
プレ男50代の叔父が、階段で息が切れて、夜も横になると苦しいって。病院で「心臓が大きくなってる」って言われたらしい。

メル美心臓が大きくなるって、どういうことなんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、拡張型心筋症の話です。難病情報センターの「特発性拡張型心筋症」(令和7年12月更新、心筋症ゲノム医療基盤の構築に向けた研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 心臓は縮んだり広がったりをくり返して全身に血液を送るポンプです。拡張型心筋症は、心臓(とくに左心室)の筋肉の縮む力が落ちて、左心室が広がってしまう病気です
- 高血圧、弁膜症、心筋梗塞などが原因で同じような心臓の異常が起こること(二次性心筋症)もあり、それではないことを確かめることが診断で非常に重要です
- はっきりした原因はわかっていません。ウイルス感染をきっかけにした炎症や、免疫の異常が関わる可能性が指摘されています。約5%に家族内の発症があり、一部は遺伝すると考えられ、遺伝カウンセリングを受けることがすすめられています
どんな人に多い?
- 受給者証をもつ人は18,108人(令和5年度末)で、症状がなく受診していない人を含めると、実際はさらに多いと予想されています
- 60歳前後が最も多いという報告もありますが、子どもから高齢の人まで幅広く起こります。男女比は2.6対1で男性に多い傾向があります
症状
- 動悸、息苦しさ、疲れやすさなどの心不全の症状がみられます。初期は症状がないこともあります
- 症状は初め運動したときに出て、進むと安静時にも出て、夜の呼吸困難などを起こします
- 進むと、むくみや不整脈が出てきます。脈が速くなる心室頻拍は突然死の原因になります。心臓の中に血のかたまりができて、塞栓症を起こすこともあります

プレ男階段での息切れから始まって、進むと夜も苦しくなる…叔父の症状は心不全の症状なんだ。
治療
- 特効的な治療はまだありませんが、心不全を防ぎ、命の見通しをよくする飲み薬が使われます。心不全が悪くなったときは、安静、塩分制限、運動制限などが必要です
- 重い不整脈には、薬のほか、ペースメーカーや植込型除細動器、カテーテル手術などを行うことがあります
- 心臓リハビリテーションで体の機能や命の見通しがよくなることも報告されています
- それでも重い心不全になる場合は、心臓移植や補助人工心臓が考えられます。日本の心臓移植の対象の60〜70%が拡張型心筋症です
経過
- 厚生労働省の調査では、5年生存率は76%で、亡くなる原因の多くは心不全か不整脈です。ただ、治療の進歩で、見通しはさらに改善している可能性が高いと考えられています
日常生活の注意
- 塩分の管理:とりすぎは心臓に負担をかけ、心不全を悪くします。重い心不全では1日3g以下の厳しい制限が必要な場合もあります
- お酒は適量にとどめ、大量飲酒をさける。重い人では禁酒が必要なことも(お酒と心臓・脳)
- 禁煙
- 毎日体重を測る:短期間で体重が増えたら(たとえば1週間で2〜3kg以上)、心不全の悪化を疑って早めに受診しましょう
- 薬を自己判断でやめない:中断で心不全が悪くなることがあります
- 安定していれば、医師の指示のもとで、1回20〜60分・週3〜5回を目安に、無理のない有酸素運動がすすめられます
- 気分の落ちこみや不安も心不全に悪い影響を与えることがあり、専門家の相談が必要な場合もあります

拡張型心筋症では、毎日の体重測定が大切です。1週間で2〜3kg以上など短期間で体重が増えたら、心不全の悪化を疑って早めに受診しましょう。塩分の管理、大量飲酒をさけること、禁煙も重要です。
- 健診の心電図は健診の心電図、たばこと心臓はたばこと心臓病・脳卒中の記事もどうぞ

メル美毎朝の体重測定と、塩分を控えることから始めてもらえるといいね。
まとめ
- 心臓(左心室)の縮む力が落ちて広がる病気
- 男性に2.6倍多く、60歳前後に多い
- 動悸・息苦しさ・疲れやすさから。進むと夜の呼吸困難・むくみ・不整脈
- 飲み薬・ペースメーカー・除細動器などで治療。5年生存率76%、さらに改善の可能性
- 塩分管理・大量飲酒をさける・禁煙・毎日の体重測定(1週間で2〜3kg増えたら受診)
参考文献
- 難病情報センター. 特発性拡張型心筋症(指定難病57)(情報更新日:令和7年12月、心筋症ゲノム医療基盤の構築に向けた研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/3985 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。