
プレ男仕事でミスして、ずっとモヤモヤしてる。でも、何がつらいのか自分でもよくわからないんだよね。

メル美「モヤモヤ」の中身を言葉にしてみたら?「悔しい」なのか「恥ずかしい」なのか、とか。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、気持ちを言葉にすることの話です。「男は弱音を吐くな」と言われて育つと、自分の気持ちに名前をつけるのが苦手になりがちです(“オス”のメンタル)。でも、気持ちを言葉にすることには、研究の裏づけもあります。査読論文をもとに、効果とその限界を正直に見てみます。
気持ちに名前をつける「感情のラベリング」
- 「イライラしている」「不安だ」「悲しい」のように、気持ちを言葉で表すことを、心理学では「感情のラベリング(affect labeling)」といいます
- 気持ちを言葉にするとつらい気持ちをやわらげる助けになることは、昔から考えられてきましたが、そのしくみはよくわかっていませんでした
脳の「扁桃体」の反応が弱まった
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究(Lieberman ら、Psychological Science、2007年)では、
- 参加者に、いやな気持ちを起こさせる画像を見てもらい、そのときの脳の活動を fMRI(脳の働きを画像で見る検査)で調べました
- 画像を見ながら、気持ちを言葉で表したときは、ほかの方法で画像を処理したときにくらべて、扁桃体(不安や恐怖にかかわる脳の部分)などの反応が弱まりました
- かわりに、右の腹外側前頭前野という部分の働きが強まり、この部分と扁桃体の活動は逆の関係にありました

プレ男気持ちに名前をつけるだけで、脳の反応が変わるのか。
ただし、この研究は実験室で画像を見たときの、その場の脳の反応を調べたものです。
つらい体験を「書く」方法
気持ちを言葉にする方法の1つに、つらい体験や、そのときの気持ちを書き出す「筆記開示(エクスプレッシブ・ライティング)」があります。
- 個人的で意味のある話題について、考えや気持ちを打ち明けることには、健康や心理によい影響があると言われてきました
- 146のランダム化試験をまとめた研究(Frattaroli、Psychological Bulletin、2006年)では、効果はあり、統計的にも意味があるものの、その大きさは小さい(平均の効果量 r=0.075)という結果でした
- 効果の大きさは、書く人や書き方などの条件(調整因子)によって変わることもわかっています

メル美効果はあるけど小さめ、なんだ。書けば全部すっきり、ってわけじゃないのね。

気持ちに名前をつけると、脳の扁桃体の反応が弱まったという研究があります。つらい体験を書く方法も、効果は小さめですが研究で確かめられています。ただし、どれも治療の代わりにはなりません。
やってみるなら
- モヤモヤしたら、「いま、何を感じている?」と自分に聞いて、1つの言葉で名前をつけてみる(「悔しい」「恥ずかしい」「さびしい」「腹が立つ」)
- ノートやスマホのメモに、その日あったことと気持ちを書いてみる。人に見せなくてよい
- よかったことを書くなら、「感謝を書く」とメンタルは整う?も
- 信頼できる人に「いま、こういう気持ちなんだ」と話してみる
言葉にしても、つらさが続くときは
書いたり話したりしても、気分の落ちこみや眠れない状態が続くときは、ひとりで抱えこまず、医療機関や相談窓口に相談しましょう。助けを求めるのは、弱さではありません(「弱音を吐けない」男ほど危ない)。

プレ男書いてみたら、モヤモヤの正体は「先輩にがっかりされたかも、っていう不安」だった。ちょっと楽になったかも。

メル美言葉になると、次にどうすればいいかも考えやすくなるよね。
まとめ
- 気持ちに名前をつける「感情のラベリング」で、扁桃体などの反応が弱まったという脳画像の研究がある(実験室での、その場の反応)
- つらい体験を書く方法は、146の試験のまとめで効果はあるが小さい(r=0.075)
- 「いま何を感じている?」と1つの言葉で名前をつける、メモに書く、人に話す
- つらさが続くときは、相談を
参考文献
- Lieberman MD, Eisenberger NI, Crockett MJ, et al. Putting feelings into words: affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychol Sci. 2007;18(5):421-428. doi:10.1111/j.1467-9280.2007.01916.x. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17576282/ (閲覧日:2026年10月4日)
- Frattaroli J. Experimental disclosure and its moderators: a meta-analysis. Psychol Bull. 2006;132(6):823-865. doi:10.1037/0033-2909.132.6.823. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17073523/ (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。