
プレ男アテナって、ギリシャの首都アテネと名前が似てるよね。関係あるの?

メル美あるみたい! 町の守り神の座を、ポセイドンとあらそったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はギリシャ神話のアテナです。ヘシオドス『神統記』と『ホメロス風讃歌』(H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年)、ホメロス『イリアス』(A.T.マレー訳)、アポロドーロス『ビブリオテーケー』(J.G.フレイザー訳、1921年)の英訳を、ペルセウス・デジタル・ライブラリーで読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。
プロフィール
| 立場 | 知恵と戦いの女神 |
| よび名 | 「パラス・アテナ」「かがやく目の」「トリトゲネイア」「町々の救い手」 |
| 父母 | 父ゼウス、母は知恵の女神メティス |
| 生まれ | ゼウスの頭から、よろいを着た姿で |
| 持ちもの | 槍、アイギス(『神統記』の英訳の注は、アテナが強さで神々にまさったもとをアイギスと説明) |
| 守る町 | アテナイ(アテネ)。オリーブの木を植えた |
1. ゼウスの頭から生まれる
- 『神統記』によると、ゼウスの最初の妻は、神々と人間の中でいちばん知恵のある女神メティスでした。メティスからは「父と同じ強さと知恵をもつ娘」と「神々と人間の王になる息子」が生まれる運命でした
- そこでゼウスは、メティスを言葉たくみにだまして自分のおなかに入れ、そして自分の頭から、アテナを生みました(くわしくはゼウス)
- 『ホメロス風讃歌』第28歌は、その場面をこううたいます
- 「ゼウスは、そのおそるべき頭からアテナを生んだ。かがやく金のよろいを着て。神々はみな、それを見ておそれにうたれた」
- 「アテナは不死の頭からすばやく飛び出し、するどい槍をふりながら、ゼウスの前に立った」
- 「大いなるオリュンポスはおそろしくゆれ、大地はさけび、海はもりあがって黒い波がさわぎ、泡がわきたった」
- 「ヒュペリオンのかがやく子(太陽)は、足の速い馬を長いあいだ止めていた。乙女パラス・アテナが、肩から天のよろいをぬぐまで。そして、ゼウスはよろこんだ」

プレ男生まれた瞬間からフル装備! 太陽まで止まって見とれてる…!
- 『神統記』は、アテナを「おそるべき、争いをおこす、軍勢をひきいる、つかれを知らぬ女王。さわぎと戦いを楽しむ」とよんでいます
2. アキレウスの髪をつかむ
『イリアス』1巻188〜222行です。
- ギリシャ軍の総大将アガメムノンに、自分のほうびの女性をうばうと言われた英雄アキレウスは、怒って、剣をさやからぬきかけました
- そのとき、天からアテナがおりてきます。アキレウスのうしろに立ち、金色の髪をつかみました。アテナの姿は、アキレウスにしか見えません。ふり返ったアキレウスは、すぐにアテナだと気づきます。「その目は、おそろしくかがやいていた」
- アテナは言います。「怒りをしずめに来たのです。したがうなら。争いをやめ、剣に手をかけてはいけません。言葉で言いかえすのはかまいません。このあと、この侮辱のつぐないとして、3倍のりっぱな贈りものがあなたのものになるでしょう」
- アキレウスは「女神よ、どんなに怒っていても、おふたりの言葉にはしたがわねばなりません。神々にしたがう者の願いを、神々は聞いてくださる」と答え、剣をさやにもどしました

メル美「剣はだめ、言葉ならいい」って、知恵の女神らしいアドバイス!
3. アテナイをめぐる、ポセイドンとの争い
アポロドーロス『ビブリオテーケー』3巻14章1節です。
- アッティカの最初の王ケクロプスは、「土から生まれ、人と蛇がまじった体」でした
- そのころ神々は、それぞれ自分がまつられる町をもつことにしました
- まずポセイドンがやってきて、アクロポリスのまん中を三叉の矛で打ち、海(エレクテイスとよばれる)をわき出させます
- つぎにアテナが来て、ケクロプスを証人にして、オリーブの木を植えました。この木は、いまもパンドロセイオンで見せられている、とアポロドーロスは書いています
- 2柱が争うので、ゼウスは12の神々を審判にしました。ケクロプスが「アテナが先にオリーブを植えた」と証言したので、土地はアテナのものと決まります
- アテナは町を自分の名前からアテナイとよびました。怒ったポセイドンは、トリアの平野を水びたしにし、アッティカを海にしずめたといいます

チェーザレ・ネッビア「アテネの領有をめぐるアテナとポセイドンの争い」1570年代。ペンと茶色のインク、淡彩。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。この素描では、ポセイドンのそばに馬が描かれていますが、アポロドーロスではポセイドンが出したのは「海」です
4. 英雄たちの味方
- アテナは、英雄たちをたびたび助けます。ペルセウスがメドゥーサの首を落としたときは、アテナが手をみちびき、ペルセウスは青銅の盾に映った姿を見ながら首を落としました
- 天馬ペガサスを乗りこなした英雄ベレロポンには、金のくつわをあたえました

『イリアス』のアテナは、剣をぬきかけたアキレウスに「剣に手をかけてはいけません。言葉で言いかえすのはかまいません」と言っています。
まとめ
- アテナは知恵と戦いの女神。父ゼウスが母メティスをのみこみ、ゼウスの頭から生まれた
- 生まれたときは金のよろいに槍。オリュンポスがゆれ、海があれ、太陽も馬を止めた(『ホメロス風讃歌』)
- 『イリアス』では、怒って剣をぬきかけたアキレウスの髪をつかんで止めた
- ポセイドンの海に対し、オリーブの木を植えて、アテナイの守り神になった
- ペルセウスやベレロポンなど、英雄たちの味方
- 父の話はゼウスへ。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ
参考文献
- Hesiod. Theogony, 886–929t(英訳:H.G. Evelyn-White、1914年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0130:card=886 (閲覧日:2026年10月7日)
- Homeric Hymns, 28. To Athena(英訳:H.G. Evelyn-White、1914年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0138:hymn=28 (閲覧日:2026年10月7日)
- Homer. The Iliad, Book 1, 188–222(英訳:A.T. Murray). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0134:book=1:card=188 (閲覧日:2026年10月7日)
- Apollodorus. The Library, Book 3, chapter 14, section 1(英訳:J.G. Frazer、1921年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Library:book=3:chapter=14:section=1 (閲覧日:2026年10月7日)
- メトロポリタン美術館. Cesare Nebbia, The Contest Between Athena and Poseidon for the Possession of Athens, 1570s(2000.320、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/341579 (閲覧日:2026年10月7日)
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