【テクノロジー解説】1秒の中にあるアト秒の数は、宇宙が生まれてからの秒数と同じくらい:電子の一瞬をとらえる「アト秒」の光の点滅。2001年に250アト秒、650アト秒のパルスをつくった(2023年ノーベル物理学賞)
パラパラ漫画のように、すばやい動きを見るには、とても短い「シャッター」が必要です。原子や分子の中の電子の変化は、わずか数十分の1アト秒(10の18乗分の1秒)単位で起こります。1アト秒はとても短く、1秒の中にあるアト秒の数は、宇宙が生まれてからの秒数と同じくらいです。2023年のノーベル物理学賞は、ルイリエ博士(1987年、気体に赤外線レーザーを当てると多くの倍音の光が出ることを発見)、アゴスティーニ博士(2001年、250アト秒のパルスの列)、クラウス博士(同じころ、650アト秒の単独のパルス)に贈られました。電子機器の材料の理解や、医療の診断で分子を見分けることなどへの応用が期待されています。

プレ男「アト秒」って何?ナノ秒より短いの?

メル美電子の動きをとらえるくらい、とんでもなく短い時間らしいよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はアト秒の光パルスです。2023年のノーベル物理学賞の発表をもとにまとめました。
速すぎる動きは、短い「シャッター」で
- すばやい出来事は、人にはつながって見えます。静止画をならべた映画が、なめらかな動きに見えるのと同じです
- とても短い出来事を調べるには、特別な技術が必要です
- 原子や分子の中の電子の世界では、変化は数十分の1アト秒で起こります
- 1アト秒はとても短く、1秒の中にあるアト秒の数は、宇宙が生まれてからの秒数と同じくらいです

プレ男1秒をアト秒で数えると、宇宙の歴史くらいになるのか!
3人の発見
- 1987年、アンヌ・ルイリエ博士は、赤外線のレーザーの光を貴ガス(希ガス)に通すと、さまざまな倍音の光が出ることを発見しました。レーザーの光が気体の原子とかかわり、一部の電子に余分なエネルギーをあたえ、それが光として出てくるためです。ルイリエ博士はこの現象を調べつづけ、のちの突破口の土台をつくりました
- 2001年、ピエール・アゴスティーニ博士は、一つひとつが250アト秒しか続かない、連続した光のパルスをつくりだし、調べることに成功しました
- 同じころ、フェレンツ・クラウス博士は、別の種類の実験で、650アト秒の光のパルスを1つだけ取りだすことを可能にしました
何に役立つ?
- これまで速すぎて追えなかった出来事を調べられるようになりました。ノーベル物理学委員会の委員長は、「電子の世界への扉を開くことができる」と述べています
- 電子機器では、材料の中で電子がどうふるまうかを理解し、コントロールすることが大切です
- 医療の診断などで、ちがう分子を見分けることにも使える可能性がある、としています

原子の中の電子の変化は、アト秒という、とても短い時間で起こります。2023年のノーベル物理学賞を受けた3人は、アト秒の光のパルスをつくり、電子の世界を調べる道具を生み出しました。
時間と光の技術つながり
- 短く強い光をつくる技術:レーザーってなに?
- 電子の量子のふしぎ:量子コンピューターの土台「量子力学」ってなに?
- 「30万年に1秒」の時計:電波時計が合わないときは

プレ男電子の「動画」が撮れる時代なんだね。

メル美1987年の発見から、ずっと研究がつながってるのもすてき。
原子の動きをフェムト秒で見る先がけの研究は、化学反応を「スローモーション」で見る世界最速のカメラへ。
まとめ
- 電子の変化は、数十分の1アト秒で起こる
- 1秒の中のアト秒の数は、宇宙が生まれてからの秒数と同じくらい
- 1987年:気体にレーザーを当てると倍音の光(ルイリエ博士)
- 2001年:250アト秒のパルスの列(アゴスティーニ博士)、650アト秒の単独パルス(クラウス博士)
- 電子機器や医療の診断への応用が期待(2023年ノーベル物理学賞)
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Physics 2023. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2023/press-release/ (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。