
プレ男国語の教科書の『羅生門』って、門の上に死体がいっぱいあって、おばあさんが髪の毛を抜いてる話だよね…。その門、京都に本当にあるの?

メル美本当にあった門なら、どんな門だったのか知りたいな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、芥川龍之介の小説『羅生門』の舞台として知られ、「心霊スポット」と言われることもある京都市南区の羅城門跡(らじょうもんあと)です。京都市の「いしぶみデータベース」、京都市南区の広報、東寺の公式サイト、青空文庫をもとに見ていきます(2026年10月22日に閲覧)。
羅城門は「平安京の正門」
- 京都市によると、羅城門は平安京の朱雀大路(すざくおおじ)の南端にあった正門です
- 大きさは、幅約35メートル、奥行約9メートル、高さ約21メートルの二重楼閣でした
- 弘仁7年(816年)に大風で倒壊して再建されましたが、天元3年(980年)の暴風で倒れてからは、二度と再建されませんでした
- 東寺の公式サイトによると、都の正門・羅城門から北へまっすぐ朱雀大路がのび、その先に大内裏がありました。羅城門をはさんで、両翼を広げたように建てられたのが東寺と西寺です。いまでは「西寺も羅城門も、時の流れに消え」、平安京の遺構で残っているのは東寺だけだ、と東寺は書いています

メル美幅約35メートル、高さ約21メートルの大きな門が、都の入口に建ってたんだ。
門の上にいた「毘沙門天」は、いま東寺に
- 京都市のいしぶみデータベースには、東寺に所蔵する兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)像は、羅城門の上に安置されていたものと伝える、と書かれています
- 東寺によると、この像は国宝の「兜跋毘沙門天立像」(唐時代、木造)。もとは平安京の入口である羅城門の楼上にまつられ、都を監視していたといいます。平安末期に、人々の手で東寺に運ばれてきました
- 都を守る役目をはたしていた毘沙門天は、いまは財宝と福徳の神さまとして信仰を集めている、と東寺は紹介しています
- 東寺の宝物館は春と秋だけ開館します(東寺の案内では、春期は3月20日〜5月25日、秋期は9月20日〜11月25日)
『今昔物語集』と芥川の『羅生門』
- 平安時代の説話集『今昔物語集』の巻二十九(本朝 付悪行)には、「羅城門の上層に登りて死人を見たる盗人の語(こと)、第十八」という話が入っています(新潮日本古典集成の目次による)
- 青空文庫の図書カードによると、芥川龍之介の『羅生門』は1915年(大正4年)11月号の『帝国文学』に発表された小説で、この『今昔物語集』巻二十九第十八の話に題材をとり、作者自身の解釈を加えたものです
- 小説の中で芥川は、地震・辻風・火事・饑饉が続いて都がさびれ、羅生門の修理などはだれもかえりみず、狐狸がすみ、盗人がすみ、とうとう引き取り手のない死人を門へ捨てていく習慣までできた、と書いています
- つまり、門の上の死体のイメージは、説話と小説のなかの話です。京都市の資料が伝えている事実は、980年の暴風で倒れ、そのあと再建されなかったということです

プレ男こわいイメージは、1000年近く前の説話と、100年以上前の小説から来てたのか。
いまの羅城門跡:児童公園の中の石標
- 京都市によると、羅城門の跡を示す石標は、明治28年(1895年)の平安遷都千百年紀念祭の事業として、京都市参事会が建てたものです。高さは284cm、正面に「羅城門遺址」と刻まれています
- 場所は南区唐橋羅城門町の花園児童公園の中です(京都市)
- 京都市南区の広報紙(2016年5月15日号)によると、市バスの「羅城門」バス停から西へ徒歩1分です

羅城門は、平安京の正門として建てられ、980年の暴風で倒れてから再建されなかった門です。門の上の死体の話は、『今昔物語集』とそれに題材をとった芥川の小説のなかの話です。いまの跡地は、子どもたちが遊ぶ児童公園です。
見学するなら:マナーと法律
- ここは近所の子どもたちが遊ぶ公園で、まわりは住宅地です。夜中に集まってさわがない、ごみを残さない、近くの家をのぞいたり敷地に入ったりしない、を守りましょう
- 石標に落書きをしない・傷つけない。刑法261条は、他人の物を損壊・傷害した人を、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金・科料にすると定めています
- 立入りを禁じた場所に入らない。軽犯罪法1条32号は、入ることを禁じた場所に正当な理由なく入った人を、拘留または科料にすると定めています
- 門のすがたを見たいなら、羅城門にいた兜跋毘沙門天に会いに、東寺の宝物館(春・秋の公開)へ足をのばすのもおすすめです
まとめ
- 羅城門は、平安京の朱雀大路の南端の正門。幅約35m・奥行約9m・高さ約21mの二重楼閣
- 816年に倒れて再建、980年の暴風で倒れてからは再建されなかった
- 楼上にまつられていたと伝わる兜跋毘沙門天は、いま東寺の国宝
- 門の上の死体の話は、『今昔物語集』巻二十九第十八と、それに題材をとった芥川の『羅生門』(1915年)のなかの話
- いまは花園児童公園の中に、明治28年(1895年)の「羅城門遺址」の石標。夜にさわがず・石標を傷つけず。平安京の伝説の橋は一条戻橋、葬送の地への道すじは六道珍皇寺と化野念仏寺もどうぞ
参考文献
- 京都市歴史資料館. フィールド・ミュージアム京都 いしぶみデータベース「MI004 羅城門遺址」. https://www2.city.kyoto.lg.jp/somu/rekishi/fm/ishibumi/html/mi004.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 東寺. 東寺の歴史. https://toji.or.jp/history/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 東寺. 宝物館. https://toji.or.jp/guide/houmotsukan/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 京都市南区. 南区の広報紙(2016年5月15日号). https://www.city.kyoto.lg.jp/minami/cmsfiles/contents/0000198/198970/1605minami01.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 新潮社. 新潮日本古典集成〈新装版〉今昔物語集 本朝世俗部 四(阪倉篤義・本田義憲・川端善明 校注)目次. https://www.shinchosha.co.jp/book/620835/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 芥川龍之介. 羅生門(初出:帝国文学 1915年11月号). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/127_15260.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 青空文庫. 図書カード:羅生門. https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card127.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 刑法(明治40年法律第45号)第261条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
- 軽犯罪法(昭和23年法律第39号)第1条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。