国のエイズ対策が改正(2025年11月):「人権の尊重」を最初の柱に。U=U(治療でウイルスがおさえられていれば性行為でうつらない)やPrEPを明記。郵送検査の活用も。エイズを発症してからHIVがわかる人が約3割という課題
日本のエイズ対策の基本となる「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(エイズ予防指針)」が、2025年11月10日に全部改正されました。厚生労働省の「改正のポイント」によると、これまで6番目だった「人権の尊重」を最初に位置づけ、医療・介護従事者による診療やサービスの拒否も偏見・差別にあたると認識する必要があるとしています。また、U=U(治療でウイルス量がおさえられ続けていれば、性行為でほかの人に感染させることはない)への理解や、PrEP(曝露前予防)を感染予防に役立つ手段のひとつとして記載し、保健所などで郵送検査などの活用を検討するよう記載しています。

メル美国のエイズ対策の方針が変わったってニュースで見たの。何が変わったのかな。

プレ男「U=U」とか「PrEP」とか、聞いたことはあるけど……。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、2025年11月に改正された国のエイズ対策(エイズ予防指針)の話です。厚生労働省の「HIVとエイズ」のページと、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正のポイント」をもとにまとめました。
エイズ予防指針とは
厚生労働省によると、日本のエイズ対策は、感染症法にもとづいて1999年(平成11年)につくられた「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(エイズ予防指針)」に沿って行われてきました。これまで4度見直され、直近の改正は2025年11月10日に告示され、2025年11月から施行されています。
課題:エイズを発症してからわかる人が約3割
改正のポイントによると、
- 新しく報告されるHIV感染者・エイズ患者は、2013年(平成25年)をピークに、近年は年間約1,000件前後で推移しています
- 抗HIV療法の進歩で、感染した人の見通しはよくなった一方、エイズを発症した状態でHIV感染がわかる人が約3割いることが課題のひとつで、早期診断に向けたさらなる対策が必要だとしています
- 国連合同エイズ計画(UNAIDS)がかかげる「偏見・差別、新たな感染、エイズに関連する死をなくす」ことを念頭に、95-95-95目標(感染した人の95%以上が検査で感染に気づき、その95%以上が治療を受け、その95%以上がほかの人に感染させないほどウイルス量が下がる)の達成をめざすとしています
日本のHIVの数字は、数字で見る日本のHIV(2025年)を見てください。
改正のポイント
1. 人権の尊重を最初の柱に
- これまで6番目だった「人権の尊重」を、最初に位置づけました
- 感染した人などが、偏見や差別なく、必要な医療・福祉サービスを受けられるようにするとしています
- HIV・エイズについての最新の正しい知識(U=Uをふくむ)が十分でないことなどによる、医療従事者や介護従事者の診療・サービスの拒否も、偏見・差別にあたると認識する必要があるとしています

改正されたエイズ予防指針では、「人権の尊重」が最初の柱になりました。医療や介護の現場での診療やサービスの拒否も、偏見・差別にあたるとしています。
2. U=Uと、PrEP
- U=U(Undetectable = Untransmittable):治療でウイルス量が一定の基準未満におさえ続けられていれば、性行為でほかの人に感染させることはない
- 一人ひとりが自分の感染の状態を知り、早く医療機関にかかって治療を続ければ、新しい感染をおさえられることを記載しました
- PrEP(曝露前予防)は、適切に使えば性的接触によるHIV感染に高い予防効果があるため、HIVの感染予防に役立つ手段のひとつとして記載しました(PrEP(HIVの曝露前予防)とは?)
- U=Uについては、U=U(ユー・イコール・ユー)とはにまとめています
3. 検査を受けやすく
- 早期診断につながる検査の機会を確保するため、保健所などは、外部への委託や郵送検査などの活用を検討するよう記載しました
- 検査のあとの相談や、陽性だった人への支援のための相談についても記載しました
4. 長く治療を続けるための医療体制
- 長く治療を続ける人がふえていることをふまえ、地域の医療機関が役割を分担して連携する体制づくりを記載しました

プレ男治療でウイルスがおさえられていれば、性行為でうつらない。だからこそ、早く検査して治療を続けることが大事なんだね。
性感染症の国の対策の改正については、国の性感染症対策が改正(2025年11月)を見てください。
まとめ
- 国のエイズ予防指針が2025年11月10日に改正(11月から施行)
- 人権の尊重を最初の柱に。医療・介護での拒否も偏見・差別
- U=Uへの理解と、PrEPを予防の手段として記載
- 郵送検査などで、検査を受けやすく
- 課題は、エイズを発症してからわかる人が約3割いること
参考文献
- 厚生労働省. HIVとエイズ. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/aids/index.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省. 後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正のポイント. https://www.mhlw.go.jp/content/001593105.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
