【テクノロジー解説】DNAは毎日こわれている:紫外線や細胞分裂のコピーミスで、1日に何千もの変化。それでも遺伝情報が守られるのは「修理チーム」がいるから。コピーのまちがいを約1,000分の1に減らすしくみも(2015年ノーベル化学賞)
DNAは、紫外線や活性酸素、発がん物質で毎日傷ついています。外からの攻撃がなくても、DNAはもともと不安定で、1日に何千もの変化が自然に起きています。細胞分裂でDNAをコピーするときにもまちがいが起こります。それでも遺伝情報がめちゃくちゃにならないのは、DNAを見はって修理するしくみがあるからです。2015年のノーベル化学賞は、その修理のしくみを分子のレベルで明らかにしたリンダール博士、モドリッチ博士、サンジャル博士に贈られました。紫外線の傷の修理、コピーのまちがいを約1,000分の1に減らすしくみなどです。

プレ男DNAって、一生変わらない設計図だと思ってた。

メル美じつは毎日こわれていて、そのたびに修理されてるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はDNAの修理です。2015年のノーベル化学賞の発表と一般向け解説をもとにまとめました。
DNAは毎日傷ついている
- DNAは毎日、紫外線、活性酸素(フリーラジカル)、発がん物質などで傷ついています
- 外からの攻撃がなくても、DNAはもともと不安定で、1日に何千もの変化が自然に起きています
- 人の体では、細胞分裂のたびにDNAがコピーされ、それは1日に何百万回も起きます。そのコピーでもまちがいが起こります
- それでも遺伝情報が「化学的な大混乱」にならないのは、DNAを見はって修理するしくみがいくつもあるからです
3つの修理のしくみ
1. 傷んだ部品を1つ切りとって交換(リンダール博士)
- 1970年代はじめ、DNAはとても安定な分子だと考えられていました
- トーマス・リンダール博士は、DNAが、地球に生命が生まれることさえできないほどの速さでこわれていくことを示しました
- たとえば、DNAの部品シトシンは、一部がはずれやすく、遺伝情報が変わる原因になります
- 博士は、このこわれをたえず直す修理のしくみ「塩基除去修復」を発見しました
2. 紫外線の傷を切りとって直す(サンジャル博士)
- アジズ・サンジャル博士は、細胞が紫外線による DNAの傷を直すしくみ「ヌクレオチド除去修復」を明らかにしました
- このしくみに生まれつきの欠陥がある人は、日光にあたると皮膚がんになります
- 突然変異を起こす物質による傷を直すのにも使われます
3. コピーのまちがいを直す(モドリッチ博士)
- ポール・モドリッチ博士は、細胞分裂でDNAをコピーするときのまちがいを直すしくみ「ミスマッチ修復」を示しました
- このしくみで、コピーのまちがいは約1,000分の1に減ります
- このしくみの生まれつきの欠陥は、遺伝性の大腸がんの一つの原因になることが知られています

プレ男1日に何千もこわれて、それをずっと修理し続けてるのか!
何に役立つ?
- 細胞がどう働くかの基本的な知識を与えてくれました
- たとえば、新しいがんの治療法の開発に使われています(2015年当時)

DNAは紫外線などで毎日傷つき、1日に何千もの変化が起きています。それでも遺伝情報が守られるのは、傷んだ部品の交換、紫外線の傷の修理、コピーのまちがいの修正といった修理のしくみがあるからです。
紫外線から肌を守る日焼け止めの話は、男磨きの日焼け止めの選び方と塗り方へ。
つながるテクノロジー
- タンパク質の分解の目じるし:ユビキチン
- DNAをねらって書きかえる:CRISPR-Cas9
- DNAをふやしてコピーする:PCR

プレ男体の中で、毎日こんな修理工事が行われてたなんて。

メル美修理チームに感謝だね。
まとめ
- DNAは紫外線・活性酸素・発がん物質で毎日傷つき、1日に何千もの変化が自然に起きる
- 塩基除去修復:こわれた部品を交換(リンダール博士)
- ヌクレオチド除去修復:紫外線の傷を直す(サンジャル博士)
- ミスマッチ修復:コピーのまちがいを約1,000分の1に(モドリッチ博士)
- がんの治療法の開発にも(2015年ノーベル化学賞)
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2015. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2015/press-release/ (閲覧日:2026年10月10日)
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Popular information: The Nobel Prize in Chemistry 2015 (PDF). https://www.nobelprize.org/uploads/2018/06/popular-chemistryprize2015.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。