、哲学の対話の中で語られた物語として読むのが自然です。実在したと考える人がいることも、古代から変わっていません

アトランティスの出どころは、プラトンの『ティマイオス』と『クリティアス』です。登場人物が、ソロンがエジプトの神官から聞いた話として語るもので、『クリティアス』はゼウスが話しはじめたところで終わっています。
まとめ
- アトランティスの出どころは、プラトンの『ティマイオス』『クリティアス』
- 話し手のクリティアスが、祖父→ソロン→エジプトの神官と伝わった話として語る
- 「ヘラクレスの柱」の外の、リビアとアジアを合わせたより大きい島。9000年前、昔のアテナイに敗れ、一日と一夜で海に沈んだ、とされる
- 『クリティアス』は途中で終わっている
- 古代のストラボンも、作り話かどうかの議論を書きとめている
- 大西洋の都市伝説はバミューダトライアングル、島を自分のものにした海の神はポセイドン、古代の文明の都市伝説はピラミッドは宇宙人が作った?もどうぞ
参考文献
- Plato. Timaeus(R.G. Bury 訳. Plato in Twelve Volumes, Vol. 9. Harvard University Press; 1929). Perseus Digital Library, Tufts University. 20d-25d. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0180:text=Tim.:section=24e (閲覧日:2026年10月22日)
- Plato. Critias(R.G. Bury 訳. 同上). Perseus Digital Library, Tufts University. 108e-121c. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0180:text=Critias:section=113c (閲覧日:2026年10月22日)
- PerseusDL. canonical-greekLit(上の2つの英訳のテキストデータ). GitHub. https://github.com/PerseusDL/canonical-greekLit/tree/master/data/tlg0059 (閲覧日:2026年10月22日)
- Strabo. Geography 2.3.6(H.C. Hamilton, W. Falconer 訳. 1903). Perseus Digital Library, Tufts University. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0239:book=2:chapter=3:section=6 (閲覧日:2026年10月22日)
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