
プレ男天狗って、赤い顔で鼻が高くて、山にすんでる妖怪でしょ?

メル美中国の古い本だと、天狗は「獣」だったり「流れ星」だったりするんだって。日本の『日本書紀』にも出てくるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 幻獣の解説、今回はもうひとつの天狗(てんこう)です。『山海経(せんがいきょう)』西山経、司馬遷『史記』天官書、『日本書紀』巻第二十三(舒明天皇)の原文(ウィキソース)を読みました。遠野の山の天狗の話は遠野の天狗へ。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

「天狗図」(『古今図書集成』禽虫典より)18世紀前半、中国・清。版画。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 『山海経』 | 『史記』天官書 | 『日本書紀』 | |
|---|---|---|---|
| 天狗とは | 獣 | 星 | 大きな流れ星のように見えたもの |
| すがた | 狸のようで、頭が白い | 大きな流れ星のよう。落ちたところは狗(いぬ)に似る | 東から西へ流れた大きな星 |
| 音 | 「榴榴(りゅうりゅう)」と鳴く | 音をたてる | 雷のような音 |
| 意味 | わざわいをふせぐ | 千里の軍がやぶれ、将が殺される | — |
1. 陰山の白い頭の獣
『山海経』西山経(西次三経)です。
- 「さらに西へ300里、陰山という。濁浴の水がここから出て、南へ流れて蕃沢にそそぐ。その中には、もようのある貝が多い」
- 「獣がいる。すがたは狸のようで、頭が白い。名を天狗という。その声は『榴榴』のよう。わざわい(凶)をふせぐことができる」
- 郭璞の注は、「狸」は「豹」と書く本もあり、「榴榴」は「猫猫」と書く本もある、と書きそえています

メル美『山海経』の天狗は、わざわいをふせいでくれる、いい獣なんだ!
2. 地に落ちる星
司馬遷『史記』天官書は、星や空のあやしい光を説明する巻です。
- 「天狗は、すがたが大きな流れ星のようで、音がする。それが地に落ちて止まったところは、狗(いぬ)のようである」
- 「落ちたところをながめると、火の光がめらめらと天をつくようだ。その下はまるく、数頃(けい)の田ほどの広さで、上がとがったところは黄色い」
- 「千里のかなたで、軍がやぶれ、将が殺される」——天狗の星は、戦争のわざわいのしるしとされていました
3. 『日本書紀』の天狗
『日本書紀』巻第二十三、舒明天皇9年の春2月の記事です。
- 「大きな星が、東から西へ流れた。そして、雷に似た音がした」
- 「その時の人びとは、『流れ星の音だ』と言い、また『地雷(つちのいかずち)だ』とも言った」
- 「すると僧の旻(みん)が言った。『流れ星ではない。これは天狗である。そのほえる声が雷に似ているだけだ』」

プレ男日本の最初の「天狗」は、流れ星のことだったんだ! 『史記』の天狗とそっくりだね。

『日本書紀』では、雷のような音で流れた大きな星を、僧の旻が「流れ星ではない、天狗だ。そのほえる声が雷に似ているだけだ」と言っています。
まとめ
- 『山海経』の天狗は、白い頭の狸のような獣で、わざわいをふせぐ
- 『史記』天官書の天狗は、音をたてて地に落ちる星で、落ちたところは狗のよう。戦争のわざわいのしるし
- 『日本書紀』では、雷のような音で流れた大きな星を、僧旻が「天狗だ」と言った
- 赤い顔に高い鼻の天狗とは、ずいぶんちがう姿だった
- 日本の山の天狗は遠野の天狗へ。同じ『山海経』西山経の畢方、九尾の狐もどうぞ
参考文献
- 『山海經』西山經(西次三經、陰山 天狗)と郭璞注. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/西山經 (閲覧日:2026年10月10日)
- 司馬遷『史記』卷二十七 天官書. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/史記/卷027 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『日本書紀』卷第二十三(舒明天皇九年二月). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/日本書紀/卷第廿三 (閲覧日:2026年10月10日)
- ウィキメディア・コモンズ. Imperial Encyclopaedia - Animal Kingdom - pic253 - 天狗圖(『古今圖書集成』禽蟲典、陳夢雷ら編、1700〜1725年ごろ、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Imperial_Encyclopaedia_-_Animal_Kingdom_-_pic253_-_天狗圖.png (閲覧日:2026年10月10日)
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