わき汗(腋窩多汗症)のマイクロ波治療:学会の診療指針は「弱く推奨」。効果はボツリヌストキシン注射に匹敵し、長く続くことも。一方で汗腺の膿、しびれ、まれに腕の神経の損傷も
日本皮膚科学会など5学会の「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」によると、わきの汗が多い腋窩多汗症の有病率は日本で5.75%との報告があります。治療は塩化アルミニウムの外用が一般的で、抗コリン作用の塗り薬やボツリヌストキシン注射などもありますが、どれも根治ではなく続ける必要があります。マイクロ波で汗腺を加熱して変性させる治療は、効果がボツリヌストキシン注射に匹敵し、合併症の頻度も少ないとして「弱く推奨」。ただし、汗腺の膿、感覚の障害、きわめてまれに腕の神経の損傷も報告されています。

プレ男夏でも冬でも、わき汗でシャツにしみができるんだ。何度も注射に通うより、1回で長く効く方法はないのかな。

メル美「マイクロ波」で汗腺を壊す治療があるって聞いたよ。どうなんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 「美容医療」から、今回はわき汗(腋窩多汗症)のマイクロ波治療の話です。日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)の5学会による「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」の「腋窩多汗症に対するマイクロ波治療」(CQ4-1、改訂版で追加)をもとにまとめました。
腋窩多汗症とは
- 多汗症には、全身の汗が増えるものと、体の一部だけ汗が増えるものがあります。全身の場合は、甲状腺の病気などの原因があれば、そちらの治療を優先します(バセドウ病)
- 原発性腋窩多汗症は、わきに左右対称に汗が多く出る状態です。原因がわからない局所の汗の多さが6か月以上続き、決められた項目のうち2つ以上にあてはまると診断されます
- 日本では、腋窩多汗症の有病率は5.75%との報告があります
- わきのにおい(ワキガ)は、汗の量とは別の「腋臭症」で、治療もちがいます(ワキガ(腋臭症))
いろいろな治療
- 一般的なのは塩化アルミニウムの外用です。最近は、汗を出す信号をブロックする抗コリン作用の塗り薬(ソフピロニウム臭化物ゲル)も承認されています
- ボツリヌストキシンの注射(わきの汗のボツリヌストキシン注射)、水道水のイオントフォレーシス、飲み薬(プロパンテリン臭化物)もあります
- ただし、これらはどれも根治的な治療ではなく、続ける必要があります
- 手術には、胸腔鏡で交感神経を遮断する手術や、汗腺を取り除く手術があります
マイクロ波治療:「弱く推奨」
- マイクロ波は水に吸収されやすく、水分の多い汗腺を加熱して変性させます。塗り薬や飲み薬のように一時的なものではなく、長く効果が得られることがあるとされています
- 指針は、「効果はボツリヌストキシン注射に匹敵し、やけどや傷あとなどの合併症の頻度も少なく、安全性は比較的高い。腋窩多汗症治療の選択肢のひとつとして、行うことを弱く推奨できる」としています
- 承認状況:国内で承認された機器があります
どのくらい効く?
- ランダム化比較試験では、治療6か月後に67%の人で汗の重症度のスコアが大きく改善しました
- 別の比較試験では、スコアが大きく改善した人は、3か月後83.3%、6か月後61.1%、12か月後38.9%と、時間とともに減っていました

プレ男1年たつと、効果が続いている人は4割くらいになる研究もあるんだ。
起こりうること
- 軽いやけどや、それによる傷あとが多いとされています
- 汗腺の膿(汗腺膿瘍)や末梢神経の障害(しびれなど)も報告されています
- きわめてまれに、腕の神経(腕神経叢)の損傷も報告されていて、適正な治療手技が必要とされています

わき汗のマイクロ波治療は、学会の診療指針で選択肢のひとつとして「弱く推奨」されています。ほかの治療との効果や合併症のちがいを医師から聞いて、自分に合う方法を選びましょう。
受ける前に確かめたいこと
- 汗の多さの原因に、甲状腺の病気などがないか
- 塗り薬・注射など、ほかの方法との効果・費用・続けやすさのちがい
- 承認された機器か、合併症と起きたときの対応
- 美容医療を受ける前の全体のチェックは美容医療を受ける前の4つのチェックの記事もどうぞ

メル美まずは皮膚科で、塗り薬から相談してみるのもいいかもね。
まとめ
- 腋窩多汗症は、日本で5.75%との報告
- 治療は塩化アルミニウムの外用が一般的。塗り薬・注射・イオントフォレーシスなどは根治ではなく続ける必要
- マイクロ波治療は、5学会の診療指針(改訂版)で「弱く推奨」。効果はボツリヌストキシン注射に匹敵
- 効果は時間とともに弱まる報告も
- やけど・傷あと・汗腺の膿・しびれ、まれに腕の神経の損傷も
参考文献
- 日本皮膚科学会, 日本形成外科学会, 日本美容皮膚科学会, 日本美容外科学会(JSAPS), 日本美容外科学会(JSAS). 美容医療診療指針(令和3年度厚生労働科学研究補助金). 日本美容外科学会会報 44(特別号), 2022. 第4章 腋窩多汗症(CQ4-1). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyo2v.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。