
プレ男カメレオンって、赤いものの上に乗せたら赤に、青いものの上なら青に変わるんでしょ?忍者みたいでかっこいい!

メル美テレビでよく見るけど、本当にまわりに合わせてるのかな。何のために色を変えるんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回の都市伝説は、「カメレオンはまわりの色に合わせて体の色を変え、景色にとけこむ」説です。2008年に学術誌『PLoS Biology』に出たスチュアート=フォックスとムサリの研究と、2015年に『Nature Communications』に出たジュネーブ大学のテシエらの研究をもとにまとめました。
結論から
- カメレオンが色をすばやく大きく変えるのは、おもにオスどうしの争いや求愛のとき。2008年の研究では、色を大きく変える種ほど目立つ合図を出していて、「景色に合わせて隠れるため」という説の証拠は見つからなかった
- 色が変わるしくみは、色素だけではない。皮膚の細胞の中のグアニンのナノ結晶のならび(すき間)が変わり、反射する光の色が変わる(2015年の研究)
- ただし、カメレオンの色がかくれるのに役立たないわけではない。2015年の研究は、皮膚のしくみが「効率のよいカモフラージュと、はでな見せびらかし」を両立させている、と書いている
何のために色を変えるのか(2008年の研究)
- スチュアート=フォックスとムサリによると、色をすばやく変えられる動物は、魚・両生類・は虫類・甲殻類・イカやタコのなかまなどにいます。とくにイカ・タコとカメレオンは、色の細胞を神経で直接動かすので、数秒以内に色を変えられます
- カメレオン科は150種以上いますが、色の変わり方は種によって大きくちがいます。茶色の濃い薄いくらいしか変わらない種もいれば、青・緑・オレンジ・黄色・黒を組み合わせて大きく変わる種もいます
- 色を変えるようになった理由の候補は2つあります。(1)いろいろな背景にとけこむため(カモフラージュ)、(2)仲間に目立つ合図を出すためです
- 2人は、アフリカ南部の小型のカメレオン(ブラディポディオン属)21系統で、オスが勝ったとき(優位)と負けたとき(服従)の色を野外で測りました。この小型のカメレオンは、天敵の模型を見せたときより、仲間とのやりとりのときにいちばん大きく色を変えるからです
- 結果は、色を大きく変える種ほど、合図の色が背景の植物やとなりの体の部分とくっきりちがう(仲間から見て目立つ)というものでした
- いっぽう、「まわりに合わせるため」なら、背景の色のばらつきが大きいところにすむ種ほど色を大きく変えるはずですが、そうした関係はありませんでした。2人は、カメレオンの目と、天敵の鳥の目から見た色の見え方も計算し、それでも「隠れるため」説を支える結果は出なかった、としています

メル美隠れるためじゃなくて、「オレは強いぞ」「好きです」って目立つために色を変えてたんだ!
色が変わるしくみ:ナノの結晶の「すき間」(2015年の研究)
- それまでは、カメレオンの色の変化は、皮膚の色素細胞の中で色素の粒が広がったり集まったりすることで起きる、と考えられていました
- テシエらは、マダガスカルのパンサーカメレオンを調べました。大人のオスは、ライバルのオスや相手のメスに出会うと、背景の色を緑から黄色やオレンジに変え、青い部分は白っぽく、赤はより明るくなります。この変化は2〜3分で起き、もとにもどることができます
- パンサーカメレオンの皮膚には、光を反射する細胞(虹色素胞)の厚い層が2つ重なっていました。上の層の細胞には、グアニンの小さな結晶(直径約127ナノメートル)が三角形の格子のようにきれいにならんでいます
- このならびは、鳥や虫のあざやかな色をつくるのと同じ「フォトニック結晶」としてはたらき、結晶のすき間によって反射する光の色が変わります
- 同じオスで、落ちついている(青や緑の)皮膚と、興奮している(黄色や白の)皮膚をくらべると、結晶の大きさは同じでしたが、結晶どうしの距離が、落ちついているときのほうが平均30%小さいことがわかりました
- 興奮した皮膚の切片を濃度の高い液にひたして結晶のすき間をちぢめると、反射する光が青い側(落ちついたときの色の側)へ変わりました。論文は、結晶の格子がのびちぢみすることで、生きたカメレオンで見られる色の変化を説明できる、としています
- 下の層の細胞は、より大きな結晶をもち、太陽の光、とくに近赤外線をよく反射していました。論文は、これが熱から体を守るのに役立っているかもしれない、と書いています

プレ男絵の具をまぜるんじゃなくて、結晶のすき間を変えて光の色を変えてるのか。シャボン玉の色みたいなもの?
- なお、パンサーカメレオンは、オスもメスも子どもも、ストレスなどで皮膚の明るさを色素で変えられます。いっぽう、色あいを大きく変える上の層がしっかり発達しているのは大人のオスだけでした

小型のカメレオン21系統の研究では、色を大きく変える種ほど、仲間に目立つ合図を出していて、「まわりに合わせて隠れるため」という説の証拠は見つかりませんでした。色が変わるしくみは、皮膚の中のナノの結晶のすき間が変わることだと示されています。
まとめ
- カメレオンが色を大きく、すばやく変えるのは、おもにオスどうしの争いや求愛のとき
- 2008年の研究(21系統):色を大きく変える種ほど目立つ合図。「景色に合わせて隠れる」説の証拠はなかった
- 2015年の研究:色の変化は、グアニンのナノ結晶のすき間の変化。興奮すると緑から黄色・オレンジへ、2〜3分で
- ただし、皮膚のしくみはカモフラージュとはでな見せびらかしを両立させている、とも書かれている
- 動物の都市伝説は、「コウモリは目が見えない」は本当?、「金魚の記憶は3秒」は本当?、レミングは集団で海に飛びこむ?もどうぞ
参考文献
- Stuart-Fox D, Moussalli A. Selection for social signalling drives the evolution of chameleon colour change. PLoS Biology. 2008;6(1):e25. doi:10.1371/journal.pbio.0060025. PMC2214820. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2214820/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Teyssier J, Saenko SV, van der Marel D, Milinkovitch MC. Photonic crystals cause active colour change in chameleons. Nature Communications. 2015;6:6368. doi:10.1038/ncomms7368. PMC4366488. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4366488/ (閲覧日:2026年10月22日)
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