
メル美叔母が、半年くらい全身のあちこちが痛くて、眠れないし疲れがとれないって。でも、どこの病院で検査しても「異常なし」なんだって。

プレ男検査で異常がないのに、そんなに痛いことってあるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、検査で異常がないのに全身が痛む「線維筋痛症」の話です。日本リウマチ財団の「リウマチ情報センター 線維筋痛症」(令和4年8月更新)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 3か月以上にわたって、体のあちこちの広い範囲に痛みが続いたり、くり返したりする病気です
- 痛みのほかに、体の強いこわばり、激しい疲労感、不眠、頭痛、うつ気分、物忘れなど、さまざまな症状をともないます
- 痛みは、ナイフで切り裂かれるよう、全身がしめつけられるようなどと表現されるほど激しいこともあり、日によって、また1日のうちでも変わります。季節や天気、体を動かすこと、ストレスで悪くなります
- 命にかかわる病気ではありませんが、完治させる治療法がなかなかないため、日常生活や社会生活への影響が大きいことが問題です
決してまれではない
- 2003年の厚生労働省研究班の調査では、日本の人口の約1.7%、約200万人が線維筋痛症とされています。関節リウマチ(約0.7%)より多い頻度です
- 男女比は1対4.8で女性に多く、発症は40歳代後半に多いとされています。子どもや高齢の人にも起こります

プレ男約200万人もいて、リウマチより多いんだ。めずらしい病気じゃないんだね。
なぜ痛む?
- 線維筋痛症の痛みは、痛む場所に原因があるのではなく、痛みを痛みとして感じる脳の回路が過敏になっていると考えられています。そのため、痛みの刺激がないのに体のあちこちが痛んだり、さわられたり軽く押されたりしただけで強く痛んだりします
- 国際疼痛学会の分類では、体の組織や神経に損傷がないのに起こる「痛覚変調性疼痛」にあたります
- なぜ脳の回路が過敏になるのかは、まだわかっていません。最近は、脳の中の神経の炎症と免疫の関係が注目されています
診断が遅れやすい
- 血液・尿の検査、X線、CT、MRI、超音波などの検査をしても、線維筋痛症に特徴的な異常は出ません。そのため、日本では診断が遅れることがしばしばあります
- 症状の内容と経過、ていねいな診察をもとに、米国リウマチ学会の基準などを使って診断します。体の決まった場所を指で押すと強く痛む(圧痛点)ことも手がかりになります
治療
- 原因がわかっていないため、根本から治す治療は現状ではありません。まず診断を受け入れ、病気を正しく理解することが大切で、そのうえで痛みを日常生活に影響しない程度までやわらげることをめざします
- 薬:痛みの神経回路の過剰な興奮を抑える薬や、脳の「痛みのブレーキ」を強める薬(一部の抗うつ薬。うつ症状のためではなく、痛みをやわらげるため)などが使われます。一般的な痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)やステロイドは効きません
- 薬だけで痛みを完全になくすのは難しく、薬以外の治療と組み合わせることがきわめて重要です
- 薬以外の治療:段階的な有酸素運動、筋力トレーニング、ヨガ・太極拳などの運動療法、温める治療、認知行動療法が有効とされています
- 発症から早く治療を始めた場合や、若い人では、比較的治療が効きやすいとされています

線維筋痛症の痛みは、痛む場所ではなく、痛みを感じる脳の回路が過敏になっていると考えられています。検査で異常が出ないため診断が遅れがちですが、決してまれな病気ではありません。
相談先
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日本線維筋痛症学会や、患者会のNPO法人線維筋痛症友の会のホームページから、線維筋痛症を診療できる医療機関を探すことができます
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痛みが長く続くと、気持ちが追いつめられることもあります。つらい気持ちが続くときは、ひとりで抱えこまずに相談してください(こころの相談先)
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検査で異常がないのに体の不調が続くときは体の不調として現れるうつ病、関節の病気は関節リウマチの記事もどうぞ

メル美「気のせい」じゃなくて、ちゃんと病名のある病気なんだね。線維筋痛症を診られる病院を、叔母と一緒に探してみる。
まとめ
- 3か月以上、全身の広い範囲が痛む。疲労・不眠・物忘れなども
- 日本の人口の約1.7%(約200万人)。中年女性に多い
- 痛む場所ではなく、痛みを感じる脳の回路が過敏に
- 検査で特徴的な異常が出ないため、診断が遅れやすい
- 治療は薬+運動療法・認知行動療法。一般的な痛み止めやステロイドは効かない
参考文献
- 日本リウマチ財団 リウマチ情報センター. 線維筋痛症(情報更新:令和4年8月). https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/illness/fm/ (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。