
メル美70代の祖母が、だんだん階段で息切れするようになって、足もむくんできたの。前に何回か、急に少し息苦しくなって胸が痛いことがあったけど、すぐおさまったから病院には行かなかったんだって。

プレ男すぐおさまった息苦しさって、見すごしていいのかな…。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の話です。難病情報センターの「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」(令和8年1月更新、難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 血栓症は血管の中に血のかたまりができること、塞栓症はそのかたまりがはがれて遠くに運ばれ、つまることです
- CTEPHは、心臓から肺へ血液を送る肺動脈に血栓や塞栓ができて残り、血管が狭く硬くなって血液の流れが悪くなり、肺動脈の圧が異常に上がる病気です
- 診断(最初の認定)には、右心カテーテル検査と、肺の血流の検査・造影CTなどが必要です
どんな人に多い?
- 患者数は5,543人(2023年度)で、病気が知られるようになり増えています
- 女性が男性の約3倍と明らかに女性に多く、年齢とともに増えて70歳代がピーク、80歳代の患者さんも目立ちます
原因
- 急な肺血栓塞栓症(突然の息苦しさや胸の痛み)の人の3%程度が、CTEPHになると考えられています
- ただし、CTEPHの患者さんの半数以上は、急な肺塞栓を経験した記憶がありません
- 血栓や塞栓がくり返し起こること、血管の壁で血栓が大きくなること、肺の血管が硬くなることなどが原因と考えられています。日本では、欧米とちがって、中高年の女性で血管の炎症と関連する人がみられるのが特徴とされています
- 基本的には遺伝しません
症状
- この病気だけに特別な症状はありません。初期は安静時の症状はありません
- 進むと、体を動かすときに息苦しい、すぐに疲れるなどが現れます
- さらに進むと、心臓の働きが落ちて、足がむくむ、体重が増える、少し動いただけで息苦しいなどが出ます
- 血栓がくり返しできる人では、突然の軽い息苦しさや胸の痛みをくり返していることがありますが、重くないためそのままになっている場合が多くみられます
- 足の深部静脈血栓症を合併していると、足のはれや痛みが出ることもあります

プレ男すぐおさまる軽い息苦しさや胸の痛みをくり返していることがあって、重くないから見すごされがちなんだ。
治療
- 動くときの息苦しさが前より強くなってきた場合は、血栓の範囲が広がっている可能性があるため、できるだけ早く治療を受ける必要があります
- 症状が安定していても、再び血栓ができるのを防ぐために、血を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を飲み続けることが大切です
- 治療には、肺動脈の血栓を取り除く手術、カテーテルで血管を広げる治療、薬などがあり、外科医・カテーテルの医師・内科医がチームで話し合って方針を決めることがすすめられています
- 専門医による適切な治療で、体を動かすときの息苦しさがよくなるなど、症状が改善する場合があります

慢性血栓塞栓性肺高血圧症は、女性に多く70歳代がピークで、患者さんの半数以上は急な肺塞栓の記憶がありません。動くときの息苦しさが前より強くなってきたら、できるだけ早く治療を受けることが必要です。
- 足の血栓が肺につまる病気はエコノミークラス症候群、肺の細い血管が狭くなる病気は肺動脈性肺高血圧症の記事もどうぞ

メル美前にあった息苦しさや胸の痛みのことも全部伝えて、祖母と一緒に病院へ行こうね。
まとめ
- 肺動脈に血のかたまりがつまって残り、肺動脈の圧が上がる病気
- 女性に約3倍、70歳代がピーク。患者数は増加中
- 半数以上は急な肺塞栓の記憶がない
- 進むと動くと息苦しい・疲れやすい・足のむくみ。くり返す軽い息苦しさや胸の痛みを見すごさない
- 息苦しさが強くなれば早く治療。安定していても抗凝固薬を続ける
参考文献
- 難病情報センター. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88)(情報更新日:令和8年1月、難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/192 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。