
プレ男九尾の狐って、人をだます悪い妖怪だよね? 漫画でもよく見る!

メル美古い中国の本では、「めでたいしるし」として出てくることもあるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 幻獣の解説、今回は九尾の狐です。中国の『山海経(せんがいきょう)』南山経・海外東経と、後漢の『呉越春秋』越王無余外伝の原文(ウィキソース)を読みました。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

葛飾北斎「白面金毛九尾の妖狐」18〜19世紀、日本・江戸時代。紙に墨。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | 九尾狐(『山海経』の注)、白狐九尾(『呉越春秋』) |
| すみか | 青丘(せいきゅう)の山(『山海経』南山経)、青丘の国の北(海外東経) |
| すがた | 狐のようで、9本の尾、4本の足 |
| 鳴き声 | 赤ちゃん(嬰児)のような声 |
| 性質 | 人を食べる。でもその肉を食べた人は、蠱(こ)にあたらない |
| めでたいしるし | 禹のもとにあらわれた白い九尾の狐は「王になるしるし」(『呉越春秋』) |
1. 青丘の山の獣
『山海経』南山経のはじめの部分(南山経之首)です。
- 「さらに東へ300里、青丘の山という。南側には玉が多く、北側には青い顔料の土が多い」
- 「ここに獣がいる。すがたは狐のようで、尾が9本ある。その声は赤ちゃんのようで、人を食べることができる」
- 「これを食べた者は、蠱(こ)にあたらない」
- 郭璞の注は、この獣を「九尾狐である」とし、「その肉を食べると、妖しく邪な気にあわない」と説明しています

メル美赤ちゃんみたいな声で鳴いて、人を食べる…。ちょっとこわいね。
2. 青丘の国
- 『山海経』海外東経は、「青丘の国はその北にあり、そこの狐は4本の足で、尾が9本ある」と書いています
3. 白い九尾の狐と、禹の結婚
後漢の『呉越春秋』越王無余外伝です。洪水をおさめた禹の話が出てきます。
- 「禹は30歳になっても、まだ結婚していなかった。塗山(とざん)まで来たとき、時がおそくなって、おきてをやぶってしまうのではないかとおそれて、こう言った。『わたしが結婚するなら、きっとしるしがあるだろう』」
- 「すると、白い狐で、尾が9本あるものが、禹のもとにやってきた」
- 禹は言いました。「白は、わたしの衣の色。9本の尾は、王になるしるしだ」
- 塗山には、こんな歌がありました。「ゆったりとした白い狐、9本の尾はふさふさと。わが家によき客が来て、王となる。家をなし、室をなし、わたしはかれをさかえさせる」
- 禹は塗山の娘と結婚し、その人を女嬌(じょきょう)とよびました。やがて生まれた子が啓です

プレ男九尾の狐が、結婚のめでたいしるしだったんだ! 悪い妖怪のイメージと全然ちがう。
4. 結婚してすぐ、治水の旅へ
- 『呉越春秋』によると、禹は「辛・壬・癸・甲」の4日間だけ家にいて、また治水の旅に出ました。10か月して、女嬌は啓を生みましたが、「啓は生まれて父を見ず、昼も夜もおぎゃあおぎゃあと泣いた」と書かれています
- 『史記』では、禹は13年のあいだ家の門の前を通っても入らなかった、とされています(くわしくは禹)

『呉越春秋』では、禹のもとにあらわれた白い九尾の狐が、「王になるしるし」とされています。
まとめ
- 九尾の狐は、9本の尾をもつ狐の幻獣
- 『山海経』では、青丘の山にすみ、赤ちゃんのような声で鳴いて人を食べるが、その肉を食べると蠱(こ)にあたらない
- 『呉越春秋』では、白い九尾の狐が禹のもとにあらわれ、「王になるしるし」とされた
- 禹は塗山の娘女嬌と結婚し、子の啓が生まれた
- 九尾の狐を「王のしるし」とした禹、めでたい獣麒麟、中国神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『山海經』南山經(南山經之首、青丘之山)と郭璞注; 海外東經. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/南山經 , https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/海外東經 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『吳越春秋』越王無余外傳. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/吳越春秋/越王無余外傳 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Katsushika Hokusai, Nine-Tailed Golden Fox, 18th–19th century(56.121.31、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/57281 (閲覧日:2026年10月10日)
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