
プレ男ポセイドンって、三叉の矛を持った海の神さまだよね。ゼウスとどっちが強いの?

メル美本人は「ゼウスと同じ身分だ」って言ってるみたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はギリシャ神話のポセイドンです。ヘシオドス『神統記』、『ホメロス風讃歌』(H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年)、ホメロス『イリアス』『オデュッセイア』(A.T.マレー訳)、アポロドーロス『ビブリオテーケー』(J.G.フレイザー訳、1921年)の英訳を、ペルセウス・デジタル・ライブラリーで読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。
プロフィール
| 立場 | 海の神 |
| よび名 | 「大地をゆるがす者」「大地をいだく者」「黒い髪の王」 |
| 家族 | 父クロノス、母レア。兄弟はゼウスとハデス、姉にヘスティア、デメテル、ヘラ |
| 武器 | 三叉の矛(ひとつ目の巨人キュクロプスたちがおくった) |
| 住まい | アイガイの海の底の金の宮殿 |
| 子 | ひとつ目の巨人ポリュペモス、海の神トリトンなど |
1. のみこまれた子から、海の王へ
- 『神統記』によると、ポセイドンはクロノスとレアの子。クロノスは、王の座をうばわれないように、生まれた子どもたちをつぎつぎにのみこみました。ポセイドンも、そのひとりです
- 末っ子ゼウスが助かり、クロノスに子どもたちをはき出させます(くわしくはゼウス)
- アポロドーロスによると、ティタン族との戦いで、キュクロプスたちは、ゼウスに雷、ハデスにかぶと、ポセイドンに三叉の矛をおくりました
- 勝った神々はくじ引きで世界を分け、ポセイドンは海を治めることになりました
2. 「わたしはゼウスと同じ身分だ」
『イリアス』15巻で、トロイア戦争への手出しをやめろというゼウスの伝言を、虹の女神イリスから聞いたポセイドンは、怒って言います。
- 「わたしたちはクロノスとレアから生まれた3人兄弟だ。ゼウスと、わたしと、3番目が死者の王ハデス。すべては3つに分けられ、それぞれに領分がある」
- 「くじをふったとき、わたしは灰色の海を、永遠の住まいとして引きあてた。ハデスはうす暗い闇を、ゼウスは空と雲のあいだの広い天を。だが、大地と高いオリュンポスは、3人みんなのものだ」
- 「だから、ゼウスの思いどおりには歩かない。どれほど強くても、自分の3分の1の領分で、おとなしくしていればいい」
- でもイリスに「年上の者には、復讐の女神たちが味方するのですよ」と言われると、ポセイドンは「よく言った。心のわかる使いはよいものだ」とみとめ、いまはゆずることにしました

プレ男神々の王に「おとなしくしてろ」って…兄弟げんかの迫力がすごい!
3. 波の上を走る車
『イリアス』13巻10〜38行では、ポセイドンが戦場へ向かいます。
- サモトラケの山の頂からトロイアの戦いを見ていたポセイドンは、ギリシャ軍をあわれに思い、山をおります。その足もとで、高い山々と森がふるえました
- 3歩進んで、4歩目に、海の底のアイガイの宮殿に着きます。宮殿は「金でかがやき、永遠にくちない」
- 青銅のひづめに金のたてがみの2頭の馬を車につなぎ、金の衣を着て、金のむちを持って、波の上を走りました
- 「海の生きものたちが、あちこちの深みから出てきて、主人のまわりではねまわった。海はよろこんで道をあけた」。青銅の車軸は、ぬれることもありませんでした

「ポセイドンの頭部」18世紀後半ごろ。オニキス、金(ペンダント)。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
4. 馬をならす者、船を救う者
『ホメロス風讃歌』第22歌は、ポセイドンにこう呼びかけます。
- 「大いなる神ポセイドン、大地と、実りのない海をゆり動かす者、深い海の神をうたおう」
- 「大地をゆるがす者よ、神々はあなたに2つの役目をあたえた。馬をならす者と、船を救う者と」
- 「ごきげんよう、大地をいだく黒い髪の王よ。心やさしく、船で旅する者たちを助けたまえ」
5. アテナとの争いと、オデュッセウスへの怒り
- アッティカの町をめぐって、ポセイドンはアクロポリスを三叉の矛で打って海をわき出させましたが、オリーブを植えたアテナに負けました。怒ったポセイドンは、平野を水びたしにしたといいます(くわしくはアテナ)
- 『オデュッセイア』1巻では、ポセイドンは、英雄オデュッセウスが自分の息子でひとつ目の巨人ポリュペモスの目をつぶしたことに「いつまでもはげしく怒り」、オデュッセウスを殺しはしないものの、故郷から遠ざけてさまよわせます(くわしくはポリュペモス)

メル美オデュッセウスが何年も家に帰れなかったのは、ポセイドンの怒りのせいだったんだね。

『ホメロス風讃歌』は、ポセイドンの2つの役目を「馬をならす者と、船を救う者」とうたい、船で旅する者たちを助けてほしいと呼びかけています。
まとめ
- ポセイドンは、クロノスとレアの子で、ゼウスの兄弟。父にのみこまれ、のちにはき出された
- くじ引きで「灰色の海」を引きあて、キュクロプスから三叉の矛をもらった
- 『イリアス』では「3人兄弟は同じ身分」とゼウスに言いかえし、金のたてがみの馬の車で波の上を走った
- 「馬をならす者、船を救う者」(『ホメロス風讃歌』)
- アテナイをめぐってアテナに負け、息子ポリュペモスの目をつぶしたオデュッセウスをうらんだ
- ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。兄弟のゼウスもどうぞ
参考文献
- Hesiod. Theogony, 453–506(英訳:H.G. Evelyn-White、1914年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0130:card=453 (閲覧日:2026年10月7日)
- Homeric Hymns, 22. To Poseidon(英訳:H.G. Evelyn-White、1914年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0138:hymn=22 (閲覧日:2026年10月7日)
- Homer. The Iliad, Book 13, 1–38; Book 15, 184–217(英訳:A.T. Murray). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0134:book=15:card=184 (閲覧日:2026年10月7日)
- Homer. The Odyssey, Book 1, 44–79(英訳:A.T. Murray). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0136:book=1:card=44 (閲覧日:2026年10月7日)
- Apollodorus. The Library, Book 1, chapter 2, section 1; Book 3, chapter 14, section 1(英訳:J.G. Frazer、1921年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022 (閲覧日:2026年10月7日)
- メトロポリタン美術館. Head of Poseidon, probably late 18th century(39.22.32、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/198356 (閲覧日:2026年10月7日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



