目次

メル美アメリカが独立するとき、「女性のことも忘れないで」って夫に手紙を書いた奥さんがいたんだって。

プレ男250年前に?夫はなんて返したんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 「大人の教養」の男女の実話シリーズ、今回はジョン・アダムズとアビゲイル・アダムズの夫婦です。2人の手紙の原本はマサチューセッツ歴史協会のアダムズ家文書にあり、協会のサイトで画像と翻刻を読むことができます。この記事の手紙の言葉は、その原文から訳しました。
1,100通をこえる手紙
- ジョン・アダムズ(1735〜1826年)とアビゲイル・スミス・アダムズ(1744〜1818年)は、1,100通をこえる手紙をかわしました。協会のサイトにのっているのは1,160通です
- 手紙は、1762年の恋人どうしの時代から、ジョンの政治家としての仕事が続いた1801年まで続きます
- 2人は1764年10月25日に結婚しました
- ジョンは1774〜1777年、植民地の代表が集まる大陸会議に出るため家を離れ、その後は外交官としてヨーロッパに渡りました。アビゲイルは家族と農場を守りながら、マサチューセッツのブレインツリーから、独立戦争のようすを書き送りました
恋人時代の手紙は「Miss Adorable」
- 1762年10月4日、まだ「アビゲイル・スミス」だった彼女にあてたジョンの手紙は、「Miss Adorable(愛しのお嬢さん)」という呼びかけで始まります
- 手紙を届ける人に、自分のぶんのキスと、夜9時からの時間を渡してくれるように「命令する」という、冗談めかした手紙です

プレ男のちの大統領が「Miss Adorable」…。けっこう甘い人だったんだね。
1776年3月31日「女性たちのことを忘れないで」
独立宣言の3か月前、1776年3月31日にブレインツリーで書かれたアビゲイルの手紙には、こんな一節があります。
- 「あなたがたが独立を宣言したと聞くのを、待ちこがれています」
- 「新しい法律を作ることになるでしょうが、そのときは女性たちのことを忘れないで(Remember the Ladies)。あなたがたの祖先よりも、女性に寛大で、好意的であってください」
- 「夫たちの手に、無制限の権力を渡さないで。男はみな、できることなら暴君になるものだということを忘れないで」
- 「女性に特別な注意がはらわれないなら、私たちは反乱を起こすと決めています。自分たちが声をもたず、代表も送れない法律に、しばられるつもりはありません」
さらに、「幸せになりたい男性は、『主人』という厳しい呼び名を捨てて、もっとやさしい『友』という呼び名を選ぶものです」とも書いています。
夫の返事は「笑うしかない」
1776年4月14日、ジョンはこう返しました。
- 「あなたの途方もない法典には、笑うしかありません」
- 「この戦いのせいで、あちこちで秩序がゆるんだと聞いてきた。でも、あなたの手紙で初めて、ほかのどの集団よりも数が多く、力のある『一族』まで不満をもちはじめたと知った」
- 「あなたは生意気だね。でも、この一文は消さないでおきます」
- 「われわれ男は、自分たちの男の制度を廃止したりしない。とはいえ、それはほとんど理屈の上だけのもの。実際には、われわれのほうが従う側なのだと、あなたも知っているでしょう。われわれは『主人』という名前をもっているだけです」

メル美「笑うしかない」って…。でも「本当は男のほうが従ってる」とも書いてるんだね。
妻は、言い返した
1776年5月7日、アビゲイルは引き下がりませんでした。
- 「あなたが女性に寛大だとは思えません。あなたがたは、人々に平和と善意を説き、すべての国を自由にしようとしながら、妻への絶対的な権力は手放さないのですから」
- 「でも、覚えておいてください。勝手気ままな権力は、とても固いものの多くと同じで、とてもこわれやすいものです」
「私のいちばん大切な友へ」
- 独立宣言は、この年の1776年7月4日に採択されました。ジョン・アダムズは、宣言をつくる5人の委員会の1人でした(アメリカ独立宣言)
- アメリカの女性の投票する権利が憲法で保障されたのは、それから約150年後の1920年です(憲法修正第19条)
- それでも2人は、意見がぶつかっても手紙を書き続けました。ジョンが1800年11月2日、できあがったばかりの「大統領の家」(のちのホワイトハウス)から書いた手紙の書き出しは「My dearest friend(私のいちばん大切な友へ)」。「建物は住める状態です。あとは、あなたがいてくれたら」と続きます
- マサチューセッツ歴史協会は、この手紙の「この屋根の下では、正直で賢い人だけが治めますように」という一文を紹介しています

1776年、アビゲイル・アダムズは夫に「女性たちのことを忘れないで」と書き、「自分たちが声をもたない法律にはしばられない」と伝えました。2人がかわした手紙は1,100通をこえ、いまも原文で読むことができます。
デートで話すなら
- 「Remember the Ladies」は、アメリカ史でとても有名な一文です。夫婦の手紙の中で生まれた、という話はちょっと意外かもしれません
- 夫の「生意気だね。でも消さないでおく」という返しは、けんかしながらも仲のいい夫婦のようすが伝わってきます
ほかの男女の実話は、手紙で恋が始まったブラウニング夫妻もどうぞ。
まとめ
- ジョンとアビゲイルのアダムズ夫婦は、1762〜1801年に1,100通をこえる手紙をかわした(結婚は1764年10月25日)
- 1776年3月31日、アビゲイルは「女性たちのことを忘れないで」「夫に無制限の権力を渡さないで」と書いた
- 4月14日、ジョンは「笑うしかない」と返しつつ、「男は『主人』という名前をもっているだけ」とも書いた
- 5月7日、アビゲイルは「勝手気ままな権力はこわれやすい」と言い返した
- 1800年、ジョンは大統領の家から「私のいちばん大切な友へ」と書いた
参考文献
- Massachusetts Historical Society. Adams Family Papers: An Electronic Archive. Correspondence between John and Abigail Adams. https://www.masshist.org/digitaladams/archive/letter/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Massachusetts Historical Society. Letter from John Adams to Abigail Smith, 4 October 1762. https://www.masshist.org/digitaladams/archive/doc?id=L17621004ja (閲覧日:2026年10月22日)
- Massachusetts Historical Society. Letter from Abigail Adams to John Adams, 31 March - 5 April 1776. https://www.masshist.org/digitaladams/archive/doc?id=L17760331aa (閲覧日:2026年10月22日)
- Massachusetts Historical Society. Letter from John Adams to Abigail Adams, 14 April 1776. https://www.masshist.org/digitaladams/archive/doc?id=L17760414ja (閲覧日:2026年10月22日)
- Massachusetts Historical Society. Letter from Abigail Adams to John Adams, 7 May 1776. https://www.masshist.org/digitaladams/archive/doc?id=L17760507aa (閲覧日:2026年10月22日)
- Massachusetts Historical Society. Letter from John Adams to Abigail Adams, 2 November 1800. https://www.masshist.org/digitaladams/archive/doc?id=L18001102ja (閲覧日:2026年10月22日)
- U.S. National Archives and Records Administration. The Declaration of Independence: A History. https://www.archives.gov/founding-docs/declaration-history (閲覧日:2026年10月22日)
- U.S. National Archives and Records Administration. 19th Amendment to the U.S. Constitution: Women’s Right to Vote (1920). https://www.archives.gov/milestone-documents/19th-amendment (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。